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米国大統領選挙に見られる米国の変質と今後の日米中関係への影響

2016年04月02日 15時36分 JST | 更新 2017年04月01日 18時12分 JST

◇ 共和党では当初泡沫候補と見られていたトランプ氏が予想外に善戦しており、有力候補と見られていたブッシュ氏(ブッシュ元大統領の弟)は本年2月にすでに撤退を発表した。一方、民主党ではクリントン氏が優勢を保持しているのは予想通りであるが、対抗候補のサンダース氏が予想以上の善戦をしている。

◇ 多くの選挙民の本当の願いは、最近の米国の分裂した政治状況を調和・統一する政治リーダーの登場であるが、現在の民主・共和両党の候補者の中でその期待を実現する能力を備えた人物は一人もいないとの見方をする有識者が多い。

◇ 今回の選挙キャンペーンでは、共和党内部が分裂し、同党の基本理念である小さな政府と強いアメリカという考え方の下で党内の意思統一を図ることができなくなっており、共和党のあり方が根底から見直しを迫られている。

◇ トランプ氏ほど極端な主張ではないにせよ、民主党の候補者であるサンダース氏も反自由貿易・反TPPの主張を展開している。本来自由貿易重視の考え方を持っていると考えられていたクリントン氏までが、TPPへの参加に反対するなど、反自由貿易・反TPPは党派を超えた、米国の多数派の主張となっている。

◇ 米国民が中長期的に国際問題への関与に消極的となる傾向があることは今後も変わらない可能性が高い。その場合、日米同盟を外交の基軸としてきた日本としては、米国への依存をある程度修正していき、より自律的な外交・安全保障政策をとる方向へと舵を切らざるを得なくなることは覚悟するべきであろう。

◇ 報道統制、イデオロギーに関する発言規制、学術研究の制約強化など、習近平政権下での言論・報道・学問の自由に関する制限は一段と強化されている。役人、学者、メディア関係者、国有企業経営者といったエリート層の人々は多かれ少なかれ習近平政権の反腐敗運動、言論・学問統制、構造改革に対して不満を抱いている。習近平主席はそのエリート層の反発拡大を恐れて、言論・報道・学問等を厳しく規制しているのではないかと見られている。

◇ 本年初にAIIBが正式に発足し、米国の政府関係者、有識者は国際開発銀行としてきちんと運営されていると評価している。しかし、米国議会が米国のAIIB加入に同意することはあり得ない。このため、もし日本が米国との同時加入を前提とすれば、日本はAIIBに加入できなくなる可能性が高い。AIIBの機能に対するアジア諸国の期待は大きく、日本の加入が望まれている中、米国との関係をうまく保持しながら、AIIBに加入する方法を模索していくことが今後の大きな課題となる。

全文はキヤノングローバル戦略研究所のHPよりご覧ください。

米国大統領選挙に見られる米国の変質と今後の日米中関係への影響<2016年3月7日~18日 米国出張報告>