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"レズビアン"の私から、顔も名前も知らない"ゲイ"の彼へ。

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8月5日夕方。
私はLGBT当事者の友人たちとクッキーを食べながら談笑していた。夏休みの予定を教え合ったり近況報告し合ったりする、素敵な時間だった。
しかし、私は談笑しながらSNSを確認していて、とある報道機関による投稿で指を止めた。

「ゲイの大学院生が転落死した」

残念ながら、LGBT当事者のコミュニティの中で、LGBT当事者が自殺した話は聞かない話ではない。
「学校や会社に馴染めなかった」「家庭トラブルがあった」とかいう理由で受理される自殺のうちの何人かが、「家族や周りの人にLGBT当事者である自分を受け入れられなかった」という本当の理由を隠して死んでいったことを、残念ながら私は知ってしまっている。

だがその多くの死は、語られないまま、そして、家族や周りの人に本当に死の理由を知られないまま過去になっていく。

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報道を知って、いろんな感情が同時に私の中に生まれた。

顔も名前も知らない彼の死を悲しむ気持ち。
アウティングした彼の友人を恨む気持ち。
適切な対応しなかった大学を見損なったと感じる気持ち。
そして、「私も死へ追い込まれる危険と隣り合わせで生きている」という底深い不安に襲われる気持ち。

全ての気持ちが私の中でぶつかり合っている。

彼が死に追い込まれるまでにどんなことがあったのか、詳しいことは今後の裁判の中で明らかになっていくだろうから、今回はそこには言及を避ける。

ただ、どうしても私が伝えたいのは、これは決して特別な事例ではない、という事だ。

言い換えれば、日本のどこにでも起こりうるし、実際に、日本のどこでも起きている事例だ。

いま私は、自分のセクシュアリティ(レズビアンであるということ)を家族や友人など周りの人へカミングアウトせず、必死に隠して学校へ通っている。

「彼氏いないの?」と言われるたびに、何と返事をしようか悩みながら、「今は恋愛に興味がない」とか「勉強の方が大事だから」と返事する。
それでも「いい男の子紹介するよ!」などと熱心に言われて困った時は、「遠距離恋愛中の彼氏がいる」とありもしない嘘を言う事もある。

そこまでしてても「LGBT当事者であることを隠さないといけない」と感じる空気が、この日本にはまだある。

私は、彼と語り合ってみたかった。
顔も名前も知らない、ニュースで見た"ゲイの法科大学院生"の彼と、"ゲイの法科大学院生"ではなく、1人に人間として、彼と語り合ってみたかった。

「最近、友だちがゲイキモイって言ってて辛かった」などと、辛かった話を語り合ってもいい。
「もし日本で同性婚ができたら、どんな社会になるんだろうね?」などと、前向きな話を語り合ってもいい。
「将来、こんな仕事をして、こんな風に生きていきたいんだ!」などと、互いの夢を語り合ってもいい。

普段の学校生活では決して言えないことを言い合って、心から怒って、心から笑って。

そんな環境が、いま苦しんでいるLGBT当事者全てのもとにあることを願うと同時に、そんな環境を求める必要性がない社会、即ち、カミングアウトをしても差別やイジメを受ける危険性のない社会が、一刻も早く実現される事を切に願っている。

彼の気持ちを、そして、彼の気持ちを尊重して裁判を起こした彼の家族の気持ちを、私は決して忘れない。

報道によれば、8月24日で彼が亡くなってから1年を迎えるという。

彼のように死に追い込まれる人が二度と出ないように、一刻も早く、社会が変わらなければならない。