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「投票率が低いのは、政治に興味が持てないから」? 田原総一朗さんと議論した20歳の考察 #YoungVoice

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先日、田原総一朗さんとお話しする機会をいただいた。

実際に話した内容は竹下編集長の記事や同席した吉川君のブログに詳しく書かれているため、私はごく個人的な話をしたいと思う。

「政治に興味がもてない」の嘘と本音と


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田原さんとのディスカッションに際して、私は、「素直に受け答えしよう」と心に決めていた。きっと緊張で圧倒され、すぐにいい顔しようとしてしまうことを危惧したのだ。

実際、議論の中で、田原さんから「若者の投票率が低いのはなんでだろうね?」と問いかけられる場面があった。それに対して私は、「やっぱり、興味が持てないから...」と返した。

しかし私自身はといえば、実は同世代の中では政治に興味を持っている方だ。政治学専攻だし、穴が空くほどとはいえずとも新聞も読んでいる。それに加えて、ニュースサイトでアルバイトを始めてから、より一層世間の流れを気にするようになった。

そのため、今回の参議院選に関しても、一応だいたいの公約や政党ごとの特徴が把握できていた(はず)なのだ。

それなのに、「興味がもてないから」と言ったのでは、先ほどの「素直に受け答えしよう」という決意などすっかり忘れて反故にしたようである。

しかし、もし私が今の大学に落ちていたら、違うバイトを選んだとしたら、政治が身近ではないだろう。いまの私が政治に興味があるのは、たまたま現国の時間の中でも評論文を読むのが好きだったから、政治学科を受けた結果にすぎない。

もし高校生のとき小説の方を選んで文学部を志望していたら、ひねくれ屋の私のことだから、「投票行っても何の意味もない」などと文句を言って選挙に見向きもしなかったかもしれないのだ(今も、選挙に行った後で「投票行っても何の意味もない」とはどこかで思ってしまうけれど)。

だから、興味が持てない、といってしまった理由は、きっとそれがもう一人の自分の答えだからだ。別に、若者の声を代弁してみたというわけでもない。ただ、自分が違う環境にいたら、違うこと考えてるだろうな、という答えがとっさに出てしまったのだと思う。

もしくは、ただ勇気がなかっただけかもしれない。政治に興味があります!と言って突っ込まれるのが怖くて、一般論のようにして濁してしまったのじゃないか。さながら反抗期の中学生の「興味ねーし」的な言い草で逃げてしまったと、反省している。

そんなこともあってか、撮影が終わった時、「ああ、近頃の若いもんは...」と動画を見た人から言われてしまうだろう、と思ったことを強烈に覚えている。

そして、数日後に動画が公開


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撮影から3日ほどで、記事と動画がハフィントンポストで公開された。

別にどこも支持していない私が「投票に行きましょう!」などと呼びかけるのは何となく気が引けたので、ただ「刺激になりました、楽しかったです」とだけコメントを加えて自分のFacebookにシェアした。

案の定、ハフィントンポストの公式Facebookに投稿された記事には「近頃の若い者は...」とコメントがついたし、それも自業自得、仕方ないだろう、と思っていた。

しかし、そんな私の動画を見て、怒った先輩がいたのだ。

その人は私の高校の先輩で、今も年に何度かは顔を合わせる関係だ。昔から熱い男で、大学に入ってもいろいろと活躍しているようだ。

そんな先輩が、私がシェアした動画を見て、フェイスブックにこんなことを投稿した。

「アメフト部後輩MGRのたじまっくすが出てるから見た、のが理由かもしれないし、自覚が出てきたのかもしれないし、それともハフィントンポストの企画性が良かったのかもしれないし、まぁよくわかんないけど
ジブンゴトじゃないとか言ってるのは責任放棄というか思考停止だよね?
若者の投票率低いとか言われてる中の「若者」に、「金払って大学教育受けてんのに選挙行かないやつ」が含まれてるって考えたらゾッとするというか。ちょっとは頭使いなよ、使う勉強してるんでしょ?というか。白票入れるのだって違うでしょ、決めるときに決められないで何が大人?とか思うし。」

