ウォーホルが98億円...2014年に高値で落札された美術品10選

2014年は美術界で何作もの作品の持ち主が変わった。ニュースの見出しを飾った大半の作品が、例によってウォーホル、ベーコン、トゥオンブリーといった、白人で漫画キャラクターのような名前を持った作家による現代美術だった。
FILE - This undated file photo provided by Christie's shows Andy Warhol's
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ASSOCIATED PRESS

金、金、金。2014年は美術界で何作もの作品の持ち主が変わった。ニュースの見出しを飾った大半の作品が、例によってウォーホル、ベーコン、トゥオンブリーといった、白人で漫画キャラクターのような名前を持った作家による現代美術だった。GIFアニメ画像1枚に中国から1億ドル(約120億円)も出してくるような人はいなかったが、それでも競売台では私たちを驚かせてくれるようなことが起こった。エルビスのトリプティカ(三連板)から美術史に残る偉業のジョージア・オキーフ 『Jimson Weed』 まで、以下に挙げたハイライトをご覧頂きたい。

1. アンディ・ウォーホル『トリプル・エルビス(Ferus Type)』(1963)、8190万ドル(約98億円)

アメリカ最大のポップ・リサイクラー制作による、22点のエルビス画像の1つ。7フィート(約213cm)近くの高さを持つ3枚続きの肖像画は、この歌手を銃を射つカウボーイに仕立てて、インクとシルバーペイントで描いている。2014年9月にクリスティーズで8000万ドル以上で落札された。

2. アンディ・ウォーホル『フォー・マーロンズ 』(1966)、6960万ドル(約83億円)

エルビスのトリプティカ(三連板)と同じように、よく目にするこのウォーホルのプリント(上写真右側)だが、実際は2014年までオークションに登場したことはなかった。この2作はどちらも1970年代にドイツのカジノ会社が2点合わせてたったの20万ドルで購入していたものだが、クリスティーズを介して競売に出された。利鞘が高いとはこのことだ。

3. フランシス・ベーコン『ジョン・エドワーズの肖像のための三習作』 (1984)、8080万ドル(約97億円)

伝えられているところによると、ジョン・エドワーズは読み書きのできないロンドンのバーのマネージャーで、1970年代にアイルランドの画家フランシス・ベーコンと知り合い、一番の親友(愛人ではない)で唯一の遺産相続人となった人だ。2014年秋、ベーコンがエドワーズを描いた習作のパネルは、2、3の入札が競っただけで、その後「クリスティーズで秘密のハイ・ローラー(大金を掛ける人)スペシャリスト」という別名を持つ、資産家の シン・リー氏の委託を受けたあるバイヤーが落札した。

4. サイ・トゥオンブリー『無題』6960万ドル(約83億円)

サイ・トゥオンブリーの『黒板』シリーズの一部であり、グレイキャンバスが白のワックスクレヨンの落書きで覆われた作品である。この無題の連作の一部は期待を上回り、この作品に上記の ウォーホルの2作も加わり、2014年はクリスティーズが史上最高の利益を得た年となった。

5. マーク・ロスコ『無題』2点、7600万ドル(約91億円)

ロスコの2作のうち、後期の作品(写真には写っていない方)は、洗口液「リステリン」を開発したジョーダン・ランバートの孫で美術品収集家のレイチェル・「バニー」・メロンが所蔵していたが、販売前の予想上限の2倍近くの最高額に達した。このおかげで、#yearofChristies(クリスティーズの年)と呼ばれた2014年、サザビーに成功をもたらした。(ただし、クリスティーズもロスコで成功を収めている)。

6. エドゥアール・マネ『春』(1881)、6510万ドル(約78億円)

印象派の巨匠によるサロン絵画の最後の作品で、今まで個人蔵だったこの作品は、J・ポール・ゲティ美術館が予想価格の倍近くで落札した。この傑作は同美術館の最高額のマネになることだろう、と専門家は予測している。

7. ジョージア・オキーフ 『Jimson Weed』 (1932)、4440万ドル(約53億円)

「フェミニスト」という言葉そのものが議論の種になった2014年に、ヨニ(女陰)アートのゴッドマザーであるジョージア・オキーフの作品が史上最高値となったのは象徴的だった。この花を拡大して描いた作品は匿名のバイヤーに予想下限価格の4倍で落札され、女性作家の作品としてはジョーン・ミッチェルの絵画作品を上回る史上最高値の作品となった。これで、「花のように舞い、オキーフのように刺す」という新しい格言が生まれることになるだろう。

8. アルベルト・ジャコメッティ『チャリオット(二輪戦車) 』、1億100万ドル(約121億円)

ひょろっとした彫刻で知られる作家のひょろっとした彫刻の最高傑作とされるこの作品は女性のブロンズ像だ。ヘッジファンドの億万長者スティーブン・A・コーヘンが落札した。

9. バーネット・ニューマン『黒い火Ⅰ 』(1961)、8420万ドル(約101億円)

匿名のバイヤーに落札された『黒い火Ⅰ 』は、このアメリカの画家の作品のなかで最高値となった。ニューマンがこの絵画で目指したのは黒を1色の色に変えることだったが、それでは緑はどうだろう?

10. フランシス・ベーコン 『話すジョージ・ダイヤー の肖像』(1966)、7000万ドル(約84億円)

ジョージ・ダイヤーが何か盗んでやろうとフランシス・ベーコンのアトリエに侵入した時、歴史に残るロマンスの始まりとなった。泥棒だったダイヤーはその後ベーコンと恋愛関係となったが、自殺という悲劇的な結末を迎えている。最も魅力的だが最も機能不全のロマンスだ。ダイヤーはベーコンの歪んだ魅力に翻弄されていたという人もいるが、このベーコン最愛の愛人を描いたこの6フィートのオマージュにそれが証明されている。

2013年に最高値のついた作品はこちら

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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