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今回の都知事選挙結果は何を意味するのか?

2014年02月10日 15時34分 JST | 更新 2014年04月11日 18時12分 JST

徳州会事件という「政治と金」に拘わる刑事事件に起因する今回の都知事選は自民党の支持を取り付けた舛添氏の圧勝、次点は揺るぐ事無く既存権力に反対を続ける共産党の支援を受けた宇都宮氏、という、まるでタイムマシンで昭和の高度成長時代にタイムスリップしたかの様な結果に終わった。正直、余りに何の波乱もなかった事に驚いている。私は、特定の候補者を支持、あるいは批判する様な事はなかった。しかしながら、都知事選選挙に関連して下記を公表している。そういう経緯も踏まえ、今回の結果を総括してみたい。

小泉元首相「原発ゼロ」発言に感じる昭和政治の残渣

「脱原発」を都知事選の争点にする意味不明

「脱原発」は「国民窮乏化政策」であるという事実

東京都知事に求められる資質とは?

■ 舛添氏の圧勝が意味するのは東京都民の安倍内閣支持

昨日(2月9日)東京都知事選の投票が行われ、午後8時に締め切られ早速テレビのスイッチをつけたら各チャンネルが一斉に舛添候補が当選確実と報道していた。それ程都民から支持されている舛添候補だが、主張は「東京を世界一の都市にする」、「史上最高のオリンピックにする」それ以外といえば厚労大臣の実績を強調しての「福祉」関連であり、別に安倍首相が同じ事を喋っても違和感はない内容であった。不適切な表現と御叱りを受けるかも知れないが、舛添氏は安倍首相のカーボンコピーに過ぎず、今回の都知事選での舛添氏への投票は安倍内閣に対する信任投票の意味合いが強いというのが、私の見立てである。

■低い投票率の意味するもの

投票率は46.15%で、これは過去3番目に低い数字との事である。期日前投票が9%なので、当日投票所に向かった有権者は三分の一強という結論となる。雪の影響はあったにせよこの数字は低過ぎる。背景にあるのは魅力ある候補者の不在である。詳細は後述するが、舛添氏に投票する気にはなれない。しかしながら、他の候補者が当選すれば東京は滅茶苦茶になってしまう。従って、放置すれば組織票を固めた舛添氏が当選するから、棄権する事でこれを消極的に容認したというのが、有権者の三人に二人が昨日投票しなかった理由ではないだろうか?

■ 脱原発議論の終焉

舛添氏当選を伝えるBBC News記事が興味深い。記事のタイトルからして原発容認派の舛添候補が当選と訴求しているし、記事の中身も不安定ではあるが、今回有権者が原発容認を支持した事を強調している。イギリス政府は近い将来顕在化するだろう化石燃料の枯渇対策として原発の増設を予定しており、安全性の面で評価の高い日本企業に発注予定である。日本国内での原発存続の是非が焦点となった今回の都知事選結果に英国が興味を持つのは当然の成り行きと考える。

 東芝は15日、イギリス原発事業会社ニュージェネレーション(ニュージェン)の株式の60%を取得することで合意したと発表した。取得金額は1億200万ポンド(約170億円)の見込みで、規制当局の承認を得た上で今年前半に取得を完了する予定だという。

 昨年末にはスペイン電力大手イベルドローラから50%を取得することで合意しており、さらに仏電力大手GDFスエズから10%を取得する。スエズは引き続き40%を保有する。

 東芝は声明で、「買収は将来の主要投資で、安定した安価なエネルギー供給とCO2削減を目指すイギリスを支援する」と発表。さらに「ヨーロッパや他の主要地域でも、世界で最も先進的で安全な加圧水型原子炉AP1000の建設機会を探っていく」と加えた。

【2011年の福島事故以降、日本の原発メーカーは海外進出を模索】

 ニュージェンはイギリス北部のムーアサイドで発電能力3.4ギガワットの原発建設を計画している。東芝はここに、傘下の米ウェスチングハウスの新型原子炉AP1000を3基納入する計画だ。英スカイ・ニュースは、2011年の福島第一原発事故以降、国内で棚上げとなった原発新設への関心を再燃させる東芝の試みだと報じた。

