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「白人至上主義者はいらない」差別容認派に抗議する人々と、参加がバレて失職した人々。シャーロッツビル事件のその後

2017年08月20日 23時14分 JST | 更新 2017年08月23日 19時43分 JST

アメリカ・バージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者らの集会で抗議した1人が殺害され、十数人が重軽傷を負った事件から1週間後の8月19日、ボストンでは、差別容認派による自称「言論の自由」集会が開かれた。

差別容認派の集会は通称「オルト・ライト」のメンバーによって取りまとめられた、数十名程度の規模だった。一方、これに対抗するべく集まった群集は数万人に達し、集会の参加者を萎縮させた。差別容認派に対抗した人々のメッセージは、「この国には白人至上主義者は要らない」だった。

カウンターの群衆はデモ行進し、集会が開かれている史跡公園ボストン・コモンに集結した。そして、「人種差別主義者をまた怖気づかせてやろう」「ナチスをかばうのは誰だ?トランプだ」と口々に唱えた。

また、空撮されたビデオには、差別を容認する「言論の自由」派がバンドスタンド内に身を寄せ合い、反対する大群衆が公園を取り囲んで抗議する様子が映されていた。

トランプ大統領もデモ参加者を称えた

Twitterでドナルド・トランプ大統領は大会を「警察嫌いのアジテーターでいっぱい」と批判した。その後、大統領はどちらのグループかは明確にしなかったものの、ボストンのデモ参加者を称えた。

「偏見と憎悪に対して声を上げたボストンのデモ参加者たちに拍手を送りたい」とトランプ大統領はツイートした。「我々の国はすぐに1つにまとまる!」とも。

ボストンは警察嫌いのアジテーターでいっぱいのようだ。警察は力強く賢く対応しているようだ。感謝。

我々の偉大な祖国は何十年もの間バラバラだった。修復には時として抗議行動も必要だ。そして、我々は1つにまとまり、以前にも増して強くなるのだ。

偏見と憎悪に対して声を上げたボストンのデモ参加者たちに拍手を送りたい。我々の国はすぐに1つにまとまる!

差別を容認する「言論の自由」派の集会と、抗議集会、参加したのはどんな人々なのか?

ボストン警察はこの日の夜までに33人を逮捕したと発表した。集会後、何万人もの抗議行動参加者がボストン・コモン周囲の街路に溢れたため、警察との間に若干の摩擦があったと報告されている。

差別を容認する「言論の自由」派の集会の主催者はフィッチバーグ州立大学映画科4年生ジョン・メドラー氏らだった。メドラー氏は、この集会の意図は「あらゆる個人には言論の自由があり、この基本的人権をまもることだ」と強調している。

Facebookへの書込みで、同グループは集会を「人種差別や偏見を助長する踏み台」として提供しているのではないと書き加え、バージニア州シャーロッツビルでの事件との繋がりを繰り返し否定してきた。

メドラー氏が当初姿を見せなかったことから、若干の混乱が8月19日に生じた。警察は、公園内の所定の場所への集会参加者の入場を少し遅らせた。

ロン・ヴィラリアル氏は、年代物の兵士の服装で「言論の自由」集会に参加しに来た。彼はシャーロッツビルでの暴力行為は「ボストンには関係無い、何千マイルも向こうの話です」と話した。

ヴィラリアル氏は、この「言論の自由」集会での発表者が誰かも知らなかったが、言論の自由を守るために参加することを決めたのだという。彼はプラカードを携えていたが、その内容をハフポストに見せることは拒否した。

「もしクー・クラックス・クラン(KKK)の会員がマサチューセッツ州内に6人居たら、ビックリです」「これはクランの集会ではありません」と、ヴィラリアル氏は取材に対して語った。

抗議側として参加した58歳のアフリカ系ボストン市民オデル・ラフィン氏は、血と土の観念論にはうんざりだと語った。

「彼らは松明も盾も催涙ガススプレーも持ってきていません。彼らはこの国を自分らのものにしたいと言っています。この国は一度も彼らのものだったことなんてありません」と、ラフィン氏は言った。「彼らはこの国を所有していたことなんかありません。奴隷制は終わっているのに、彼らはまだ続けたいのです。思うに、盗んだものを無くしたせいで彼らは騙されたような気分になっているのではないかと思います」。

5時間近くを予定していた「言論の自由」集会だったが、ちょうど2時間で集会の参加者たちは諦め帰路に就いた。

「言論の自由」集会が途中終了した後、ボストン警察本部長ウィリアム・グロス氏は、抗議に集まった人々に対して、前向きでいるように、また、憎悪に対する勝利を祝うようにと述べた。また、抗議活動の参加者に対して「誇りに思う」とも語った。

「彼らは、外見や生活様式、出自で私たちを見下そうとするものです ― そんなことはボストンではさせません」とグロス本部長は記者たちの前で述べた。

「偏見は容認されない」としていた「言論の自由」集会の真実

19日の「言論の自由」集会で、偏見は容認されないと主催者は主張していた。しかし、この集会には、有名なホロコースト否定論者でシャーロッツビルの白人至上主義集会のまとめ役の1人だったオウガスタス・インヴィクタス氏が招待されていた。後になって参加は取り止めになった。

この有名な陰謀論者の参加について、「彼を招待したのは米国憲法修正第1条について話してもらうためでした」と、メドラー氏はCBSボストンに説明している。「間違えた考えを持った人たちでも、他のことについては正しい場合もあります」。

インヴィクタス氏は、ナチスによる何百万人ものユダヤ人とその他の人々の虐殺という事実を認めていない。彼はまた、このグループの5月の集会で、いずれ起こる内戦のために武装するよう出席者に呼びかけていた。

