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今泉奏 Headshot

タンザニアと日本を結ぶー若手起業家たちの「挑戦」

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「彼らとは仲良くなれそうにない。だって、彼らとは考えが違うから」。

「彼ら」はタンザニア人ではない。「彼ら」とは、タンザニアで、アフリカでビジネスに挑戦する日本人である。

今まで私は、アフリカで生きる人びとの暮らしや歴史を学んできた。物理的にも、心理的にも遠く離れているからこそ、彼らのルーツを学び、対話をすることが、アフリカと関わる人間の使命だと思っていたからだ。

だから、ビジネスでアフリカと関わろうとする人びとをどうしても理解できなかった。ビジネスの前に、教わり、学ばなければならないことが残っていると思った。とくに自分と同世代の若者が「開拓者」としてアフリカで活躍する姿を見るたびに、言いようのない思いに駆られた。

そんな私が、タンザニアで活躍する2人の若手起業家へのインタビューをする羽目になった。一人目は、先月タンザニアでビジネス・コンテストを成功させた園部篤史さん(25)。二人目は、タンザニアの布や革を使ったブランドを運営する森雅貴さん(21)。

本心を言えば、私はそれほど乗り気ではなかった。だが、どうしても話を聞いて、伝えてほしいという森さんの言葉を、無下に断ることもできなかった。まもなく優柔不断な私は言いくるめられて、パソコンに向かうことになった。

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ビジネス・コンテストの参加者と審査員

アフリカのビジコン 審査員はホリエモン!?


というわけで、まずは園部さんに話を聞くことになった。先に紹介したように、彼は先月行われたアフリカ最大級のビジネス・コンテストを成功させた張本人だ。

園部さんが初めてタンザニアを訪れたのは大学4年生のとき。現地の熱気や生活感を肌で感じ、魅了された。

「日本は帰る場所だと思います。でも、アフリカは刺激的で楽しい。それに楽でいられるんです」。

現地で多数の会社を経営する金城拓真氏に弟子入りし、2014年に広告代理店Tricksterを立ち上げた。

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園部篤史さん

今回のビジネス・コンテストは、タンザニア、ケニア、ルワンダ、ジンバブエ、ザンビアから参加者を募った。ビジネスのアイディアだけでなく、現場感やコネを持つ人びとであれば、現地のニーズを正確に把握できると思ったからだ。

コンテストの審査員は、堀江貴文氏や米倉誠一郎氏(一橋大学教授)ら。豪華すぎるとも言える顔ぶれである。

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ビジネス・コンテストの様子

優勝を勝ち取ったのはケニア人女性のアンジェラ・ワンブイ・ワンジョヒさん。弁護士として働く彼女は、法文書や契約書をオンラインで処理するアイディアをプレゼンした。オンラインを利用することで、安く早く法的手続きができるようになるという。

準優勝はタンザニア人女性のジェニファー・シゴリさん。消耗品である生理用品を買えない女性のために、洗濯して繰り返し使える生理用品を提案した。

他にもスマートフォンのアプリを活用したビジネスや、リサイクル、インフラ関係のビジネスも提案された。

今回のビジネス・コンテストを終えて園部さんは、「新しくビジネスを始めようとしている人だけでなく、すでにビジネスを始めている人の中に困っている人がいることがわかりました。決勝参加者のプレゼンを見ていると、ビジネスのチャンスはたくさんあることを再認識しました」と語ってくれた。

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優勝したアンジェラ・ワンブイ・ワンジョヒさん

アフリカ✕ファッションを突き進む


森さんは、園部さんと同時期にタンザニアでインターンをし、会社を立ち上げた学生だ。現在は英国サセックス大学で開発学を学ぶかたわら、タンザニアに根付いたビジネスも続けている。

私が彼と初めて会ったのは、およそ2年前。ケニアの首都ナイロビでスワヒリ料理を食べに行ったときだった。天真爛漫で人懐っこい笑顔が印象的だった。

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森雅貴さん

この出会いの直後に、彼はブランドflamingoを立ち上げた。アフリカの布や革製品を加工して販売している。ブランドのテーマは、「ものづくり」を通じてアフリカの隠れた「輝き」を伝えること。

私が、「アフリカの輝きは隠れているのではなく、我々が目を向けていないだけでは」と意地悪な質問をすると、「製品を通して、その裏側にある世界、アフリカのことを伝えたいんです」と返ってきた。今まで日本ではあまり知られていないアフリカのイメージを製品を通して伝えたいのだという。

この夏、flamingoは新シリーズupepoとudongoを発表した。広くタンザニアで使用されるスワヒリ語でupepoは「風」の意味。色鮮やかなセットアップやスカートなど風を感じて出かけたくなるようなラインナップだ。「大地」を意味するudongoは革製品のシリーズ。タンザニアの革製品はあまり知られていないが、使うほど手に馴染んでくるという。

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upepoのセットアップ

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udongoのカードケース

顧客のターゲットは、アフリカに関心がある少数の人だけでなく、「いいじゃん!オシャレじゃん!」と言ってくれるアフリカをあまり知らない、ファッションが好きな人だという。

森さんは現在英国の大学に留学中だが、卒業後はアフリカに軸足を移していきたいそうだ。「現地の雇用を生みつつ、日本におけるアフリカのイメージを変えられればいいなと思うんです」。 2年前のように人懐っこそうにそう語ってくれた。

違う道でアフリカと関わる人間として


「彼らとは仲良くなれそうにない。だって、彼らとは考えが違うから」。

この思いは、今も大きく変わることはない。正直言って、ビジネスの話は苦手だ。だが、単なるお金儲けではなく、付加価値のあるビジネスには少なからず共感する部分はある。今回2人の話を聞かせていただくなかで、食わず嫌いでアフリカ・ビジネスについて考えてこなかった自分を反省するとともに、同世代の2人から大変刺激を受けた。

関わり方は異なるが、互いに息の長い付き合いをアフリカとしていきたい。歴史を振り返るとビジネスが世界を動かし、世界のイメージを変革させてきた。経済的な変動がなければ、奴隷貿易も終わらなかったし、アフリカの独立も異なる形でなされていただろう。

だからこそ、ビジネスを通してアフリカと関わることは大きく何かを変化させる力があると思う。そういう意味でも、アフリカで活躍する若手起業家から目が離せない。