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常識を疑って、打ち破っていくのが進歩なんだね ── 本田宗一郎

2014年11月11日 22時59分 JST | 更新 2015年01月10日 19時12分 JST

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 赤字企業を再建すべく社長として赴任した人が、現場に改善点を提案すると、こんな答えが返ってきたという。

「規則ですから、それはできません」

 いずれも無茶な提案ではなかった。塗装工程で働く社員に多目に制服を支給するとか、トイレの数が少なく休憩時間がつぶれる女子社員のために休憩時間をラインごとにずらすといったもっともな提案だった。

 しかし、いずれも答えは「できません」だった。理由に挙げた「規則」は法律上のものではない。会社が決めたもので、問題があれば変えればいい。にもかかわらず、「規則ですから」と返す姿を見て、「この会社がおかしくなったのはこうした柔軟性の欠如にある」と感じ、社長権限で多くの改革を行ったところ、社員の働く意欲も高まり、業績も上向いた。

 

 そもそも規則や常識とは、変えることもできれば、時代とともに自然と変わっていくものもある。グーグルの創業者ラリー・ペイジが同社の成長の秘密を聞かれ、「常識を疑う姿勢」を挙げている。

「僕は両親から、これまでの偉大な科学者は常識を無視して、本能に従ったからこそ成功したのだと教えられてきた。今では会社経営もまったく同じだと分かった」

 過去の経験は有利に働くこともあれば、マイナスに働くこともある。余計な予備知識がなく、「すべてを疑う習慣」を持っていたことがグーグルを成功に導いたというのがペイジの考え方だ。たしかに既存の常識にガチガチに縛られていたら、世界を変えるほどの製品などできるはずもない。本田宗一郎は言う。

「常識ってのは、人間が考えたことだ。それを疑って、打ち破っていくのが進歩なんだね」

 本田は世界中の学者と会い、彼らの何にでも「なぜか」と問いかける姿勢に感銘を受けている。みんなが「当たり前」と思っていることにさえ、「なぜか」という姿勢で臨むところに発見があり、発明がある。

 規則が間違っているなら変えればいい。常識も、あくまでも「過去の常識」であり、「なぜか」と問いかけて「新しい常識」を生み出すところに大いなる進歩がある。

執筆:桑原 晃弥

本記事は書籍「1分間本田宗一郎」(SBクリエイティブ刊)を再構成したものです。

(2014年11月7日公開)