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TPP、のるかそるか アメリカ上院で運命の再議決、その行方は?

2015年06月22日 00時55分 JST
ASSOCIATED PRESS
In this June 17, 2015, photo, President Barack Obama looks out as he sits on stage as Attorney General Loretta Lynch speaks during her investiture ceremony at the Warner Theatre in Washington. Critics have long predicted that Obama’s policy to shift America’s focus toward Asia is doomed. The legislative battle over his trade agenda could prove the acid test. (AP Photo/Carolyn Kaster)

アメリカ下院は6月18日、環太平洋連携協定(TPP)の前提となる貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)法案について、失業者対策ブログラムの貿易調整支援(TAA)を除外して再採決を行い、賛成218、反対208で可決した。法案は上院に送られるが、TPA法案が成立すればTPP交渉は一気に妥結に向かうことになる。

甘利明TPP担当相は「TPAがTPP交渉の促進剤となることを期待している」、菅義偉官房長官も「できるだけ早い成立を期待したい」と述べるなど、日本政府の期待は高まっているが、アメリカ上院での採決は予断を許さない状況だ。ハフポストUS版政治担当のマイケル・マカリフ記者とローラ・バロン・ロペス記者がTPA法案の行方を占った。

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ワシントン -- 共和党が過半数を支配する主導の下院は6月16日、貿易法案についての審議を新たに始め、バラク・オバマ大統領にTPP交渉に全面的な権限を与えるTPA法案を通過させた。

この法案は、オバマ大統領と次期大統領に貿易促進権限を許諾し、貿易交渉を急速に進めることを可能にする。には環太平洋連携協定(TPP)、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)、新サービス貿易協定(TiSA)が含まれ、世界経済の半分以上を網羅することになる。

下院は法案に対し218対208で可決し、民主党議員28人が賛成、共和党議員50人が反対した。

発議者は、大規模な貿易協定がアメリカが世界のリーダーとしての立場を守り、経済成長を確保する唯一の道だと主張した。

「これは説明責任と透明性のための投票です。好景気と高賃金のための投票でもあります。わが国の自由企業体制のための投票なのです」。共和党の中でもTPA法案を最も支持している共和党のポール・ライアン下院議員(ウィスコンシン州選出)はこのように述べた。「アメリカのリーダーシップのための投票であり、アメリカにはまだそれがあることを宣言する投票です。アメリカの信用回復のための投票なのです。世界は見ています」

「強力な貿易合意なしに、アメリカは世界市場では競争していけません」と、共和党のマイク・ケリー下院議員(ペンシルバニア州選出)は話した。「もしアメリカを成長させたいなら、アメリカが先導しなければなりません」

擁護派は、反対派が貿易協定について虚偽の情報を広めたことを非難し、アメリカを脅かすような法律、道徳規範、環境上の機密はないだろうと言った。

TPA法案が成立した場合、アメリカ国民には大統領が署名する前にTPPのような協定の内容を知り、理解する時間が2カ月しかない。1カ月後には連邦議会が一切の変更なく承認しなければならなくなる。現時点では貿易協定はすべて機密事項となっている。

「現実は、TPA法案が可決しても、貿易交渉の最後で信任投票することしかできない。アメリカ政府は修正案を受け入れることも、我々の言うことに耳を傾ける必要もなく、ほぼ間違いなく、すでに交渉済みの内容がそのまま協定になるという事態になってしまう」。民主党のキース・エリソン下院議員(ミネソタ州選出)は述べた。「自然の成り行きの中で、誰も異議を唱えることができなくなるのです」

18日の議決で、ホワイトハウスと共和党指導部は新たな戦略を提示したが、ナンシー・ペロシ民主党院内総務(カリフォルニア州選出、民主党)率いる下院民主党の議員がTAA法案を否決し、TPAの通過を妨害していた。この支援は、貿易協定で失業した労働者を援助することを意図したプログラムに、資金提供するものである。労組の支援を受ける民主党は、一般的に労働者への援助に関する法案を支持するが、今回はTPA法案に関連しているという理由でTAAを否決した。

「貿易協定をTAAなしで可決するなんてありえないことだ」とスティーブ・イスラエル下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は投票後、取材陣に語った。「TAAを可決させるために必要なことをしなければならない」

18日の投票で法案は上院に戻されたが、上院では貿易の自由化で失業する労働者を支援する(TAA)に関連がある当初の法案が可決している。

連邦議会での議論は、ジグソーパズルで作られたボードの上で対戦するチェスの様相を呈している。共和党、民主党、ホワイトハウスが難解な戦術でそれぞれの裏をかき、包括案の中から自分たちに有利な成果を得ようとしている。

上院に戻されたTPA法案は、再び投票にかけられた時に、非常に複雑な動きが出てくるだろう。

共和党のミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州選出)、ジョン・ベイナー下院議長とオバマ大統領は、上院民主党に対し、TAAを廃案にしないという確約をしていない。

ある民主党上院議員の側近はハフポストUS版に、「マコネル院内総務とオバマ大統領は、民主党上院議員と今後の方針を取り決めなければいかない。折衝はまだまだ続く」と述べた。

貿易包括案の一部として可決した関税法案は、下院が加えた付帯条項を含むことになった。これはアメリカが気候変動を食い止めたり移民法を改正したりすることを規制し、人身売買の禁止や通貨操作規制を緩和するものである。

民主党下院のペロシ院内総務は18日、パズルの次のピースが収まる、つまり民主党が望むアフリカ貿易選択法案の一部としてTAAが可決する見込みについて、「そのように進むとは思いません」と述べた

Scenes From Capitol Hill

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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