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中国海軍は縮小する

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日本にとって中国の脅威は海軍力にある。日本人は中国がどれほど陸軍をもっていても気にはならない。だが90年代後半以降、日本の海軍力の優越が失われると途端に不安となった。

その海軍力はこの10年間で特に急成長した。空母実用化や中華イージス登場の背後で、外洋型軍艦と潜水艦を併せた主力艦を55隻を完成させている。

中国海軍力は、今後も急成長をつづけるのだろうか?

答えはノーだ。質的な向上はあるが、数的成長は望めない。今後10年間、2026年までは微増にとどまり、2027年以降は減少に転ずる。なぜなら、経済成長の停滞、装備の高級化、既存艦の大量退役のためだ。


■ 経済成長の停滞

中国海軍の成長は止まる。その第一の理由は経済成長の停滞により軍事費の成長が止まるためだ。

海軍増強は経済成長に伴う軍事費増額に支えられていた。ここ10年間、2006年から15年まで中国軍事費は合計6億元である。これは96年からの10年間の3倍の額である。中国はその軍事費を傾斜配分して、海軍の急成長を実現した。

だが、今後は軍事費の増額は見込めない。その大元となる経済成長が停滞するためだ。強気の政府発表でも年率5%とされており、さらに統計の信憑性からすれば実質はそれ以下となる。

特に人口オーナス(生産年齢人口の減少)による税収減と社会保障負担増からすれば、まずは据え置きとなる。

日本の例でも92年のオーナス転換以降に防衛費拡大はない。GDPは5年後の97年をピークとし以降20年間横ばいである。そして防衛費もそれに倣っている。

中国もそうなる。2010年にオーナスに転じ既に6年が経過している。日本を後追いしているとすればGDPは今がピークである。以降は経済も軍事費も横ばいとなる。

その場合、今後10年の軍事費は合計約10兆元となる。今年の軍事費が9500億元であり、今後増額が見込めないとすればそうなる。


■ 装備の高級化

中国海軍の成長は止まる。その第二の理由は装備の高級化である。それにより中国海軍力の成長にはブレーキが掛かる。

中国の軍艦は大型・高性能化する。その価格上昇により予算が増えても数は増えない。軍事支出(10年間)が6兆元から10兆元に2倍になっても建造数は2倍に増えない。

なぜなら軍艦の単価があがるためだ。空母の護衛、特に航続距離と対潜戦の問題から軍艦は055型と呼ばれる大型艦にシフトする。潜水艦も原子力化が進み、通常型もロシアの新型を参考にした高性能艦となる。おそらく単価は2倍に上がる。

同時に新装備の導入も必要となる。国産空母に乗せるJ-15戦闘機の調達は純増であり、空母護衛のために小型艦なみに高価なY-8Q哨戒機やZ-18Fヘリの大量調達も必要となる。

結果、建造数は減少する。中国はこの10年間、合計6兆元の軍事予算で主力艦を55隻を建造した。だが、筆者試算だが次の10年には予算は10兆元に増えるが37隻※ しか作れない。

なお、装備高級化による規模縮小は中国空軍で先行している。中国は95年に戦闘機4400機を保有していたが、05年には2400機、15年には1200機まで減少した。今後、ステルス化によって空軍はさらに減少するだろう。


■ 既存艦の大量退役

中国海軍の成長は止まる。その第三の理由は既存艦の退役である。今後、急成長期に建造した軍艦が旧式化し退役する。だが、新造艦は数が揃わずその穴が埋められない。結果、差し引きでは微増あるいは減少となる。

中国は25年までに主力艦35隻以上が退役する。陳腐化が早く90年以降の軍艦や潜水艦が戦力外となるためだ。

具体的には軍艦11隻+と潜水艦24隻+が減る。軍艦は053H2/H3型が11隻、潜水艦は明型が20隻が確実に退役する。他にも漢型原潜3隻、夏型原潜1隻も退役する可能性は高く、051B型(1隻)や宋型通常潜の初期型も退役するかもしれない。

結果、中国海軍の成長は止まる。仮に10年間で35隻が退役すれば、新造艦37隻を投入しても2隻増としかならない。

さらに26年以降には減少に転じる。既存の軍艦、潜水艦のうち最新型を除く46隻程度が退役するためだ。同様に37隻建造できても10隻程度の減少となるだろう。

※ 文谷数重「バブル崩壊が中国海軍の高度成長を阻む」『軍事研究』2015年12月号