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アメリカのパワー国連大使、安保理でのシリア問題解決断念「ロシアが安保理を人質に」

2013年09月05日 20時32分 JST | 更新 2013年09月07日 16時31分 JST


アメリカのサマンサ・パワー国連大使は9月5日、国連安全保障理事会でシリア問題の解決策を模索していくことを断念したと表明した。パワー大使は「ロシアは安保理を人質に取り、国際的な責任を回避している」と述べ、シリア政権による化学兵器の使用を容認していると非難した。ロイターが伝えた。

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同大使は記者団に対し、イギリスがシリアへの武力行使容認を求め、イギリスが安保理に提示した決議案は事実上「死に体」だったとし、「イギリスが決議案を提示した会合に私は出席していた。その場でのやり取りやボディーランゲージ、会合のすべてが、とりわけロシア(の反対)によって議決案が可決される可能性はないことを示唆していた」と語った。

■ 日米首脳、シリア情勢で引き続き連携

安倍晋三首相は9月5日午後(日本時間同日夜)、オバマ米大統領と訪問先のロシア・サンクトペテルブルクで会談した。両首脳はシリア情勢の改善に向け日米両政府が引き続き連携することで一致した。

朝日新聞デジタルによると、シリア情勢について、首相は「化学兵器が使用された可能性が極めて高い。北朝鮮などの大量破壊兵器の保有国との関係にも波及する」と懸念を表明。「非人道的行為を食い止めるというアメリカの責任感に心から敬意を表する。国際社会の幅広いコンセンサスを得ようとする努力を評価する」と述べ、米政府の対応に一定の理解を示した。オバマ氏は「我々の共通認識であるシリアの化学兵器使用は、悲劇であるだけでなく、対処しなければならない国際法違反だ」と述べた。

■ G20開幕、米ロ首脳が外交戦を展開 オバマ大統領は正当性強調

5日午後(日本時間同日夜)、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで開幕した20カ国・地域(G20)首脳会議で、議長を務めるプーチン大統領は冒頭、化学兵器使用疑惑に揺れるシリア問題を同日夜(日本時間6日未明)の夕食会で取り上げることを提案した。軍事介入の方針を決めたアメリカのオバマ大統領と、これに反対するプーチン大統領が情勢緊迫後初めて顔を合わせる機会で、各国を巻き込んだ「外交戦」を展開することになりそうだ。

オバマ氏は4日、訪問先のスウェーデンで北欧5カ国の首脳らと会食、共同声明を発表した。声明には「化学兵器使用を強く非難し、国際社会としての強力な対応が必要だと確信している」との文言を盛り込み、軍事行動に支持が得られているとアピールした

オバマ氏はスウェーデンのラインフェルト首相との共同記者会見で、「シリアで化学兵器攻撃があったことを批判するだけの最も穏やかな決議にも抵抗した」と、ロシアを厳しく批判した。軍事行動を起こさなければ化学兵器の使用を認めることになるとし、安保理決議なしでの軍事行動の正当性を強調した

■ アメリカ上院外交委員会、シリア攻撃を承認 最長90日に限定

アメリカ上院外交委員会は4日、シリアに対する限定的な軍事攻撃を認める決議案を10対7の賛成多数で可決した。上院外交委員会の決議案はシリアでの武力行使に60日の期限を設け、さらに30日の延長を認める内容。地上部隊は派遣しないと明言した。

CNNによると、ホワイトハウスは歓迎の談話を発表し、「決議案で承認された軍事行動は、アサド政権の化学兵器使用能力をそぎ、今後の使用を阻止することによって、米国の国家安全保障上の利益を守るものとなる」と述べるとともに、「シリアでの政権移行を加速させるため、反体制派支援のためのより広範な戦略を追求する」とした。

■ BRICS、EU、アメリカ主導の軍事介入への支持表明せず

ロシアと中国、両国を含む新興5カ国(BRICS)のほか欧州連合(EU)は5日、相次いで安保理の承認なしでシリアへ軍事介入する危険性を訴えた

中国財政省の朱光耀次官は「軍事行動は世界経済に悪影響を及ぼし、特に原油価格に対しては上昇要因になる」と指摘。

BRICS首脳は、シリアに対する軍事介入が実施されれば世界経済が阻害される恐れがあるとの懸念を表明した。

欧州連合(EU)首脳は5日、シリアでの8月21日の化学兵器使用を「忌まわしい」行為と非難する一方、アメリカ主導の軍事介入への支持は表明しなかった。

ロイターによると、ファンロンパイEU大統領は、20カ国・地域(G20)首脳会議の開始前に記者団に対し、シリアでの化学兵器使用は人道に対する犯罪であり、看過できないと非難。ただ、2年半におよんでいる同国の内戦については、軍事的な解決はあり得ないとし、外交的な取り組みが最善の解決策との立場を示した。

また「行動を求める最近の動きを尊重する一方で、われわれは同時に、国連の手続きを通じた対応を進める必要性を強調する」と述べた。

■ シリア元国防相が離反、トルコへ出国

シリア反体制派統一組織「シリア国民連合」の幹部は4日、ロイターに対し、同国のアリ・ハビブ元国防相がアサド政権から離反しトルコに出国したと明らかにした。

同氏の離反が事実ならアサド大統領と同じ少数派イスラム教アラウィ派からの離反者としては2011年の内戦開始以降で最高位になるとみられる。

シリア国民連合のカマル・アル・ラブワリ氏は「ハビブ氏は政権の手を逃れてトルコに入ったが、これは同氏が反政府側についたことを意味するものではない。わたしは西側外交筋からこのことを伝えられた」と話した。

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