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ハリウッドで影響力を増す中国マネー 作品内で「中国要素」を入れるケースも

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Chinese Yuan note in front of Euro and US Dollar notes, Melbourne 2016 | STRINGERimage via Getty Images
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ハリウッドで色濃くなる中国の影 洋画離れが進む日本の存在は?

日本でも大ヒットしたマット・デイモン主演の話題作『オデッセイ』で、米航空宇宙局(NASA)の窮地を救ったのは中国国家航天局(CNSA)であった。このように、近年のハリウッド大作における“中国要素”の多さがひとつの話題になっている。現実社会においても中国は、数年前まで米国に次ぐ市場とされていた日本を抜いて、世界第二の映画興行大国となっており、製作から配給、輸入、興行まで映画ビジネスにまつわるすべての側面で、著しい成長を遂げており、ハリウッドとの密接な関係が浮き彫りになってくる。

◆ハリウッドで影響力を増す中国マネーの存在

先日、北京国際映画祭のセミナーに登壇したインディペンデント・プロデューサーのジェームズ・シェイマス(『グリーン・デスティニー』)は、ここ数年で中国と米国をはじめとする海外諸国の共同製作が劇的に増えていることを挙げ、「中国は新ハリウッドになりつつある」と断言した。これまでは、映画のなかに中国の人気俳優を配置することが共同製作ととらえられていたが、いまや、物語や舞台、コンセプトそのものに中国色をプラス。その背景には、中国マネーの存在がある。

米『バラエティ』紙を始めとする映画業界メディアは日々、中国企業のハリウッド進出や出資を報道している。最近では、パラマウント・ピクチャーズが、中国国有の映画機関China Film Groupの傘下にあるChina Film Coと製作・配給契約を締結。また、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』に投資したアリババ・ピクチャーズ・グループが、パラマウントによる『スター・トレック』と『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』シリーズ新作に出資し、中国内でのマーケティングをサポートすることも報じられた。共同製作体制の確立には長い時間を要するもの、シェイマスは、今後10~15年かけて、中国と各国が文化交流や税優遇措置対応などを行っていくことを予測した。

◆中国はハリウッドにとって最も重要な興行市場 反面、頭を悩ませる要素も

ハリウッド映画の配給においても、中国は重要な市場となっている。2015年には、『ジュラシック・ワールド』が2億2900万ドル、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』が2億4000万ドル、『ワイルド・スピード SKY MISSION』が3億8000万ドルの興行成績をあげ、中国のボックスオフィス(映画興行ランキング)を占拠したことが大きく報じられた。

しかし、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』の興行収入1億2500万ドルは大成功といえる数字ではなく、米中合作の『カンフー・パンダ3』の1億4700万ドルは明らかな不振とされている。これには、年間600本製作されているという中国映画の質が高くなっていることが一因として挙げられるが、一方で、中国政府によるボックスオフィスへの調整介入、海外映画に対する上映時期や劇場の規制など、ハリウッドが頭を悩ませる要素も多い。

とはいえ、中国の映画興行自体は、2015年に49%、2016年第一四半期に50%増と急成長中。昨年、中国の映画上映スクリーン数は2万4000から3万2000と飛躍的に伸びたが、その多くは小都市にオープン。北京や上海といった大都市に比べ、まだハリウッドのテイストや字幕に慣れていない観客が多いこともある。

◆日本コンテンツのハリウッド人気は変わらず

ただ、一般の映画ファンや観客の間では“日本と中国”というような意識はあまりないだろう。かつて、日本の京都を舞台に芸者の姿を描いた『SAYURI』で、中心人物を中国人のチャン・ツィーとコン・リー、マレーシア人のミシェル・ヨーが演じて物議を醸したことがあったが、これは主にアジア系コミュニティでのこと。米映画のなかでは、日本や中国、韓国など、それぞれの文化や人にステレオタイプやイメージがありつつも、全体的には大きな括りで、“アジア”や“アジア人”として見られることが多い。

さまざまな要素が絡みあうため、一概にハリウッドで“日本のポジションが中国に変わった”とまとめることはできない。漫画など日本コンテンツのハリウッド実写映画化やリメイクの話題も絶えず、今年も『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』や『スーサイド・スクワッド』などのアメコミ超大作に日本人俳優が出演している。ただ、様々な事情はありつつも、中国が米映画業界におけるホットトピックであることは間違いない。洋画離れが進む日本に比べ、中国マネーと興行市場がビジネスとしてより意識され、その存在感を急激に大きくしている。
(文:町田雪、編集部)

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