また、反ファシスト抗議運動の参加者と暴力沙汰を起こすことで知られる「プラウド・ボーイズ」のメンバーは、自身の「言論の自由」集会への参加は、最終的にキャンセルされたことをラジオ局WBURに語った。

「極右は集会を中止するよう脅迫することはしない」とインヴィクタスはWBURに語った。「極右は暴力で脅したりは絶対にしない。攻撃されたときに暴力で反撃するだけだ」。

プラウド・ボーイズを率いるギャビン・マッキンズ氏とネット活動家のティム・"ベイクド・アラスカ"・ジョネット氏も「言論の自由」集会で講演する予定だったが取り止めになった。

8月の第2週、シャーロッツビルはネオナチで溢れ、白人の国家主義者が運転する自動車が十数人の抗議運動参加者を薙ぎ払った。そして、社会正義に強い関心を持っていた32歳の法律事務職ヘザー・ハイヤー氏の命が奪われた。

ハイヤー氏の母、スーザン・ブロ氏は、娘の追悼集会で、「白人至上主義者たちは私の子を黙らせようと殺そうとしました」と語った。「でも、それでどうなったでしょう?」とブロ氏は続けた。「彼女はとても大きな注目を集めることになりました」。

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シャーロッッツビルで8月16日に行われたヘザー・ハイヤー氏の追悼集会で聴衆に語りかける母、スーザン・ブロ氏(Andrew Shurtleff-Pool/Getty Images)

19日の集会で暴動が発生する危機感から、ボストンのマーティ・ウォルシュ市長(民主党)は、集会主催者に集会の延期を要請し、ボストンでは扇動集団は歓迎されない旨を公言していた。

「正直に言えば彼らには集会の許可を得て欲しくありませんでしたが、この国での言論の自由も信じていました」と、ウォルシュ市長は話した。

警備は厳重で、フェンスと幾重もの警察官の列が集会参加者と抗議者を隔てていた。FBIの広報担当者は、FBI当局は「犯罪行為や国家安全保障への脅威に対応するため法執行の支援や要員派遣の要請があった場合に備えて」待機するとCBSボストンに話した。

集会の基本ルールとして、ボストン警察は盾、火炎、小火器、ナイフ、花火、旗竿を含むあらゆる武器類の持ち込みを厳禁とした。集会前の警察発表通り、バックパックや大きなバッグを持ち込んだ者は検査対象となった。当該地域の小売店に対しては、19日は閉店しておくよう要請された。

差別容認派に対抗する人々は急増

ボストンの「言論の自由」集会へのフェイスブックでの参加表明者が600人強にとどまったのに対して、それに対抗する「ファイト・シュープリマシー」のページには2万5千人が参加した。シャーロッツビルの暴力事件以来、差別容認派に対抗しようとする人々の数は急増している。

「ファイト・シュープリマシー」グループ結成を支援した、差別容認派に反対する団体のブラック・ライブス・マター・ボストン(BLM Boston)は、ハフポストへの声明で、白人至上主義に「抵抗」して「抑圧された層の真実と声を増幅する」ために、集会に出席すると述べた。

「白人至上主義と闘う個々人の決意が、もっとも被害を受けている人々の支援になるように、熟慮と目的意識の形成を促進しています」とBLM Bostonは言う。「これは、アフリカ系と先住民族のリーダーシップ、特にアフリカ系同性愛者のリーダーシップの方向性に従うということです」。

18日夜の時点で、「ファイト・シュープリマシー」グループは3万4千ドル以上の基金を集めている。

一方、「ボストン言論の自由」グループはそのフェイスブックのページで、集会に用いる音響機器の購入のための寄付を募った。資金集めのためのサイトへのリンクでは、2人から合計9ドルの寄付があったことが表示されていたが、やがてこのページは削除された。

8月15日、トランプ大統領がシャーロッツビルの事件に言及して、「いずれの側にも非難されるべきところがあり、いずれの側にも非常に立派な人々がいる」と述べたことにより、白人至上主義者への憤慨はさらに拡大された。

そうした「非常に立派な人々」が、松明をかざして「血と土!」や「ユダヤ人には乗っ取られない!」などのナチスのスローガンを唱えていたのを皆、知っているからだ。

「ネット探偵」に身元特定されたシャーロッツビル集会参加者が失職

シャーロッツビルの白人至上主義の扇動者たちは重要なことを学び始めた。言論の自由には結果が付いて回るということだ。

ネット探偵たちは、8月第2週の集会中に撮られた写真から身元特定を手早く行っている。シャーロッツビルの集会に参加したことを割り出された幾人かは職を失った。ノース・ダコタのピート・テット氏は参加していたことが家族に見つかり、勘当されてしまった。

集会当日に撮られたビデオには、抗議する人々に対面し、身元特定に怯えて服を脱ぎ捨てた半裸の白人至上主義者が写っている。「面白いかと思って来ただけです、申し訳ありません」と、その男は言った。

白人の国家主義者クリス・キャントウェル氏は、短いながらも大変興味深い、当日の暴力行為についてのVICEのドキュメンタリーに出演している。

「我々は非暴力的ではない」と自称ファシストのその男は、ドキュメンタリーで語った。「そうせざるをえない場合、我々はその人たちを殺害する」。

しかし、ビデオの中には、キャントウェル氏が泣き叫ぶ様子も収録されていた。集会での暴力行為に加担したことで逮捕されることの恐怖のために泣いているのだと彼は言った。

▼白人至上主義の秘密結社KKKのとある1日(画像集)▼

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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