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川内原発、再稼働して大丈夫か 進まぬ避難計画、山積する課題とは

2014年03月21日 22時38分 JST | 更新 2014年03月21日 23時17分 JST
時事通信社

国内の全原発が停まるきっかけとなった東日本大震災から3年。政府は再び原発再稼働へと舵を切り出した。その第一号として有力なのは、九州電力・川内(せんだい)原発の1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)だ。今夏にも再稼働する見込みだが、なぜ川内原発が対象となっているのか。再稼働して問題はないのか。これまでに判明した状況をまとめてみた。

■川内原発、再稼働への流れ

原子力規制委員会は3月13日、川内原発1、2号機の安全審査を優先的に進めると発表。審査合格の見通しが立ったと、ロイターが報じた。

規制委の田中俊一委員長は、対象となった原子炉は審査合格の見通しが立ったものとの認識を示している。同1、2号が新規制基準への適合性を認められて再稼動する初の原発となる可能性が高まった。

(ロイター「規制委が九電川内原発の優先審査決定、再稼動1番乗りの公算大」より 2014/03/13 20:34)

安倍晋三首相は「規制基準に適合すると認められた原発は再稼働を進める」と明言しており、原発の運転再開を認める方針だ。朝日新聞デジタルでは、「今夏にも再稼働する見通しになった」と報じている

現在、8電力会社の10原発17基が再稼働に向けた安全審査を申請しているが、原子力規制委員会は川内原発で審査の手本を作り、他の審査も効率的に行う考えだという。

■なぜ川内原発なのか?

安全審査を申請している10の原発の中でなぜ、川内原発の再稼働が優先されたのか。MSN産経ニュースは「規制委への“恭順の意”もポイントになった」と報じている。

昨年7月の新規制基準施行と同じ時期に、4電力会社が、6原発10基の審査を申請した。中でも、川内は基準地震動(想定される最大の揺れ)を「安全側に行き過ぎている」(九電幹部)というほど、規制委の要求に全面的に従った。基準地震動を上げても追加工事がなく、大幅見直しが可能だったことが大きい。

(MSN産経ニュース「なぜ川内が一番に? 他の審査は?」2014/03.13 19:46)

■鹿児島市では過去最大規模の反対集会

今夏にも川内原発が再稼働する可能性が高まったことを受けて3月16日、鹿児島市内で反原発を訴える市民集会が行われた。約6000人が参加し県内の反原発集会としては過去最大規模となった。

原子力規制委員会の優先審査により、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が今夏にも再稼働する見通しになったことを受け、脱原発を訴える市民集会が16日、鹿児島市であった。「再稼働は絶対に許されない」「原発のない地球で暮らしたい」と声を上げながら、参加者は市中心部をデモ行進した。「反原発・かごしまネット」などでつくる実行委が呼びかけ、約6千人(主催者発表)が参加。県内での反原発集会としては過去最大規模となった。

(朝日新聞デジタル「川内原発の「再稼働反対」で集会 鹿児島、6千人が参加」より 2014/03/16 22:29)

■隣接する熊本県「安全性、九州全域に説明」

また熊本県の蒲島郁夫知事も18日の会見で、川内原発の再稼働について「九州全域の人たちが安全性にとても敏感になっている」と述べ、国に説明責任があるとの認識を示した。熊本県は、水俣市などが川内原発から約40キロに位置している。

熊本県の蒲島郁夫知事は18日の定例記者会見で、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が、再稼働1号になる可能性が高まったことに関連し、「(原発が立地する)鹿児島県や佐賀県の問題ではなく、九州全域の人たちが安全性にとても敏感になっている。安全性は国の責任において確保されるべきもので、国は丁寧な説明責任がある」と述べ、再稼働決定時に国が九州全域に説明する必要があるとの認識を示した。



(西日本「川内原発再稼働時「九州全域に説明を」 熊本県の蒲島知事 - 西日本新聞」より 2014/03/18 20:40)

■原発事故時、避難計画を策定した自治体は4割強

原発の新規制基準では、地震や津波など対策が強化され、重大事故やテロも含めた過酷事故への備えが義務づけられた。安倍首相が「世界で最も厳しい」と称する安全基準だが、基準をクリアしたとしても住民の安全が保障されるわけではない。

福島第一原発事故の反省をふまえて、国は原発の半径10キロ圏だった災害対策重点区域を30キロ圏に拡大。自治体に詳細な避難計画作りを求めたが、対象の自治体のうち1月までに策定が終わったのは4割強にとどまっている。

国は一昨年、原発の半径10㌔圏だった災害対策重点区域を30㌔圏に拡大し、自治体に詳細な避難計画作りを求めた。 しかし、対象の21道府県135市町村のうち、この1月末までに策定が終わったのは4割強にとどまっている。

重点区域の拡大で市町村数は3倍に増えた。新たに対象となった自治体は原子力防災の専門知識を持った職員らが少なく、作業は難航している。放射性物質の飛散は地形や天候に大きく左右され、避難先やルートも違ってくる。しかも介護施設入所者の避難計画作りは施設側に任され、完成には相当の時間がかかる見通しだ。

(高知新聞「高知のニュース:社説:【原発避難計画】再稼働どころではない」より 2014/03/17 08:13)

■原発再稼働「反対」59%、脱原発「賛成」77%

政府は2月、エネルギー基本計画案で原発を、電気を安定的に供給するための「ベースロード電源」と位置づけ、再稼働を進める方針を明らかにしたが、世論は再稼働反対が多数を占めた。朝日新聞の調査によれば、再稼働「反対」が59%、原発を段階的に減らし、将来はやめる「脱原発」については「賛成」が77%だったという。

朝日新聞社が15、16日に実施した全国世論調査(電話)で、原子力発電所の運転再開の賛否を尋ねたところ、「賛成」は28%で、「反対」の59%が上回った。

昨年7月、9月、今年1月の調査でも同じ質問をしており、「反対」はいずれも56%だった。(中略)原発を段階的に減らし、将来は、やめる「脱原発」については、「賛成」が77%で、「反対」の14%を引き離した。

(朝日新聞デジタル「原発再稼働「反対」59% 朝日新聞の世論調査」より 2014/03/18 05:09)

■福島第一原発事故の収束作業への影響

原発事故の収束の見通しが立たないまま、原発を再稼働させることへの不安もある。作業員として福島第一原発事故の収束作業に携わるハッピーさんはハフポスト日本版の取材に対し、川内原発を初めとしたPWR(加圧水型)の再稼働準備によって「全国の技術者や作業員の応援を呼べなくなった」などと語っている。

今までは事故当初は全国の原発が順次止まりましたから、全国から技術者や作業員が応援で1F(福島第一原発)に来ていたんです。ところが再稼働の話が出て、PWRの再稼働準備が先行したので、PWRの新規制基準に対応するため、主に西日本から人を呼べなくなった。(略)そうなると1Fで残り線量が少ない人たちやベテラン作業員は、そちらに流れていく傾向になっている状況です。

(ハフポスト日本版「【3.11】福島第一原発の収束作業現場は3年でどう変わったか? ベテラン作業員のハッピーさんに聞く」より 2014/3/11)

原発再稼働には、地元の同意や国民の理解が欠かせない。政府は、多数を占める再稼働「反対」の声や福島第一原発事故の収束作業への影響について深慮すべきだろう。

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