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美術館に行くのがもっと楽しくなる22の方法

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イタリア人作家イタロ・カルヴィーノ氏は、著書『なぜ古典を読むのか』で、刺激や雑音がひしめき合う現代では、時として「心の窓」を閉めて、古典文学を読む必要があると述べている。カルヴィーノ氏は、1991年にはもうこんなことを書いていたのだ。

古典文学だけでなく、美術館に足を運ぶことも、21世紀の情報過多と雑音に対する「解毒剤」になるだろう。快適な環境で2、3時間、静かに絵画や彫刻、写真などを鑑賞するだけで、日々の慌ただしさや悩みを忘れることができる。そして、普段奥深くにしまっている感情も思い出すことができる。


ヒッチコック監督の映画「めまい」の中で、キム・ノヴァックが自分に乗り移ったと思われる女性の肖像画を何時間も見つめているシーン。

ただし、美術館に行くにはそれなりの「心構え」が必要だ。ショッピングモールに行くときのように、何も考えずに行っていいわけではない。また、社会的・文化的ステータスを象徴する行為として行くのもよくない。美術館に行くことは自分に対する投資であって、より意識的に行動し、自身の感受性を磨いて初めて、その楽しみも倍増するのだ。

以下に挙げたのは、次回の美術館行きを最大限に楽しめる22の方法だ。

1. 行列や閉館のサインを避けよう

観光業がグローバル化したことで、世界の主要な美術館は日に日に混雑になっている。特に優れた展示内容には、世界中からたくさんの観衆が集まる。長蛇の列や、閉館サインに出くわして入れない!なんていう事態を阻止するために、オンラインで事前にチケットを購入するようにしよう。事前に来館を予約できる美術館も多いが、遅刻はしないように。

2. 混雑が少ない日や時間帯を選ぶ

いつも上手くいくわけではないが、作品を一目見るために人混みを押し分けなければならないような事態を避けるためには、平日の混雑が少ない時間に訪れるようにするといい。(特に祝日は避けること)

3. 訪館前にリサーチをしておく

事前に、美術館とコレクションに関する予備知識を得ておけば、訪館中に何に集中すべきかを判断しやすくなる。展示されている芸術家、その思想、これまでに住んでいた場所と時代、そして属する潮流に関する情報を調べておくと、より作品が味わい深くなる。例えば、ニューヨーク近代美術館のウェブサイトには、同美術館にある素晴らしいモダン・コンテンポラリーアートを最大限に楽しむためのポイントが満載のページがある。こうした知識を身につけておけば、実際に作品の前に立った時に更に楽しむことができるだろう。

4. 小規模で、混雑の少ない美術館を選ぶ

あまり名の知られていない美術館を選ぶことで、混雑のストレスを避けることができる。さらに、そのような美術館では、特定のトピック、文化もしくは時代に関するコレクションが展示されているため、観る人にとってわかりやすい内容になっている。そして当然、ストレスなしにこれらを鑑賞できるのだ。

5. アーティストやコレクターの自宅を訪れる

元々はアーティストの自宅だった敷地が美術館になっている場所を訪れることで、そのアーティストや家族の嗜好や習慣、作業過程も知ることができる。また、優れたコレクターの自宅を訪問すれば、彼らの解釈や見解に触れることができるので、より有意義な時間を過ごすことができる。

6. 一日のわずかな時間のみを費やそう

過ぎたるはなお及ばざるがごとし。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、ルーブル美術館(パリ)、大英博物館(ロンドン)などの大きな美術館では、何日でも時間を過ごすことができる。しかし、芸術作品の価値を味わうには集中力が必要であり、3時間もすれば心身ともに疲れきってしまう。美術館に行くならば、午前か午後のどちらか一方の時間帯を選び、それ以外の時間は、できれば屋外で全くちがうことに時間を費やそう。

7. 私は午前が好き

私個人は、できれば朝早く起きて、素敵な朝食をとった後、スッキリとした心と十分な休みを得た身体とともに、午前9時頃に美術館に到着したい。お昼時には、もう任務完了。美術館を出る頃にはランチの時間であり、もしも休暇中ならばワインでもすすりながらその日目にした芸術に乾杯しよう。

8. 夜、全てが変わる

一部の美術館は、週に1度か月に1度、夜でも開館している。結構混雑する場合が多いが、日中の勤務時間を終えた人たちが来館するため普段の客層とは異なってくる。それが時折、ある種パーティのような雰囲気を作り出すこともある。あなたも気付いたら、ナンパしているかもしれない。

9. 快適さを一番に

美術館に行くつもりなら、快適な靴と衣服を選ぶこと。重いバッグやコートはロッカーにしまい、手ぶらで楽しもう。

10. 電話は電源を切ること。写真は禁止!