 なおライバルの日立製作所は、2012年に、イギリス原発事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収し、既に原発の建設計画を進めている。

 また昨年には、安倍首相が、トルコと黒海沿岸に大規模な原発を建設する契約に合意。2011年の福島事故以来、初めて日本から原発が輸出された。

上記が原発に対する世界的な趨勢である。この根底にあるのは化石燃料の枯渇と温暖化ガスの増加に起因する地球温暖化である事はいうまでもない。翻って日本はというと、極めて残念であるが3.11以降政治はエネルギー問題を玩具にして来た。三歳児がライターを玩具にして弄べば、結果家を丸焼けにしてしまう。同様、政治がエネルギー問題を玩具にすれば日本経済は破綻してしまう。漸く、東京都民はこの事に気付き脱原発を主張する候補者に「NO」を突き付けるに至った訳である。

3.11以降の一種のヒステリー状況での、或いはイデオロギーに汚染された脱原発議論は今回の選挙結果を以て完全に終わった。今後は、枯渇する化石燃料、中東の地政学的リスク、地球温暖化ガス対策、日本経済の将来、失業問題などを総合的に考え、原発を含めたエネルギー問題全般を長期的にどうするのか? を考え、議論して行かねばならないという事である。

■不人気だった小泉劇場

小泉元首相が郵政改革を戦っていた時、小泉劇場は千客万来、何時も支持者で満員御礼状態であった。今回も柳の下の泥鰌狙いで細川氏への積極支持に動いたのだと思う。早速、小泉劇場を開演し、「原発は悪」、自分と細川候補は原発を退治する「正義の味方」、原発支持者は「抵抗勢力」という郵政選挙の時と同じ安っぽい「勧善懲悪」で選挙に臨んだ。結果は当然の事として惨憺たるものであった。理由は日本国民が当時より幾分賢くなったという事に尽きるのではないのか? 小泉元首相は既に賞味期限切れであり、彼の主たる支持基盤であるB層からも匙を投げられているに違いない。

■「殿」の自爆

私は今以て何故細川氏が知事選挙に立候補したのか理解し切れていない。冒頭紹介した様に、今回の選挙は徳州会事件で猪瀬前知事が辞職した事に起因している。5千万円を徳州会から借りた(その後全額返済している)猪瀬前知事が辞職した後、一体どういう大義があって、一億円を佐川急便から借り入れ返済したか否かがはっきりせず、首相を投げ出すに至った細川氏が立候補したのか? 更には、東京の喫緊課題は2020年に迫った東京オリンピック・パラリンピックを成功さす事である。この開催に反対する細川氏が何故知事に立候補するのか? さっぱり理解出来ない。

主張する政策に至っては、「徐々にではなく、直ちに原発を廃止する事で、初めて日本経済が再生し、強い国になれる」という全く意味不明で、上述したイギリス政府の政策と真逆のものである。正直、頭は大丈夫か? と思ってしまう。出口調査の結果を見ると、20代が細川氏を全く評価していない。私は20代の見識と眼力に拍手を送りたいと思う。結論からいうと、「殿」の出馬は自爆以外の何物でもなかった。

■ 宇都宮氏はそもそも行政のトップに立つ人間ではない

舛添氏の後塵を拝する事となった宇都宮氏の、以前から活動されている即時原発停止、雇用問題に関係しての派遣村、ブラック企業追及などの一連の主張に接しての印象は、この人は「イデオロギー」が背広を着用しネクタイを締めた様な御仁というものである。問題、課題の中身は異なれ、これに接した際、決してイデオロギーという名の鋼鉄の鎧を脱ぐ事はない。そして、現場に出る事もなく、使い古したイデオロギーノートを朗読して終わりというものである。現実の世の中は矛盾に満ちており、それで巧く行けば誰も苦労なんてしない。宇都宮氏が行政のトップとしては最も相応しくない人間である事は確実である。