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黒子のバスケ脅迫事件の容疑者逮捕。個人の暴力から表現の自由をどう守るのか

2013年12月15日 22時32分 JST | 更新 2014年02月14日 19時12分 JST

黒子のバスケ脅迫事件の容疑者がようやく逮捕されたようです。最初の脅迫から1年以上が経過。随分と時間がかかりました。

人気漫画「黒子のバスケ」の単行本や関連商品を扱う店舗など全国約400カ所に脅迫文が届いた威力業務妨害事件。15日、警視庁捜査1課に逮捕された大阪市東成区の職業不詳、渡辺博史(ひろふみ)容疑者(36)は容疑を全面的に認めているが、作者との面識はなかったと供述しているという。今後、詳しい動機の解明が待たれる。

 同課によると、渡辺容疑者は15日午後3時ごろ、東京都渋谷区の商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」近くの路上で、脅迫文をポストに入れようとしているところを捜査員に確保された。「ごめんなさい。負けました」。渡辺容疑者は謝罪の言葉を述べたという。

黒子のバスケ脅迫:「ごめんなさい。負けました」逮捕時に - 毎日新聞

すでに容疑を認める発言をしているとのことですが、動機の解明などはこれから。作者との個人的な怨恨という噂噂もたちましたが、藤巻先生との面識はないとのこと。まだ容疑者として身柄を確保した段階ですので、犯人だという断定はできませんし、この事件は多くの脅迫がありましたので、複数犯や模倣犯の疑いもあります。

しかし、この1年近く、集英社と藤巻先生にとっては相当の心労だったのではないかと思います。関係者の皆さんがやっと肩の荷を少し降ろせる状況になったのは本当に良かったと思います。小売店の中には、関連商品撤去など、ある意味犯人に屈してしまう対応をしたところもある中、連載を続けるというというのも、ギリギリの決断だったのではないでしょうか。本当にお疲れさまです。

しかし今回の事件は、重い課題を残しました。たった1人の脅迫が表現の自由を大きく脅かすことが可能なことを証明していまいました。表現の自由を守るためにはお上だけでなく、個人テロ(的なもの)とも闘わないといけない。

これは本当に難しいことです。今回も最初の脅迫から1年以上たって、ようやく容疑者の逮捕に至ったわけですが、その間400カ所も脅迫を送られています。そこまで被害が拡大するまで特定できなかった。犯人がより思慮深く、数回で被害者を出すようなやり方をした場合、連載がどうなっていたか本当にわかりません。

以前も書きましたが(黒子のバスケ脅迫問題と一匹のネズミに翻弄される脆弱な社会)、アナログな脅迫だけでここまで広範囲な影響を社会に及ぼし得る脆弱なリスク社会の時代に表現の自由を守ろうとするには、ある程度の監視も許容せざるを得ない、という議論に踏み込まないといけないかもしれません。

自由を守るために別の自由を犠牲にするという議論。それはどういう結論に至ってもスッキリはしない「重い」議論になるのですが、今回の事件僕らはまさにそういう重いものを突きつけたのですね。

公権力だけが表現の自由の敵ではない、個人もまた脅威。後者の脅威に対応するには公権力に頼る意外に道があるのかどうか。

今回の事件で「これが有効なんだ」と学んでしまった人間がいるかもしれない。それは表現の自由にかぎらないでしょうし、多方面に重たい課題を突きつけた事件となってしまいました。

(この記事は、12月16日のFilm Goes With Net「黒子のバスケ脅迫事件容疑者逮捕。個人の暴力から表現の自由をどう守るのか」から転載しました)

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