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「違憲の解散による違憲の選挙」への唯一の対抗手段は「投票すること」

2014年12月14日 00時43分 JST | 更新 2014年12月14日 00時46分 JST

私が、【現時点での衆議院解散は憲法上重大な問題】で、憲法上解散できる要件を充たしていないこと、議員定数不均衡の抜本的な是正のないままの解散は法の下の平等に反することという二つの面から憲法違反だと論じた今回の解散による総選挙が、明日、投票日を迎える。

その状況は、私が指摘した今回の解散の違憲性が一層露わになっていると言えよう。

解散後間もなく、マスコミの調査で、自民だけで300議席を超える勢いと報じられる一方、政府からマスコミに対して選挙に影響を与える報道の自粛要請が行われたこともあって、マスコミの選挙報道は盛り上がりを欠き、国民の選挙への関心は一層薄れ、投票率の低下が与党に更に有利に働くことが予想されている。

憲法は、本来、69条により、衆議院で内閣不信任案が可決された場合に、内閣にその対抗手段としての解散を認めている。それが、憲法が規定する議院内閣制の下で、行政を担う内閣と立法府の国会とが適正に権力バランスを維持するためのシステムである。

憲法が与えている本来の権限を超え、69条以外の場合でも7条の天皇の国事行為としての解散を行うことが容認されてきたのも、それが、憲法の基本原則である「権力分立の原則」を大きく損なうことがなかったからである。そのため、憲法違反の問題が顕在化することはなかった。

しかし、今回の解散は、それまでの衆議院解散とは大きく異なる。

安倍首相は、2012年の衆議院選挙で圧勝し、与党の圧倒的多数の衆議院が4年間維持されるという権力基盤を得た。それだけでも、国の統治機構において十分過ぎるほどの権力である。

ところが、今回、安倍内閣は、本来、内閣に与えられている解散権を逸脱した解散を、野党にとって最悪のタイミングで行うことによって、さらなる権力集中を目論み、新聞各紙、テレビ各局の調査では、自民公明の与党だけで圧倒的多数の勢力を占める選挙結果になることが予想されている。

そのやり方は、ボクシングで言えば、相手選手がスリップダウンしている間に、思い切り踏みつけて再起不能にする行為に等しい。スポーツにも、勝つためにやって良いことの範囲についてのルールが存在するのと同様に、政治の世界においても、憲法秩序を根底から損なうようなやり方は、いくらそれが権力奪取にとって合理的で、表面上は合法に見えても、やってはいけないというのが鉄則のはずだ。

今回の解散は、明らかにそのルールを逸脱し、そして、このままいけば、それによって、極端な権力集中を招き、日本国憲法の基本原則すらも損われかねない事態になろうとしている。

我々国民にとって、それに対して残された唯一の手段は、違憲の解散によって、違憲の選挙が行われ、その結果、憲法上容認できない権力集中が生み出されようとしている事態への危機感を持って、明日の選挙に臨むことである。

明日の選挙で棄権した人間は、この選挙によって生み出された政治権力が、今後4年間に、いかなる政治的、外交的決断を行い、それがいかなる結果を招こうと、それに対して、不満を述べることは許されない。

我々は、明日の衆議院選挙において、投票を行うという、日本国憲法下の国民として最低限の、しかし、最も重要な権利を、確実に行使しなければならない。

(2014年12月13日「郷原信郎が斬る」より転載)