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特別養子縁組「100万円」は高いのか?【争点まとめ:少子化】

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Week after baby girl was born. | Getty
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血のつながらない幼い子どもと、法的にも親子になる「特別養子縁組」。この制度で縁組をあっせんする事業者が、養父母から多額の寄付金を受け取っていたとして、厚生労働省が全国の自治体に調査を指示し、東京都は11日、都内のあっせん業者の事務所に立ち入り調査に入った。児童福祉法では、養子あっせんで利益を得ることは禁止されている。国の指示を受けた東京都は同日、東久留米市の一般社団法人「ベビーライフ」を立ち入り調査した。

この一件が浮き彫りにしたのは、養子縁組そのものが抱える問題の複雑さだ。いま、核家族化、夫や恋人の暴力、貧困などで、予期せぬ妊娠をして孤立する女性がいる。そのいっぽうで、晩婚化・晩産化で、10組みに1組が不妊の問題を抱えているといわれる。本来なら里親制度による養子縁組を広めるべき児童相談所は、増える一方の児童虐待案件に追われて手が回らない。このため、とりわけ赤ちゃんの養子縁組は、ほとんど民間の事業者が担ってきた。全国に14団体。厚労省のホームページで公開されている。

今回問題となったのは、一般社団法人「ベビーライフ」(東京都)で、2009~11年度の3年間で計約4600万円の寄付金と会費を受け取ったと都に報告していた。またNPO法人「環の会」(新宿区)も3年間で計約3700万円の寄付金などを受け取っていたという。

また、別の報道によれば、ベビーライフの1件あたりの寄付の最高額は187万円で、現在は「エンジェルフィー」として一律で180万円を受け取っていた。「環の会」は1人目を迎える場合は一律で120万円、2人目は60万円を保育料として養親に負担してもらっていたと説明するが、費目上は「寄付」としていた。

養親からどういう費目でどれだけの金額をもらうかは、団体ごとに違っている。こうした費用が、「高額な寄付」といえるかどうかについて、フローレンスの駒崎弘樹さんは、ネット上で強く反論している。

いま、日本では、保護を必要とする子どもの9割が施設で暮らす。施設養護の比率がこれだけ高いのは、先進国でも日本だけ。厚労省も、実親が育てられない子どもを社会が育てる「社会的養護」の柱を、従来の施設中心から家庭的環境での養護に切り替えようと、里親を含む家庭的養護を現状の1割から3割に増やそうという目標を立てている。

だが、行政がどこまで担えるのかについては疑問の声もある。「谷中ベビマム安心ネット」の矢嶋桃子さんはこう指摘する。

駒崎氏は自身のブログで虐待問題の解決策について下記のように述べている。

日本では毎年50人近くの子ども達が虐待で死んでいて、そのうち半数が産まれたばかりの乳児。計算すると、2週間に1人、この世に生を受けた瞬間に実の母親から殺されている赤ちゃん達がいることになります。特別養子縁組が、人知れずこうした失われるはずの命を救っているのです。

(駒崎弘樹氏ブログ「赤ちゃんの命を救う特別養子縁組」より。2013/06/27)

特別養子縁組は、そもそも日本の社会ではあまりおおっぴらに語られない。もし、必要な制度ならば、いったいだれがそのコストを担うのか。複数の報道によれば、厚生労働省は各団体への立ち入り調査の結果をもとに、事業者への規制の強化も検討しているという。

子どもにとって、いちばんの幸せは愛されて育つこと。子どもの目線で考えたとき、どんな社会的養護の姿が望ましいのか、今回の事件をきっかけに、養子縁組のあり方について、社会全体で議論するときではないか。

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