ジョン・レジェンド、社会事業を立ち上げる 「今の自分がいるのは、信じてくれた先生がいたから」

先生をサポートすれば、社会は変わる。
LRNG

熱意のある先生をサポートして、教育格差をなくしたい

高校の卒業式で、スピーチをする壇の前に立ち、みんなを見渡したときのことを今でもよく覚えている。

たくさんの人たちが集まっていた。だけど卒業証書を受け取るためにステージにあがった生徒の数は、新入生オリエンテーション時の約半分だった。4年間の高校生活を終える前に、約50%の同級生が退学したのだ。

私が育ったオハイオ州スプリングフィールドで、「成功」を夢見る若者はそう多くない。私も、私の可能性に気付き情熱を持って教えてくれる先生がいなければ、学ぶことの楽しさを知らず、夢を追うための自信を身につけることもなかっただろう。

アメリカは教育の現状は、全ての若者が質の高い教育を受けられる状況からはほど遠い。だけど、希望はあると私は信じている。

それは、全ての生徒が質の高い教育を受けられるシステムを作ろうと、努力を続ける教育関係者たちがいるから。

多くの先生たちが、教育の水準を上げるために何ができるのか日々考えている。既存の教育システムを変えようとし生徒を鼓舞する彼らは、素晴らしいイノベーターだ。

彼らは毎日のように試練に直面する生徒たちを見て、生徒が何を必用としているのかを理解している。公平な教育システムをつくり、教育の格差をなくすためには何をすれば良いかをわかっている。

お金も労力も不足しているが、効果的なカリキュラムをつくり、教室の中でも外でも学べる環境をつくる新しい方法をみつけようとしている。

LRNG

私は自らの経験から、教育には熱心な先生が欠かせないことを知っている。

私が作詞家としてのキャリアを築けたのは、英語のボディ先生のおかげだ。ボディ先生と出会うまで、私は自分に書き手としての才能があるなんて思っていなかった。

しかし彼女は私の可能性を見出して、クリエイティブに書く方法、明瞭に書く方法、そして情熱とともに書く方法を教えてくれた。

ボディ先生や他の先生たちは、私が自分の能力に自信を持つよう助けてくれた。そして恐れず挑戦するよう促してくれた。

クラスで2番目に良い成績で卒業できたのも、卒業式のスピーチをするよう後押ししてくれたのも、英語の能力を伸ばすために、奨学金を取ってペンシルベニア大学に進学するように勧めてくれたのもボディ先生だった。

先生がいてくれたから作詞家としての自分がいる。

だからこそ、私は全ての生徒にボディ先生と出会って欲しいと思う。私と同じように、情熱を持って生徒を教える先生に出会って欲しい。

この願いを叶えるため、私は「コレクティブ・シフト」のコニー・ヨーウェル、「マッカーサー・ファンデーション」のジョン Dとキャサリン T.、そして「ナショナル・ライティング・プロジェクト」とタッグを組んで、全ての生徒に質の高い教育を提供するための社会的事業「LRNG」を立ち上げた。

彼らとコラボして私は、「質の高い教育こそが、全ての若者が平等な機会を得るための鍵だ」と気が付いた。

その中核を担う教師たちの情熱と献身なしには、理想的な教育は実現できない。だからLRNGでは、全ての人が平等に学べる魅力的な教育システムをつくろうとする教育たちにに、助成金を交付し、必用な援助を提供している。

生徒たちが、学校だけでなく生涯を通じて情熱を傾けられるものみつけられるよう、彼らに助けてほしいから。

LRNG

LRNGを立ち上げてから、教育に喜びと情熱を傾ける先生たちの姿に、私は謙虚な気持ちにさせられると同時にワクワクさせられている。

一番嬉しいのは、生徒たちがこれまで気付かなかった自分の才能をみつけていることだ。

ニューヨーク市のブルックリンでは、テレビゲームとウェアラブル機材をあわせた教育方法を教師たちが編み出した。

インディアナ州のインディアナポリスでは、生徒たちが会話とコミュニケーションを促す公共ベンチをつくった。

ミシガン州オックスフォードでは、進学する女子生徒の割合が少なく、科学分野に進む割合も少ないことを問題だと考えた女子生徒が、環境問題の研究プログラムを始めた。

南部連合の像の撤去を巡って激しい議論が繰り広げられたバージニア州シャーロッツビルでは、高校生たちが南部連合の像にかわるダイバーシティを広めるモニュメントをつくった。

生徒たちは今後も、私たちの社会が日々直面する大きな問題を解決し続けるだろう。

作詞家をめざすために文章のスキルを学ぶ。ゲームが好きな生徒がプログラミングやコンピュターサイエンスを学ぶ。先生たちは生徒たちそれぞれ可能性を目覚めさせ、それを育てるという大切な役割を担っている。

成功のために最も大切なのは、時間とエネルギーと想像力を使って、献身的に生徒を教える献身的な先生だと思う。

私の成功は、私を信じて書き続けるよう励ましてくれた先生たちがいたからこそ、なし得たことだ。

アメリカで教える小、中、高校の先生は400万人弱。たとえその一部であっても、可能性を持つ先生たちをサポートできたら、どれだけ多くの変化が起きるか想像して欲しい。

現状を変える教師たちをサポートすることは、将来全ての生徒が質の高い教育を受けられることにつながる。

それは、全ての人が平等なチャンスを手にできるようになるということだ。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。