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アフガニスタンに対してICC検察官が戦争犯罪・人道に対する罪認定

2013年12月07日 15時24分 JST | 更新 2014年02月05日 19時12分 JST

本格的な分析の開始と事実調査団の派遣を

(ブリュッセル、2013年12月1日)-「国際刑事裁判所(ICC)検察局は、アフガニスタンにおける重大な国際犯罪に関する予備調査を早急に終わらせるべきだ」と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。2013年11月にICCが発表した予備調査活動に関する報告書内で、ICC検察局は「アフガニスタンで、戦争犯罪及び人道に対する罪が過去そして今も犯されている」と結論づけたうえ、アフガン政府がこれら犯罪の捜査・訴追に向けて十分な措置を講じているかを検証する可能性を示した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ国際司法プログラムのリチャード・ディッカー局長は、「戦争犯罪と人道に対する罪がアフガニスタンで現在も進行中であるというICC検察局の結論を受け、法の裁きを促進するための本格的調査を行うべきだ」と述べる。「そうすれば人権侵害の加害者たちに、裁きから逃れることは永遠にできないというメッセージを送ることができるだろう。」

アフガニスタンは2007年以来「分析中の事態」となっている。これは、ICC検察官が国際法違反の犯罪容疑について、公式捜査開始の是非を検討していることを意味する。

ICC検察局は証言収集のために事実調査団を早急に現地に送るべきだ。また、アフガン国内の諸団体、政府機関、関連国際機関との情報交換を改善すべきだ。

予備調査の開始からすでに6年が経過している。ICC調査がこれほど初期段階で長く公式に未定の状態だった例はほかにない。この間にヒューマン・ライツ・ウォッチは、アフガニスタンにおける数多くの重大な人権侵害を調査して取りまとめてきた。

アフガニスタンは2003年にICC締約国となっている。訴追を再び前向きに求めていくとICCが公約すれば、より広範なアカウンタビリティ(責任追及・真相究明)が促進されることにもなろう。アフガン国際駐留部隊が2014年末までの撤退を準備しているが、アフガン政府とその援助国・機関は、アフガニスタンで繰り返される人権侵害加害者たちが処罰されずに放置されている問題に正面から向き合うことはなかった。

アフガン政府の独立人権委員会による調査や世論調査の結果は、アフガン国民の大半が過去数十年にもわたって行われた人権侵害や戦争犯罪に対する責任追及を一貫して求めていることを明らかにしている。

ICCローマ規程により、当該国に「その捜査または訴追を真に行う意思または能力がない場合」に限り、ICCは事件を受理できると定められている。

アフガン政府のアカウンタビリティ実現に対する努力、特に自国軍に対するそれはわずかな成果を収めるにとどまっている。2005年に政府が発表した「平和・和解・正義のための行動計画」は遂行されていない。ハーミド・カルザイ大統領は1978~2001年に起きた重大な人権侵害を調査した人権委員会による報告書(全800ページ)の公表を阻止した。米国ほか諸外国政府もこの公表差止めを了解していた。この報告書は、アフガン行動計画に続くほぼ唯一のアカウンタビリティの試みだったといえる。

有力な軍閥政治家とその支持者たちが協力して2007年に、国家安定和解法(National Stability and Reconciliation Law)を議会で通過させた。同法は2001年以前に重大な人権侵害を犯した個人に、事実上の恩赦を与えるものだ。来たる国際駐留軍の撤退は、国際社会のさらなるアフガンばなれの前兆といえる。これは、重大な人権侵害に対するアカウンタビリティ促進に向けわずかに残っている国際的な圧力さえも消えうせてしまう可能性を意味する。

2014年4月に予定されている大統領選挙を前にして、速やかなアカウンタビリティの実現はさらに火急の課題だ。大統領および副大統領候補者のうち一部は、重大な人権侵害疑惑がささやかれている人物だ。だが、アフガン憲法が有罪歴を大統領選出馬の不適合条件としていることも、大した意味を成していない。なぜなら、過去40年の間に同国で起きた重大な人権侵害に対し、有罪判決を受けた有力指導者は誰一人存在しないからだ。

ICC検察局の今回の分析結果を、アフガン政府と同国に軍隊を派遣している国々が支持することは、事態を前進させるのに欠かせないが、2012年11月発表のICC検察官による報告書内でも特に言及されたように、こうした政府は必ずしも協力的とはいえない。

前出のディッカー国際司法局長は、「カルザイ政権は早急に真実究明と法による裁きの実現を国家の優先事項にすえるべきだ」と述べる。「アフガン政府と援助国・機関は、法の裁きが忘れ去られないよう、ICC検察官の努力を支持すべきだ。」

(この記事は、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のサイトで12月1日に公開された記事の転載です)