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永崎裕麻 Headshot

自民党がスタンディング・オベーションを送る「自衛隊」の尻ぬぐいをフィジー軍が担当

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先日、安倍首相が所信表明演説にて自衛隊を称えた際、自民党議員たちがスタンディング・オベーションをした件が話題(問題)になっていますね。

フィジーでそのニュースを見た私は、「自衛隊にも拍手を送りたいけど、フィジー軍にも喝采を」と思いました。

「今世紀最悪の人道危機」と言われるシリア内戦

治安の悪化を理由に撤収した自衛隊の穴を埋めたのは、小国フィジーでした。

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笑顔がまばゆいフィジー軍の人たち

2013年1月、シリア内戦の激化に伴い、自衛隊(約50名)がシリアから撤収

自衛隊は1996年から、ゴラン高原(シリアとイスラエルの国境地帯)でPKO活動(食料品の輸送や道路の補修など)に従事していました。しかし、治安悪化を理由とし、17年間の活動に終止符が打たれることになってしまいました。ちなみに、安全性を理由に自衛隊がPKO活動から撤収するのはこれが初めてのこと。

自衛隊の撤収後も、約1,000名の兵士がゴラン高原でPKO活動を継続していました。その内訳は、オーストリアから約380名、フィリピンから約340名、インドから約200名、クロアチアから約100名。

その後、治安はさらに悪化し、13年3月、クロアチア軍も日本に続いて撤収。同月、シリア反政府武装勢力がフィリピン軍兵士21名を拘束する事件が起き、フィリピン軍も撤収を検討。同年6月、主力のオーストリア軍が翌月撤収を決定。

シリア・イスラエル間の銃撃戦が頻発していて、どこの国も兵士を送り込みたくない危機的状況。そんな中、、、 シリアからすると地球の真裏に位置するフィジーから500名の派兵が決まりました。

これを知った時、複雑な心境でした。

フィジーのような小さな国が、世界平和という大きな役割を担うことについて誇りを感じる一方で、先進国軍が安全性を理由に撤収した尻ぬぐい(命を危険にさらす)を途上国の国民がしなければならい現実にやるせなさも感じました。

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同僚として一緒に働いていたビリー。シリア派遣で軍から声がかかり、退職してシリアへ

また、500名という人数もフィジーの人口規模(約90万人)からすると、とてつもない数字です。フィジー人口の100倍以上のフィリピンからでも340名、1,000倍以上のインドからも200名なので。

シリア以外でも、フィジー軍兵士はシナイ半島(エジプトとイスラエルの国境地帯)やイラクにも派遣されていて、世界平和に貢献しています。

フィジー人兵士が世界で人気がある理由は、筋肉隆々でガタイも良く、ラグビーで見せるような俊敏さも持ち合わせてるからです。加えて、人柄はフレンドリー。

フィジー人は「世界一フレンドリーな兵士」であることを誇りに思っていて、「フィジー軍が行けば、敵同士が仲直りできる」と信じていたりします。

世界の危険地域に派遣されているフィジー軍兵士たち。お金が目的なのももちろんありますが、それ以上に、国家のプライドを背負い、フィジー国民の期待に応えたい気持ちで命を張り続けています。

多くのフィジー国民が兵士たちの活躍と無事を、毎日欠かさず祈ってくれています。そうやって信じ、祈ってくれる人たちがいるから、兵士たちもまた頑張れます。フィジー最大の魅力である「つながり」の力です。

「自国のために戦う意思があるかどうか」についての世論調査があります(※)。

「YES」の回答において、日本は世界最低の11%、逆に、フィジーは世界最高の94%と、非常に対極的です。

日本では憲法改正に向けた議論が徐々に本格的になりつつあります。

それと関係あるかどうかはさておき、「南のちっちゃい島国による、デッカイ世界貢献」、ぜひ知っておいていただければと思います。

※2015年3月に発表された「ギャラップ・インターナショナルとWIN (Worldwide Independent Network of Market Research)による共同調査」。64カ国が対象。

【Amazon】拙著『世界でいちばん幸せな国フィジーの 世界でいちばん非常識な幸福論』(いろは出版)

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