あああ、めっっちゃ怒ってる。

しかも、多分、私が言っていた「興味が持てないから」とかいう態度に対して、かなり勢い良く怒ってる。高校の先輩というものは、卒業してからもなお怒らせると怖い。

だがその一方で、私は嬉しく思った。すごく嬉しかった。なぜなら、先輩の投稿はこのように続いたからだ。

「あ、、、ごめんなさいこの動画記事には全く文句はないです。コメントつけようと思って書き始めたら、動画の中で言われていることにだんだん腹立ってきただけで。笑笑 意見とか議論を引き出させるのはメディアとして良いものだと思います。
暴言失礼しました。。」

彼の言葉が正しいのか間違っているのかではなくて、こうして意見を言ってもらえたのが嬉しかった。

ここから先は私の推測になってしまうが、おそらく彼は、この動画記事についても文句があったのではないかと思う。と、いうより、正直に言うと私だったら文句をつけていただろう。

なぜなら、あの動画自体に、若者を投票に向かわせる力はあまりないかもしれない、と思ってしまったからだ。これでは大人が若者に対して「政治に興味を持ちなさい」と言う、よくある構図になってしまったのではないかと感じたのだ。

本当は1時間収録の間にたくさん質問できたし、田原さんのおかげで政治に対する自分の疑問はかなり解消された。しかし、それはあくまで私が田原さんと直接話す機会をいただいたからにすぎず、もとから政治に興味ない子がこの6分の動画を見たところで、政治に興味は持てないままだろう、と率直に感じた。

だからこそ、先輩のような同世代から怒りの声が嬉しかったのだ。

あの動画を見て政治に興味がわく若者はどうやっても少ないかもしれないけれど、あの動画を見て怒った若者の声を見て、政治に興味を持たなきゃ、と思う人はいるかもしれない。

動画の中の私に対して、先輩のような自覚ある若者の怒った声があって、それを見て投票しよう、って思う人がいたとしたら、私が動画に出た意味はそこにあったかな、と思うことができた。

私ひとりの意見なんてとても小さな力しかないけれど、こうやって誰かが反応を加えてくれることで2倍の厚みのある空間になる。そんな風なことを感じさせてくれる知人を身近にもった私は、とても幸運だ。知らない人に言われていたら、私は聞く耳を持てなかったかもしれない。

煽りや炎上芸はまっぴらだが、しかし、何より今回肌で感じたことは、こうして問題意識をもった誰かの意見を引き出すことができるのもメディアの力だ、ということである。このきっかけとなったのが、メディアの第一線で活躍されてきた田原さんとお話ししたことであることも相まって、よりいっそう強く肝に銘じようと思った。

批判されてこそ、なんだって意味のあるものにある。それはひねくれ屋の私にとっては、ごくごく自然にストンとくる、いい結論だった。

政治を、身近に感じるか?


さて、私のなかではすごくいい結果を得られたのだが、実は最も重要な事を見逃している。

それは「政治に興味がもてない」若者に対してはどうすればよいのだろうか、ということだ。実際、投票率が上がったかといえば、18歳以外の年齢ではあまり数字に変わりはないのが現状だ。

ここで感じたのは、興味を持てない人と、私との違いは、「政治の情報に接する量」だけではないか、ということだ。こう書くとまるで、私は努力して政治に触れるようにしているようだが、そうではない。

興味があるから知識が増えたのではなく、周りから知識をもらってはじめて興味が湧くのではないか、ということだ。

中には自発的に政治について調べる人もいるだろうが、多くの人はそうではないだろう。特に今の世の中は情報が溢れているから、どんどん楽しいほうへ流れて、政治は二の次になってしまう。

私は自分の大学での専攻やアルバイトの経験、そしてこのYoung Voiceでの政治家や田原さんへのインタビューを通して、どんどん政治を身近に感じている。他の同世代にとっても、まずは政治に触れる機会がないとなかなか投票率は上がっていかないのではないだろうか。

このことについては足りない頭でたくさん考えたので、また別の記事に書いてみたいと思っている。

最後に、貴重な機会をくださったハフィントンポストのみなさん、動画に意味をもたせてくれた先輩、そしてなによりためになるお話をたくさん聞かせてくださった田原総一朗さんにお礼を述べたい。本当にありがとうございました。