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震災から6年。「避難民」と「避難者」の違いは何ですか?

2017年03月17日 23時18分 JST | 更新 2017年03月17日 23時18分 JST

「避難民」と「避難者」の違いを説明できる方はいるだろうか? 震災から6年が経過し、現在でも避難生活を強いられている12万人の方々は「避難民」だろうか、「避難者」だろうか?

毎日新聞で記者をしていた時は何の違和感もなかった。海外で災害や紛争で家を失い、別の場所に避難している方たちを「国内避難民」と記し、日本国内で地震などで家を失った方々を「避難者」とか「避難されている方」と使い分けしていることに対して。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に勤務時代、「日本にもたくさんのInternally Displaced Persons(国内避難民)がいる」という話をすることがあり、それを和訳する度に、言いようのない違和感に襲われた。原発事故から避難されている方たちを「国内避難民」と記すことが「失礼」に感じてしまう。だとしたら、海外で避難されている方たちにも同様の感情を抱くべきでないのか?

 

「貧民」や「棄民」など、「○○民」というのは、どこか軽蔑した響きがある。この差別的とも言える「避難民」と「避難者」の使い分けは、日本が国際貢献できるチャンスを自ら放棄しているように思えてならない。

災害大国日本は、強制的に移住させられる人々の支援経験が豊富である。仮設住宅の建設から、被災者主体の仮設住宅の運営や、その後の自立支援まで、包括的な避難者支援の経験がある。現在、世界には強制的に移住させられている人が数千万人おり、その方たちも仮設住宅などで暮らし、経済的に自立できる方法を模索している。

日本は、こういった人たちを支援できるノウハウがたくさんあるはずなのに、「避難民」と「避難者」の使い分けにより、国内と国外にいる避難者が全く別物のように報じられ、避難者支援のノウハウを発揮するという発想に至りづらくなってはいないか。

例えば、福島の自主避難者への住宅無償支援が今年で打ち切られるが、私が働いていたケニアでは、紛争などから25年以上避難されている方たちがおり、住居、医療、食料、教育などを無料で受け続けてきた。資金の多くは、国連に多くの拠出金を出している日本政府のお金であり、国内の避難者より海外の避難者がより手厚く支援を受けているように思えてしまうが、これも「避難民」と「避難者」の使い分けによって、論点になりづらい。

世界では避難生活の「長期化」が大きな課題となっている。国連は、2万5000人以上が5年以上の避難生活を強いられた場合に「長期化」と位置づけ、世界全体の半分以上の避難生活が長期化している。これにより、無償援助を10年、20年と続けて援助依存に陥らせるのではなく、国連などは避難者たちが経済的に自立できるような支援方法を模索している。そして、日本は震災から6年がたち、12万人という大規模な長期化した国内避難民を抱える国となった。

難民の受入数が少ないために「難民鎖国」と揶揄され、この分野では後進国とされる日本。しかし、強制的に移住を強いられた人たちの支援経験では、間違いなく先進国だ。福島の子どもが避難先の学校でいじめに合う姿は、ケニアのソマリア難民が料理で使用する薪を拾い集める際に「私たちの木を盗むな。ソマリアへ帰れ」と地元住民から襲われるものと重なる。

もし、福島の人たちを「避難民」と記すことができないのなら、海外の方たちにも同様の姿勢で臨むべきだ。ましてや、ゴキブリやハエの様に「避難民が大量発生した」と記すなんて論外だ。

シリアやイラクで避難生活を送る人の境遇は決して遠い世界の話じゃない。強制的に移住を強いられる人は、私たちの周りにたくさんいる。そんな人たちが世界と連帯感を抱けるような報道はできないものだろうか。そうすれば、難民を受け入れる以外にも、難民のために日本が貢献できることがたくさんあるという発想も生まれてくるのではないか。