BLOG

長友佑都は夏の挫折を乗り越えて走り続ける

2014年07月17日 17時25分 JST | 更新 2014年07月17日 17時27分 JST

2014-07-17-140716.jpg
[写真]長友佑都選手

長友佑都の昨季は、「キャリア最高」と言える出来だった。インテル在籍4年目で、リーグ戦34試合に出場(うち先発出場が32試合)。これはフィールドプレーヤーのなかで、アルゼンチン代表FWのロドリゴ・パラシオに次いで、2番目に多い試合数だった。

さらに、戦術家として名高いワルテル・マッツァーリ監督の指導の下、左ウイングバックに配置された長友は攻撃面で格段の進歩を遂げた。自己最多の5ゴールはチーム全体の3番目に多い数字で、アシストも7つ積み重ねた。これまでの強みであった動きの“量”に加え、ゴールに直結する“質”の部分でも確かな結果を残し、本人が常々言う「世界一のサイドバック」の理想像にまたひとつ近づいた。もっとも、それも「ブラジルW杯まで」という但し書きがつくのだが…。

遠く南米の地での惨敗は、本人のパフォーマンスだけに原因があるのではなく、チーム全体の責任である。ただ、そのことを頭で理解していても、初戦のコートジボワール戦で、自らの持ち場である左サイドから立て続けに2ゴールを奪われたことは、一生悔いが残るだろう。それは、記者団を前にして流した涙が何より物語っている。とはいえ、「ここで終われば人生後悔する」と本人が語ったように、南アフリカW杯からの4年間以上の覚悟をもって今季に臨むはずだ。

幸い、W杯での出来事がクラブ内での立場に影響を与えることは、ほぼないと言っていい。まずはレギュラーポジションの確保が目標の香川や本田とは異なり、長友は今やインテルで不動の地位を築いている。左サイドバックを本職とするドドのローマからの期限付き移籍が決定し、現地紙では今季は右サイドが主戦場になるとの報道もある。だが、すでにリーグ屈指のサイドバックとなった長友にとって、左か右かというのは大きな問題ではない。むしろ長友の“真のライバル”は、自分自身が思い描く世界一のサイドバック像と言っても過言ではない。「クロス、パスの精度を上げなきゃと思ったら、僕はすぐにやります」がモットーの長友は、ブラジルでどんな課題を感じ、そしてそれをどう克服していくのか。これまでと変わらない試行錯誤が続くはずだ。

一方、昨年12月のミラノダービーで初めてキャプテンマークを託されたように、長友はチームリーダーの1人にも数えられる。これまでクラブを支えてきたDFハビエル・サネッティ、MFエステバン・カンビアッソ、FWディエゴ・ミリートらが揃って退団したチームにあって、DFアンドレア・ラノッキアとともにチーム最古参の選手になった長友の存在価値は非常に高い。この9月で28歳となる長友は、日本代表同様、インテルでも年長組に分別されることになり、双方でチームメイトたちを統率するという重責を担っていくことになる。それはまた、新たな一歩をスタートさせる長友にとって、大きなモチベーションとなるだろう。

振り返れば、4年前は、W杯での活躍が認められてチェゼーナへの期限付き移籍が決まった。言わば、世界の扉を叩いた瞬間だった。それから確実に進化を遂げ、ついに世界の頂点を視界に捉えられるようになった。今夏、1つの挫折を味わうこととなったが、日々、坂道を何往復も上り下りするように、これからも彼は走り続けるはずだ。それが、長友佑都という男の生き様なのだから。

2014-07-17-83.jpg

フットメディア

Foot!でもお馴染み、スポーツコメンテイター西岡明彦が代表を務めるスポーツメディア専門集団。 語学が堪能で、フットボールに造詣が深いライター陣のコラムは、様々な媒体において高い評価を得ている。 J SPORTSでは、プレミアリーグ中継やFoot!などの番組演出にも協力している。

(2014年7月17日「海外サッカーコラム」より転載)