台風10号、異例のUターンの理由 観測史上初の事態か

予報通りの進路になれば、観測史上初の事態となる見込みだ。
気象庁

8月30日午後に東北・関東地方へ上陸すると予報されている大型で非常に強い台風10号は、日本の八丈島近海で8月19日に誕生して南西へ進み、26日朝に沖縄県南大東島付近でUターンして再び戻ってきた。異例のルートをたどっている理由はなぜなのか。

時事ドットコムなどによると、Uターンを招いたのは、日本列島の東西に発生した高気圧と偏西風の蛇行が主因という。

日本の東側にある太平洋高気圧は、今年は日本列島への張り出しが弱かった。その一方で、西側の高気圧は西日本を覆い、猛暑を招いていた。同時期に発生した9、11号はこの日本の東西の高気圧の間を北上する通常のパターンをたどったが、10号はより日本の近くで発生したために異例の進路をたどることになった。

10号は発生後にまず、西日本の高気圧の淵を時計回り(日本側では南西方向)に回る大気の流れに乗って、南西の沖縄方向へ。南大東島近海で停滞した後の26日朝から、今度は太平洋高気圧の縁を回る流れに乗ってUターンし、東へ進み始めた。

さらに、28日には蛇行する偏西風も影響した。今度は、寒気を伴う低気圧が、大陸方面から西日本に南下。低気圧の縁では大気が反時計回りに流れるため(日本側では東北方向へ)、この影響で東に進んでいた10号は北寄りにカーブした。

また、30日にかけては北海道の太平洋高気圧が西へ張り出しているため、進路を北西に変えて東北地方に上陸する可能性が高まっている。

朝日新聞デジタルは気象庁の話として、北西に進む台風の上陸は1989年に関東に上陸した台風13号以来。東北地方の太平洋側に上陸したことはないと報じている。予報通りの進路になれば、観測史上初の事態となる見込みだ。

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