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「正義の実現」に向けた歴史的瞬間--コンゴ元副大統領に戦争犯罪で有罪

2016年03月27日 16時26分 JST | 更新 2017年03月26日 18時12分 JST

今月21日(月)、オランダのハーグに本部を置く*国際刑事裁判所(International Criminal Court, 以下ICC)は、2003年に中央アフリカ共和国に派遣した部隊による住民殺害やレイプ、略奪行為をめぐる戦争犯罪で起訴されていたコンゴ民主共和国(旧名ザイール)のジャンピエール・ベンバ(Jean-Pierre Bemba)元副大統領(53)に対し、有罪判決を宣告した。

ベンバ被告は大統領選挙敗戦後にコンゴ民主共和国から亡命、2008年にベルギーの首都ブリュッセルで逮捕されて以来、ICCに勾留されている。裁判は2010年から始まっていた。

*国際刑事裁判所

1998年7月17日に、国際連合全権外交使節会議において、非人道的な戦争犯罪など、国際社会にとって深刻な犯罪を裁くための国際裁判所設立を目的とした国際刑事裁判所ローマ規程が採択された。

そして2002年7月1日に発効、歴史上初となる国際刑事裁判所(The International Criminal Court、以下ICC)がオランダのハーグに誕生した。ICCでは、「ジェノサイド(集団殺害)」「人道に対する罪」「戦争犯罪」「侵略犯罪」の4種類の犯罪を取り扱うことが出来るとされた。

 

家族の目の前で行われた集団レイプ

ベンバ被告は副大統領就任前の2002年、隣国である中央アフリカ共和国で起こったクーデターを阻止し、同国のアンジュ・フェリックス・パタセ(Ange-Felix Patasse)政権(当時)を支援するために1000名以上の軍隊(コンゴ解放運動)を派遣した。

同軍隊は、クーデター阻止に向けた活動を展開する一方で、住民を故意に狙ったレイプや残虐行為を行ったとされている。ある家では、コンゴ解放運動の兵士に銃を突き付けられ、他の家族の目の前で集団レイプが行われていた。

シルビア・スタイナー(Sylvia Steiner)裁判長は法廷で、ベンバ被告が同部隊と緊密に連絡をやり取りし、直接的に作戦命令を出し現場で起きている事態を把握しながらも、暴力行為の阻止を怠ったと指摘、戦争犯罪や人道に対する罪、全5件の罪状全てで有罪判決を下した。

今回の裁判では、これまでのどの法廷よりも多い被害者5000名以上に傍聴の権利が与えられていた。

 

「正義の実現」に向けた歴史的判決

ICCが戦争時の「武器」としてレイプを認定したのも、配下の部隊が犯した行為に対する司令官の責任を全面的に認めたのも今回が初めてのことであるが、これは非常に大きな意義を持つ。

紛争時には必ずと言っていいほど、レイプが横行する。

前線で戦う兵士が自身の欲求を満たすために行われることもあれば、攻撃先の家族を「崩壊」させるためにレイプが「武器」として使用されることもある。

しかしながら、本判決によってレイプが「武器」として認定され、かつ配下の部隊が及んだ行為の責任を司令官が負ったことにより、紛争関連国の兵士や民兵、特に司令官に対して、「レイプや残虐行為が起きることを未然に防がなければならない」というプレッシャーを与えることに繋がる。

今回の判決に対して、多くの人権団体が歓迎の意向を示している。国際人権連盟(International Federation for Human Rights)のキャリー・コマー氏(Carrie Comer)は、判決は「言葉を絶するほどの残虐行為による犠牲者に向けた、歴史的な瞬間だ。」と発言、Twitterでは「『司令官は戦争犯罪を防ぎ、そして罰しなければならない。』というICC裁判官たちからの強いメッセージだ。」と投稿した。

また、アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、ベンバ被告に対する有罪判決は、中央アフリカ共和国、そして世界中の性的暴力による被害者のための「正義の戦いにおける歴史的瞬間だ」と公表している。

(2016年3月27日 Platnews「「正義の実現」に向けた歴史的瞬間--コンゴ元副大統領に戦争犯罪で有罪」より転載)