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「私たちの世界を変革する」持続可能な開発目標ってどんなもの?(第五回:目標12)

2016年03月14日 15時36分 JST | 更新 2017年03月14日 18時12分 JST

前回は、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」※の目標13についてご紹介しました。今回は、目標12について紹介したいと思います。

※「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」:2016年から2030年までの15年間に、日本を含む世界のすべての国々が達成すべき目標。貧困・格差、気候変動などの課題について17の目標が定められている。「誰一人取り残さない」がキャッチフレーズになっている。

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Jiro Ose@Save the Children

SDGsの前身である「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals, MDGs)」では目標7として「環境の持続可能性の確保」が定められ、生産と消費は環境課題の一環としてとらえられていました。環境悪化の根本原因ともなる「生産・消費」が、個別かつ独立した一つの課題・目標として取り上げられてはいませんでした。これまで、生産と消費の拡大は経済発展のために必要であり、問題とされてこなかったことも一因と考えられます。

しかし、過剰な生産と消費により、気候変動や資源の枯渇、廃棄物による汚染などの環境面に悪影響を与えていること、生産の過程で資源が過剰に採取されるために生態系が崩れ、生物多様性に危機が生じていることがさらに問題視されるようになりました。また、大量消費・大量生産が先進国や新興国の一部にみられる一方で、絶対的貧困という「消費の極端な不足」に現される極端な格差の存在も大きな課題として認識されるようになってきました。

これらの問題に対処するためには国際的な取り組みが不可欠です。

これらの国際的な取り組みの議論が進展した結果、今回SDGsの目標12として「持続可能な生産と消費の確保」が定められました。

一つの独立した目標として生産と消費が取り上げられたことは、私たち一人一人が、消費者として日常的な生活パターンを改善するよう、また、全ての事業者がその事業活動を通して持続可能な開発に貢献するよう求められるということを意味しています。

そして、全ての国家も、持続可能な生産と消費に資する環境・経済・社会の実現に向けた政策・施策を実施する必要があります。世界の生産と消費の大部分を占めるのは先進国です。SDGsはその特徴として先進国を含むすべての国々を対象としているため、利害関係を持つ国々や大企業を巻き込んで問題に対処できるという観点からも、目標12が設定されたことは非常に大きな意味を持ちます。

注1:UNEP「持続可能な資源管理に関する国際パネル(資源パネル)」

2007年に設立された専門家グループで、資源の持続的な利用に関して権威のある科学的評価を提供しています。

注2:「国連持続可能な消費と生産に関する10年枠組み(10YFP)」

10YFPとは社会の消費・生産パターンを資源効率の高い、低炭素で持続可能なものに変革することを目指して策定された指針で、以下6つのプログラムがあり、政府や企業、市民社会などの様々なアクターの参加により具体的な取り組みが進められています。

①消費者情報

②持続可能なライフスタイルと教育

③持続可能な公共調達

④持続可能な建築・建設

⑤エコツーリズムを含む持続可能な観光

⑥持続可能な食料システム

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目標12

「持続可能な生産消費形態を確保する」

では、目標12について具体的に見ていきましょう。

すでに上述した10YFPを各国が進めることが、最初のターゲットとしてあげられています。次に持続可能な資源管理、フードロスの半減、廃棄物対策、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の3Rがターゲットとして挙げられています。これらは主に政府及び企業が果たすべき課題ですが、消費者も同時に取り組まなければいけません。

また、目標12のターゲット6では特に大企業や多国籍企業に対し、持続可能な取り組みを導入することが掲げられています。例えば日本では、企業と市民社会の連携による「OPEN 2030 PROJECT」が発足し、目標12を中心に企業によるSDGsへの貢献を目指す取り組みが始動しています。 さらにSDGs実施のためのガイドラインである「SDGsコンパス」が策定され、持続可能性を企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識が提供されています。

またターゲット6では、企業が財務情報だけではなくESG(環境、社会、ガバナンス)に関する非財務情報も企業の年次報告書などにおいて開示することが奨励されています。人々は、商品・サービスの消費者としてだけではなく、企業活動から影響を受ける利害関係者(たとえば工場からの排水や排ガスにより影響を受ける地域の住民であるなど)として、それらの情報を手に入れることはとても重要です。

さらに、欧米などの投資家は、すでに企業の財務状況だけではなく、企業活動の持続可能性も投資先の選定基準とするようになってきています。企業が持続可能な取り組みを進め、ESG 情報を開示することは、投資先として魅力的になるためにも求められていることなのです。

企業活動だけではなく、持続可能な消費と生産を達成するためには、私たち一人一人の消費パターン・生活パターンを改善することもとても重要です。ターゲット8では、人々が持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにすることが掲げられています。情報と意識をもつことにより、人々が消費と生産の行動パターンを改善していくことが可能になります。

私たちの世界を変革する」というのが、SDGsを含む国連で採択された文書のタイトルです。数多くの変革が目指されていますが、先進国に暮らす私たちが特に責任をもって取り組む必要がある目標の一つが、この目標12だといえるでしょう。

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

アドボカシーインターン

高橋雄輝