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「トランプ氏に失望感がある」イスラエル情報機関の元職員が打ち明けた理由とは?

2017年05月24日 17時37分 JST
GPO via Getty Images
JERUSALEM, ISRAEL - MAY 23: (ISRAEL OUT) In this handout photo provided by the Israel Government Press Office (GPO), Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu speaks with US President Donald Trump prior to the President's departure from Ben Gurion International Airport in Tel Aviv on May 23, 2017 in Jerusalem, Israel. Trump arrived for a 28-hour visit to Israel and the Palestinian Authority areas on his first foreign trip since taking office in January. (Photo by Kobi Gideon/GPO via Getty Images)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は5月22日、イスラエルを訪問した。自身がロシア外相らにイスラエルの機密情報を漏洩したという報道を受け、アメリカが政治的混乱に陥った中での訪問だった。

トランプ大統領にとって就任後初となる外遊だったが、イスラエルでも計画の変更や外交面でのつまずきで、緊張が高まっていた。トランプ氏の空港到着さえも議論となった。エルサレム・ポストによると、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、多くの閣僚がトランプ氏の歓迎式典への出席を見合わせようとしていたことを知り、怒りをあらわにして閣僚らに出席を命じたという。

トランプ氏の訪問を取り巻く論争は、一部のイスラエル当局者がトランプ氏に対する見方を大きく変えたことを明確に示している。アナリストによると、就任式以来、トランプ氏の二転三転する政策やあいまいな発言のせいで、イスラエルの極右勢力が期待したよりもトランプ氏への信頼度が薄れている。

「トランプ氏への失望感があります。なぜなら、トランプ氏の選挙戦で一部のイスラエル政府関係者は過剰に期待し、『素晴らしい、我々はパレスチナ国家について心配しなくていいし、入植地の拡大も非難されない。だからアメリカ大使館をエルサレムに移そう』と考えていたからです」、と元イスラエル情報機関職員のヨッシ・アルファー氏はハフポストUS版に語った。

「実際は全く違っていたことが明らかになったので、混乱しつつも失望しているのです」

ネタニヤフ首相は21日、エルサレムで開かれた週に一度の関係閣僚会議で、関係大臣がトランプ氏の歓迎セレモニーへの出席を見送る予定だったことに激怒したと報じられた。RONEN ZVULUN / REUTERS

イスラエルの保守派はトランプ氏の大統領選での当選を祝福し、その後間もなくネタニヤフ首相はトランプ氏を「イスラエル国の真の友人」だと賞賛した。トランプ氏は選挙戦で、親イスラエルを強調し、バラク・オバマ前大統領の政策を批判するとともに、アメリカとイスラエル間の関係を強化すると公約していた。

トランプ氏は選挙期間中、「大統領就任後、アメリカ大使館を早い時期にエルサレムに移す」と公約していた。歴代大統領が選挙運動中に同様の約束をしてきたが、政治的な現実に直面し、最終的にはその約束を取り下げてきた。

アメリカ大使館を移転すれば、エルサレムが、イスラエル同様に帰属を主張するパレスチナ人のものではなく、イスラエル人のものだという主張にアメリカが同意したとみなされる。

トランプ氏は、大使館の移転について結論を先延ばしにし、スタンスが揺らいでいるようだ。このため、イスラエル政府の保守派から不満の声が高まっている。

「イスラエルの保守派は、トランプ氏の主張を無邪気に聞いていました」と、アルファー氏は述べた。「彼らは、それが突破口になると本当に思っていたのです」

トランプ氏は10日、イスラエルの情報機関からの情報をロシアのラブロフ外相らに提供したことから、外交上の圧力にも直面している。

イスラエル政府はこの報道について公式に多くを語らないが、トランプ氏の行為に対し、イスラエルの情報機関は大きな懸念を持っているという報告がある。一方、イスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防相は5月17日、アメリカーイスラエル間の安全保障関係を再確認し、Twitterにお決まりの外交辞令をつぶやいてこのスキャンダルを払拭しようとした。

「イスラエルの最大の同盟国であるアメリカとの安全保障関係は深く重要で、他には例を見ない規模だ」とリーベルマン国防相はツイートした。

21日、サウジアラビアのリヤドで開催されたアラブ・イスラム・アメリカ・サミットでの演説に臨むアメリカのドナルド・トランプ大統領。JONATHAN ERNST / REUTERS

トランプ氏の外遊直前には、ロシアへの機密情報漏洩が大きな話題を集めたが、それ以外にも大統領のイスラエル訪問が近づくにつれ、トランプ政権の過失が続いていた。

訪問日程も混乱を招いた。アメリカ側の高官がネタニヤフ首相に対し、トランプ氏がいくつかの催しに出席しないと要請したかどうかについて混乱があり、訪問日程にしわ寄せが出た。ホワイトハウスは、ヤド・ヴァシェム・ホロコースト記念館訪問の時間を15分に短縮したが、イスラエルのメディアからの非難を受け、30分にした。

タイムズ・オブ・イスラエル紙は21日、アメリカ政府がユダヤ教で最も神聖な場所「嘆きの壁」について、「ヨルダン川西岸の占領地区でありイスラエルの占領地区ではない」とイスラエル政府に伝えたと報じた。この見解は大きな論争を引き起こし、ホワイトハウスは「該当の発言は、この件に関するアメリカの立場を反映するものではない」と声明を出す事態となった。

また、ホワイトハウスが公開した動画には、イスラエルの地図に1967年の第3次中東戦争以前の国境が含まれ、ゴラン高原がイスラエルの領土から除かれていた。イスラエルの保守派アイェレット・シャクド法務大臣はこの地図を批判し「これは政策の問題ではなく、無知の問題だと願いたい」と批判した。

また、この地図はイスラエル国内の保守派の反感を買った。多くの人が想像していた以上に、トランプ氏がイスラエルとパレスチナの和平交渉を強く求めているからだ。

ネタニヤフ首相は懸命にトランプ氏を温かく歓迎しようとしているため、トランプ氏が訪問している時に緊張が表面化することはなかった。しかしイスラエル内部では、トランプ氏が大統領に就任したことがイスラエルにとって何を意味するのかという疑問が膨らんでいる

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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