美術館が提供する特別な経験とは一切関係のない、日常の刺激による妨害を回避すること。自分自身の時間、そして周囲の人たちの時間を尊重すること。また、プロの手によって作られた絵画や彫刻を写真に撮っても、しょうがない。おみやげが欲しければ、美術館のショップに行こう。

11. 美術館で瞑想

走ったり、大声で話したり、議論をしたり、作品に触れる行為は、不適切である。混雑しているのであれば、イライラしたり、周囲の人と押し合ったりしないこと。まるで瞑想しているかのように、心と身体をリラックスさせよう。ゆっくりとした歩調で、地面に足の裏をしっかりとつける。意識して呼吸し、腕と肩をリラックスさせ、顎を緩めること。今、その瞬間に集中して、忍耐と親切心をもって人に接しよう。

12. 考えや感情を受け入れる余裕を作る

落ち着いてリラックスすればするほど、作品の審美的体験を味わい、そこに生じる思想や感情を理解できるようになる。ある絵が平穏や歓びの感覚を伝えるものであれば、一緒に微笑もう。感動したならば、涙を流してもいい。私自身、サイ・トゥオンブリーの劇的な絵画、ルイーズ・ブルジョワの特殊な宇宙感、そしてロダンの彫刻の力強さを発見したときには、たくさん泣いた覚えがある。

13. 芸術作品とは、不可解なもの

多くの人は、機械的に美術館を訪れている。しかし、芸術は考えたこともなかったような新しい問いを投げかける力を持っている。例えば、作者はこの作品を通じて何を伝えようとしているのか? この作品は、どのような感情を引き出すか? 私をどのような気分にさせるか? ある作品に惹かれたならば、さらに時間を費やして、その意味を解読してみよう。


ダリオ・アルジェント監督の映画「スタンダール・シンドローム」(1996)のオープニングシーン。壮大な美しさを放つ芸術作品を見たとき、登場人物がめまいを感じている。

14. 補足資料を読むべきか、読まざるべきか

これは、本当に訪館者の性格次第である。芸術家、そして自分の目で見ているその作品に関するあらゆる情報を知りたがる人もいるが、当然これには時間がかかる。追加的な情報にはさほど注意せずに、作品に集中したいという人もいる。自分の目で判断し、ランダムな作品を次々と目の当たりにするといい。決まりきったプランに従う必要はない。

15. 音声ツアーは必要?

この種のツアーは、楽しくて刺激的な方法でたくさんの関連情報を提供してくれる。しかし、訪館者の時間を制約するのも事実である。最悪なのは、聞いたり聞かなかったり、あるいはプログラムを早送りして時間を節約しようとする場合である。プログラムに従うことを選択した場合、最後までそれに沿うこと。それができないならば、音声ツアーには入らない方がいい。

16. 常設展か企画展か

通常、大きな美術館には常設展専用スペース、そして企画展向けスペースが備わっている。どちらも行くべきだが、美術館での経験を最大限に楽しむためには、あなた自身がその時に一番関心のある展示に行くべきである。常設展の中でも、色々と取捨選択しなければならない。1つか2つのセクションを選んで、それに没頭しよう。

17. 企画展示が有意義な理由

私がオランジュリー美術館(パリ)で見て、非常に気に入ったある展示は、偉大な芸術家たちが自らの子供たちをモデルに使用した絵画が集められていた。作品の横には、描かれた子供たちの証言ビデオがあり、彼らの多くは、モデルとしてポージングするのが大嫌いだったと語っていた。このような展示では決まったテーマがあり、たくさんの芸術家たちの作品を一同に集めることで、作品同士の「会話」を楽しむことができるため、一見の価値がある。そこでは、世界中の美術館から作品が集められるため、再び同じ内容を見れる機会はほぼない。ラベルをよく見て、各作品が元々展示されていた美術館を確認しておこう。

18. ガイド付きツアーと教育プログラム

ガイドを付けて美術館を巡る経験は、非常に豊かな経験となる。教育、もしくは文化プログラムもあるかもしれないため、時間がある場合はどちらかを選んでみるといい。

19. 一人で行くことの利点

一人でいれば、訪館中に高まる感情や興奮に集中しやすくなる。あちらこちらに足を運んだり、しばらく休んだり、強烈な作品の前でしばらくじっと座ったりと、自分のペースで時間を過ごせる。ぜひ試してみよう!

20. 誰かと一緒でも素晴らしい

美術館は、友人との交流や絆を深め、デートするにもうってつけの場所でもある。自分と本当に気が合い、価値観を共有できる人間か、あるいは芸術を本当に理解できる人と一緒に行くのが一番のお勧めである。作品に対する互いの見解を交換したり、一人であれば気付かないような細かい部分へのこだわりを伝えたりするいい機会である。ただし、相手を焦らせたり、つまらない表情をして扉付近で待つのは止そう。

21. 美術館に子供を連れて行くのは?

連れて行くこともできるが、子供たちにとって義務にならないようにしよう。子供たちにとっても、美術館は楽しいところであるべきだからだ。より幼い頃から美術館や展示会に行くことで、芸術的なセンスを磨けるようになる。事前に芸術作品に関する本を子供に渡しておき、実際の作品を観に連れて行くのがベストな方法だろう。また、訪館中に子供が、作品について観察すべきテーマ(例えば、帽子を被った人の絵)を1つ選ぶのも良いだろう。

22. 最後に、一番重要なポイント: 「絵画を自宅に持ち帰ろう」

既に述べたが、美術館で写真を撮ることほど悪趣味なことはない。ただし、私には個人的なこだわりを持って取り組んでいることがある。私は各部屋で、自分を最も感動させた絵か彫刻を選び、美術館を出る前にもう一度そこに戻って、その像を心に焼き付けるのである。美術館を去るときには、記憶の中に「持ち帰る」と決めた一番の作品を心の奥にそっとしまうのである。

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この記事はハフポストカナダ版に掲載されたものを翻訳しました。

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