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『幸せをつかむ歌』―経済も経営も人生も前向きな気持ちで!/宿輪純一のシネマ経済学(96)

2016年03月03日 16時48分 JST | 更新 2017年03月03日 19時12分 JST

(RICKI AND THE FLASH /2015)

原題の"RICKI AND THE FLASH"は主人公リンダが所属するバーのハウスバンド、本作もいきなり演奏からスタートする。しかも、メリル・ストリープが実際に弾いている。筆者も若い頃、ほんの少しだけバンドをやっていたこともあって少しは分かるが、彼女は実際に弾いている、しかも、上手い。本作は、映画の筋も良いが、バンド系の音楽が好きな方にもたまらない。

リンダ(メリル・ストリープ)は、ミュージシャンになるためにインディアナの家族(夫と娘)を捨て、ロサンゼルスに向かった。良くある話であるがスターにはなれず、バーで演奏する毎日。でも、仲間や常連客にも恵まれ、貧乏だが気持ちは充実していた。

そんなある日、捨てて連絡が無かった元夫のピート(ケビン・クライン)から連絡が入る。裏切られ離婚した娘ジュリー(メイミー・ガマー)が傷ついており、実母に助けてほしいというものであった。リンダは久し振りにインディアナに戻るが、風当たりは辛い。しかし、実母だけあり、何とかしたいと頑張る。もともと、娘は自分たちを捨てた原因だったリンダの歌(音楽)を嫌っていた。しかし、娘を救ったのは、その「歌」だった・・。

本作はエピソードに溢れている。アカデミー賞を3つ受賞し、さらに数々の受賞歴をもつ、演技派女優メリル・ストリープ(66歳!)が、すべてを捨てて音楽の夢を追い続ける主演リッキーを熱演。さらに、なんとメリルの実の娘であるメイミー・ガマーが娘役で出演、実生活ではそうでないだろうが、母娘のぶつかり合いが激しい。

それにしても、メリル・ストリープの歌と演奏は見事で、U2、ローリング・ストーンズ、ブルース・スプリングスティーン、レディ・ガガらの名曲を歌う。メリルにギター演奏を特訓したのは、なんとニール・ヤング本人だそう。

監督は『羊たちの沈黙』でアカデミー賞を受賞したジョナサン・デミ。脚本は『JUNO/ジュノ』でアカデミー賞を受賞し、女性の心情を描くのはお任せのディアブロ・コディ。なんと、ストリッパーの経験がある女性で、次第にジャーナリズムや執筆活動に進んだのだ。錚々たる面子である。

 

さて、この作品では、なかなかに悲しいことが多く描かれる。理性的には許せないとしても、最終的に、母親の「歌」が娘を救っていく。単純にいうと「救っていく」とは、「気持ち」が明るくなっていくということである。人間は「気持ち」で動く。

この「気持ち」ということが、人生だけでもなく、経済・経営にも大事な要素なのである。経済学では、最近、気持ちの動きを重視する「行動経済学」が注目を集めている。しかし、日本ではそれより随分、昔から気持ちに注目していた。たとえば「景気」という言葉は「気のあり様」ということである。このような言い得た言葉は、筆者の経験では欧米にはない。この「景気」という言葉は、実は鎌倉時代の「方丈記」に初めて使われた用語である。日本人はそのように気持ちと経済の関係を古来から認識していた。

「経営」においても、気持ちを前向き(ポジティブ)に持ち続けることが、成功のカギである。凹むことなく、意識的に明るく前向きに考えていくことだけでも、成功に向かっていく。問題多い現在では、特に必要である。「人生」においてはさらにそうである。自分の気持ちを前向きに持ち続けることが、期待を強め、頑張りと成功のベースになると信じている。実際、世の中のいわゆる成功者には前向きな方が多い。

(2016年3月5日公開)

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