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科学が好きということとSTAP騒動(その3)

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小保方さんのSTAP細胞は、生物学の歴史を愚弄していると言われるほど、革命的な発見だった。

何らかの刺激に因て、通常細胞が幹細胞にリセットできるのがホントだったら、確実にノーベル賞が取れたと思う。それくらい革命的な内容だ。

それが事実なら、いったいどんなメカニズムでそれが起き得るのか、基礎の(つまり役に立つ当てのない)方面の研究でも、解明すべき無数の謎がそこから沸き出てくるのは明らかで、そういう研究(科学者の飯の種を増やす)にノーベル賞は与えられるんだよね。

通常、こういう大きく常識からかけ離れた話は、初めのうちは話半分にしか聞くことができない。しかし世界中で追試が行われて、何年かしてあちこちから、どうもそれで正しいらしいと言う声が上がり始め、やっとホンモノだという合意ができてくるものだ。

しかし、STAPについては、小保方さん以外の共著者に、世界でもトップクラスの研究者が何人も名前を連ねていた。

これだけ名だたる人たちが、きちんと議論して論文を書き上げているなら、これまでの常識を覆すような結論でも、極めて信憑性は高いだろう......と、オレは思った。

ところが、結局、その論文は、誰もきちんと目を通してチェックしていなかったらしい。

どう考えてもそうとしか思えない。なぜなら、この論文は、誰かを騙そうと、巧妙に意図的にやったとは思えない、そのつもりだったらもっとうまくやるに違いない程度の、ぐだぐだな剽窃がいっぱいあるからだ。

疑いの目をもって見れば、すぐさまおかしさに気づける内容だったから、わずか1ヶ月の間にネットでの検証でボロが次々見つかった。

誰もチェックしていないなんて、まともな議論をしてないなんて、そんな事があり得るなんて、このできごとで初めて知って、本当にびっくりしちゃったんだよね。

いったいどんなセキュリティホールがあって、こんな事が起きたんだろう。

小保方さんは、AO(アドミッションズ・オフィス)入試によって早稲田に入学したとのこと。つまり、学力がどうだったかは不明だけど、プレゼン能力は優れていたのだろう。

STAPの発表の時の会見でも、オレの印象では拙さはあるけど、ものすごく頑張り屋さんなんだなってな雰囲気が感じ取れた。

オレみたいな50代中年オヤジだと、伸び代のありそうながんばりやさん萌え~、みたいな感情がわきだしてくるような( ・∀・ )

小保方さんは、その後もいくつかある関門をプレゼン能力の高さでくぐり抜けてきたんじゃないかと思う。それが重視される関門を選んで、うまいことくぐり抜けてきた感じ。

そういう関門に至る人は、これまでなら、学問とはなにかということが、解りきっている人だけだった。論文とは、誰かに見せて褒めて貰うために書くものではないということは、改めて説明されるまでもない人たちしかやってこなかったろう。

しかし、あの論文の捏造を見る限り、小保方さんは、なにも解明しようとしていなかった。できるに決まっているから、できてないけど、できてる風に見せようと体裁を繕ったとしか思えない。

何らかの刺激で、いったん分化した細胞がリセットされるというSTAP現象は、似たような条件の実験を山のように体系的にやって、しらみつぶしに探していかなければ見つけ出せるはずはない。それを実験ノートなどろくな記録も取らないで達成することは、常識的に言ってあり得ない。うっかり色々な写真を間違えて掲載しちゃうような、ずさんな資料管理をしている人に、できるような性質のものではないんだよね。

たぶんすごく真面目なつもりで、一生懸命手を動かしてはいたろうけど、誰も知らない世界の真実に唯一たどり着きたいという、科学者なら必ず持っているはずの欲望はなかったんだろう。

そういう科学の欲望を持った人が来ていることを前提として、面接を重視して、プレゼン能力が高い人が採用できれば、素晴らしかった。日本でトップクラスの研究機関のユニットリーダーという破格の待遇に収まったのも、そういう感じの採用だったらしい。しかし、小保方さんの場合、科学が好きという前提が崩れていたようだ。

しかし、そういったセキュリティホールを開けてしまったのは,他にも原因があったのではないかと思う。

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