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日本のジェンダーギャップ指数、過去最低を更新 114位に

「経済」分野が若干改善するも、「政治」が後退

2017年11月01日 21時33分 JST | 更新 2017年11月02日 07時46分 JST
Getty Images/iStockphoto

ダボス会議を主催する「世界経済フォーラム」は11月2日、男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」の報告書(2017年版)を発表した。

日本は世界144カ国中114位となり、過去最低だった前年の111位からさらに後退した。

Arisa Ido / HuffPost Japan
主要国の順位

ジェンダー格差指数は「経済活動への参加と機会」(経済参画)「政治への参加と権限」(政治参画)「教育の到達度」(教育)「健康と生存率」(健康)の4分野の14項目で、男女平等の度合いを指数化して順位を決める。指数が「1」に近づくほど平等で、遠ざかるほど格差が開いていると評価される。


Arisa Ido / HuffPost Japan
14項目の指数を、日本と世界平均、1位のアイスランドと比べた

分野ごとにみると「政治参画」の悪化ぶりが目立つ。前年の103位から123位と大きく順位を下げた。

「政治参画」を項目別にみると、「国会議員の男女比」が129位と、前年の122位から順位を下げた。「閣僚の男女比」も同じく50位から88位に順位を下げた。

「経済参画」は、前年の118位から114位と若干改善した。項目別にみると「女性の労働力比率」(79位 79位)「同種業務での給与格差」(58位 52位)「勤労所得の男女比」(100位 100位)「幹部・管理職での男女比」(113位 116位)「専門職・技術職での男女比」(101位 101位)のいずれも、指数自体は改善された。ただ、他国の指標も改善が進んだこともあり、順位に関しては、「給与格差」以外は前年並みにとどまるか、下落した。

「教育」の分野は、76位。項目別でみると、初等・中等教育の在学率、識字率はいずれも指数が「1」で「男女平等」と評価された。だが、高等教育の在学率は、ここ数年で改善されてきてはいるものの、101位にとどまっている。

「健康」の分野は「出生時の男女比率」と「平均寿命」のいずれの項目も1位だった。

報告書は日本の結果について「政治参画の項目が後退したものの、経済参画の項目の特筆すべき進歩で埋め合わせている」と指摘した。

Arisa Ido / HuffPost Japan
指数を図に落とすと、日本が経済や政治の分野での格差が深刻なことがよく分かる

■「構造的な女性差別は、教育の分野でも起きている」瀬地山角・東京大教授インタビュー

Masako Kinkozan / HuffPost Japan

普通はみなさん、政治分野の低さを問題にすると思います。ですが、私があえて深刻だと指摘したいのは、教育分野。高等教育在学率が低いためで、ここだけとると101位になっています。多くの人が「平等」だと信じている教育の分野ですら、男女の格差が現れているのです。

なぜなら先進国では日本のように、高等教育の在学率が女性の方が低いという国はほとんどない。多くの国で女性が男性を上っています。

日本の場合、短大の進学率を足せば、高等教育進学率は女性が男性を上回りますが、かつて職業訓練ではなく、教養教育が中心だった短大という存在は、日本特有のもの。2年制なので、大学在学相当の年齢の人口を分母とした「在学率」でとらえ直すと、男性より低くなるのです。

教育の男女格差の背景には「女の子はそんなガツガツして大学までいかなくても、東京の大学に入らなくても、地元の短大で」という価値観がまだ根強く残っていることがあります。親からそんなに無理しなくて良い、などと言われて、本人もそんなものかと思わされている。

私の大学の講義で、「進学における男女差」の話をした後に寄せられる感想の紙からは悲鳴が聞こえてきます。

現役でしかダメと言われて必死に勉強して東大に来られた、という女子学生。自分よりも優秀なのに来られない女子学生が地元の高校にはたくさんいた、という学生もいた。志望は地元の国公立大学か東大だけど、現役合格が前提という受け方をしている人もたくさんいる。「地方」「浪人」となると極端に女子学生が減るのです。

高校生の段階ですでに、女性が自分の能力の限界まで挑戦するということを、男性に比べて許されていない。女性が教育投資の対象になってない。女性が家計を支えるという考えがそこにはない。これこそ構造的な差別です。

そういう背景を知るにつけ、東大の女子学生比率が2割という現状は、本当に恥ずかしいことだと思っています。

2016年、東大が自宅が遠い女子生徒が借りるアパートの家賃を補助しようという取り組みを公表したところ、逆差別だという批判が出ましたが、そういう人たちは、どれだけ女性が構造的に差別されているかが分かっていないのでしょう。

学校を出て会社に入り、1人目の子どもを産むところでまた壁がある。

女性が1人目を産んだときに正社員として働き続けることをあきらめなかったら、生涯で1億円稼げる。

正社員なら、妻が年収350万円を稼いでくるとして、それを実現するために夫が関わる1日に必要な家事時間が2~3時間だとすると、夫が残業せずに早く帰って夕食の準備している方が、家計ははるかに豊かになるんです。

でも実態は、女性が1人目の子どもを産むと働き続けるのが難しくなる。男性の家事育児の時間がとても短い。出生動向基本調査(2015年)によると、男性が配偶者に求めるライフコースで多いのは「再就職」(37.4%)か「両立」(33.9%)。こう考えていながら自分が家事育児を平等に分担するという発想がない場合、妻が辞めざるをえない状況になる。

こうして「教育」は、最終的に「経済」の分野の管理職の割合や賃金格差の強力なファクターになっていくのです。

政治分野の指標をすぐに改善する方法は、多くの国で導入されているクオータ制です。日本でも今回の衆院解散前に、議員立法の一歩手前までいったのですが。

なぜ女性が多く政治の分野にいった方が良いのか。それは、多くの女性が政策立案に参加することで採用されうる政策がたくさんあるからです。固有の問題について、当事者性がないと明らかに政策が進みません。

政治家の比率の問題ではないですが、その象徴的な一例が、最高裁の夫婦別姓の判決だった。保育所の待機児童問題の議論も、女性議員が多ければ、もっと取り組みが進んでいたと思います。



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