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囲碁から学ぶ

2017年02月20日 00時30分 JST | 更新 2017年02月20日 00時30分 JST

昔の政治家はよく囲碁を打った。私が記憶しているところでも、民主党代表時代の小沢一郎氏が与謝野馨氏と対局して話題になったし、民主党のトロイカ体制下、菅直人氏と小沢一郎氏も打っていた。宴会をやっても二人の会話は弾まなかったが、囲碁では楽しそうに対局していた。歴代総理の中でも、岸信介総理、池田勇人総理、佐藤栄作総理あたりの時代は、皆、囲碁の愛好者だったらしい。

田中角栄総理のお庭番であった朝賀昭先生曰く、「最近は囲碁を打つ政治家がめっきり減った。囲碁には政治の要素が数多くあるから、細野も打て」田中角栄総理の事務所で使っていたという碁石と手作りの碁盤は、私の議員会館の「置物」と化した。政界での囲碁人気は下火だが、G1サミットで長年お世話になっているグロービスの堀義人社長によると、最近は若手の財界人の中で囲碁のブームが復活しつつあるという。これも何かの縁。昨年2月、囲碁を始めることにした。

最初の壁となったのはルール。石で囲った陣地の広さを競うという程度の知識はあったが、入門書を読んでも、石の生死の判定、コウ、セキなどの込み入ったルールが腑に落ちない。とりあえず打ってみようと思ったものの、人を相手に打つ勇気がない。そこで、あるネット囲碁の会に入会してみた。

最初にネット上でマッチングされたのは大正生まれの女性。この歳の人なら何とかなると思ったが、開始早々から徹底的に殺戮されて完敗。負けず嫌いの性格に火がついた。布石、定石、手筋、詰碁、攻めと守り。一通り本を買い込み、移動時間と夜中に読み漁り、学んだことを夜中にネット囲碁で実践してみた。およそ半年で徐々に勝率も上がってきた。

実は、囲碁を始める時に、「一年で初段と取る」と周りに公言していた(総選挙になったら、その期間は除いてという前提付き)。ネット対局だけでは、棋力の向上には限界がある。昨年10月、一念発起してサロンに入会してみた。それまで人と対局したことがほとんどなかったため、石の持ち方から丁寧に指導して頂いた。

人と打つと、ネット囲碁では味わえない緊張感や駆け引きを味わえる。サロンに通うようになって、ますます囲碁にはまることになった。誰とでも囲碁を打てるようになりたい。そのためには、まずは初段だ。年明けの通常国会が始める時までに初段(国会が始まると本業に集中しなければならないため)を取るという目標を新たにした。

ところが、政治家にとって年末年始は結構忙しい時期に当たる。受験勉強を思い起こして自らを精神的に追い込み、夜中の猛特訓と空き時間のサロン通いを繰り返し、国会開会日の前日、認定試験に挑んだ。7段の先生に5石で相手をして頂き、何とか基準をクリアー。ついに念願の初段を取った。

打ち慣れてくると、囲碁に政治の要素が数多く含まれてくることが分かる。囲碁は先の読みができると格段に強くなる。急場と大場のどちらを優先するかは碁を左右する。局地戦で勝っても、大局で後れを取ると大敗することがある。攻めていると思ったら、いつの間にか攻められて石を取られる経験を何度もした。無謀な攻めは大敗につながるが、守ってばかりいては決して勝てない。石を捨てるのには勇気が必要だが、捨石を活用して勝利を掴むことができることもある。

また、楽観して相手の手の意味を考えずにヨセを打つと、最後に大逆転を喫することもある。この負け方が最も悔しい。強くなるためには、負けた対局を振り返り、次に生かすこと。

先日、議員会館を訪れて来られた渡部恒三先生に一局打って頂いた。恒三先生の師匠は政界最強と言われた与謝野馨氏。与野党を問わず自民党国対の部屋で打ったという。田中派七奉行の中で小沢一郎氏とは囲碁の好敵手だったそうだ。途中、偶然にも部屋に来られた朝賀先生も加わり、囲碁談義と政界談義に花が咲いた。こうした人間臭い付き合いの積み重ねが、かつての田中派の結束や政治家同士の切磋琢磨を生んできたのだろう。最近は自誓会の若手議員にも、囲碁を勧めている。

初段を取る前は、妻にそこまでやることはないだろうと、随分とたしなめられたが、最近は、空いた時間にサロンに通って、様々な人との対局を楽しんでいる。