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村田雄基 Headshot

読み上げ機能の文章

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私は北海道の大学に通う医学生だ。最近、新聞から多くの情報を得る習慣ができた。だが、これまで以上に新聞を「読む」ことは減ってきた。代わりに、「聴く」ようになった。どういうことか。実は自分以外に読んでもらっている。それも、人ではない。iPhoneだ。興味のある記事に辿り着いたら、画面の上から指二本を引き下げる。そして、記事の朗読を聞く。早口で読み上げてもらう事も、ゆっくり進めてもらうこともできる。

この革新的な技術のお陰で、私の生活は変わった。ランニングをする時から家事をする時に至るまで、単調な作業中に耳から情報を入れられるようになった。パソコンでの作業や日頃の勉強もある中で、小さい文字を長時間読むのは正直眼が疲れてしまう。これなら、負担を軽くすることができる。更に、隙間時間の有効活用にもなる。電車の中や待ち合わせまでの時間など、5分、10分が貴重な情報収集の機会として利用できるようになった。

読み上げ機能を使うべき場面は、実際にあるのだろうか。先日、バトミントン選手がオリンピックに通用するようになった背景理由に関する記事をネットで読むのに夢中になってしまい、山手線を一駅降り過ごしてしまった。記事を読み上げてもらい、視覚情報をフリーにしておけばそうはならなかったかもしれない。また、高速バスに乗っている間、本当は本でも読んで過ごしたい。

しかし私は乗り物酔いをしやすい。そんな時、この機能は非常にありがたい。景色を眺めながら本を「聴く」こともできるからだ。

本の内容で向き、不向きはあるのだろうか。小説など、場面の雰囲気を想像するのに機械的な声はあまり向いているとは思えなかった。一方で、ビジネスや歴史に関する本は淡々と進んでいくこの機能と実に相性がいい。

コンピュータが機械的な声で記事を読み上げることに違和感を覚える人もいるだろう。確かに漢字の読み間違えなど、問題は残る。しかし、以前に比べ聞き取りやすさやアクセントは徐々に改善しつつある。誰にとっても使いやすい技術になる日が来るのは、そう遠くないだろう。

また、聞きながら読むと更に理解が深まる。最近は日々の情報をアップデートするのにニュースアプリを使う人も増えて来た。しかし新聞は今、より多くの人が読めるよう変わりつつある。各新聞社がネットでの閲覧を可能にしたことにより、プロの記者が書いた記事をリアルタイムで確認できるようになった。

最近は学生向けの本の紹介や新社会人のためのマナー講座など、大学生にとってより勉強になるコーナーも充実してきた。スポーツや地域の活動など、最前線で活躍する若者が取り上げられることも増えているように感じる。

だが世間では若者が新聞を読まなくなっていることがしばしば嘆かれる。単に関心の薄れが原因ではなく、情報の多様化によって触れる時間が取れなくなっていることも考えられる。しかし、そもそも新聞は世の中の流れや多様な意見を知るのに重要なツールだ。

今まで記事の全てを読む時間を取ることが難しかった人でも、これら多くの質の高い情報に気軽に触れられるようになった。人によっては、耳学問の方が頭に残りやすいということもあるだろう。機械が読み上げることに抵抗がある人も多いだろうが、これを機に新聞の新しい使い方を試してみてはいかがだろうか。