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すぐ不安になる人のためのマインドフルネス

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日本人が慎重で控え目な傾向にあることは、どうやら単なる印象論ではなく脳科学的な事実のようです。それを考える上でのキーワードが、セロトニン・トランスポーターです。

これは精神の安定を保つセロトニンという物質を、脳内で運搬する遺伝子です。この遺伝子が十分に働かないと、セロトニンが十分に活用されません。そうすると、ちょっとしたことで不安になる、否定的な感情に歯止めがかからなくなる―といった傾向が現れます。

そこで一つの結論を先に述べると、日本人は意図的になんらかの工夫をして実践しないかぎり、不安になりやすい傾向を払拭することは難しいのです。

セロトニン・トランスポーターには3つのタイプがあります。一つはSS型と呼ばれるもので、セロトニンの伝達力が弱いもの。これを660CCの軽トラックだとしましょう。二つめはSL型といって、ふつうにセロトニンを運べるもの。普通乗用車並みかそれ以上の排気量をもっている小型・中型トラックです。そして三つめがLL型で、たくさんセロトニンを運べる大型トラック。

日本人は軽トラックタイプの人が68%なのに対し、アメリカ人で軽トラックタイプは19%。小型・中型トラックタイプは日本人が30%でアメリカ人が49%。そして大型トラックタイプは、日本人が2%(!)なのに対してアメリカ人は32%です。

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「日本はもともと持っている特有の強みこそが、これからの弱みにもなり得る」――。そう語っていたのは、先ごろ来日したフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏(フランス国立人口学研究所)。

彼はソ連崩壊や米国の威信低下を予見したことでも知られる、世界の動静に関する当代有数のオピニオンリーダーです。

彼の言う日本の強みであり弱みとは、ズバリ「秩序」を求めることに対する完璧さ。それは言うまでもなく日本のモノづくりや〝お・も・て・な・し〟に象徴されるサービス品質、そして社会的な治安の良さにもつながっています。

セロトニンをたくさん運べない軽トラックタイプが多いことは、念には念を入れて慎重に取り組む、相手の意向に十分配慮するといった、日本人と日本社会特有の姿を形成する力になってきたのではないでしょうか。

しかし人口統計や家族構造の分析の第一人者である彼は、独自の視点から次のように語ります。

「移民を受け入れるということは、秩序を崩す要因になる。したがって、ある程度の秩序の乱れを許容できなければ、そうした政策をとるのは難しい。しかしそれをしなければ、人口構成から見て今後の日本の発展は望めないでしょう」

彼は超高齢化社会の到来という観点で語っていますが、「秩序」にまつわる課題は他にもたくさんあります。

3・11以降のエネルギーの在り方、女性活用や若手の抜擢など適材適所による社会・組織の活性化、特区行政やカジノ誘致など賛否が渦巻く施策の検討、性的マイノリティの支援、教育における6・3・3制の見直しや飛び級制、落ちこぼれ阻止のための留年制などの検討、春一括の新卒採用という慣例に関する抜本的な議論・・・。

ほんとに挙げればきりがないというか、中長期的に日本にとって大事な問題はすべて「秩序」とどう向き合うか、に関わるテーマとさえ言えるような気がします。

秩序を保とうとする特質は、社会の安定期には強みになりやすいでしょう。しかし動乱や変革の時代には、混とんとした状況を受け入れながら荒野を進まねばなりません。

根本的なスクラップ・アンド・ビルド、既存の枠組みを超えたイノベーション、それらは過去に築いた秩序を崩す取り組みです。

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さて、軽トラックタイプが多いからといって、秩序の乱れを恐れて何もできないわけではありません。

セロトニンの多寡が影響する不安感なども含め、人間の感情の3分の1は遺伝子によって決まりますが、残りの3分の2は外部要因によるものです。

そしてこの外部要因は、日本人がその強みと表裏一体の弱みを制御する可能性を示します。日常の習慣やトレーニングによってセロトニンの分泌を促していけば、もとが軽トラックタイプだとしても克服は十分に可能なのです。

セロトニンはリズミカルな運動によって増やせると報告されています。ですから体力に合わせてリズム運動(ジムのステッパー、ジョギングやサイクリングなど)をするのもいいのですが、じつはマインドフルネス(呼吸を観察する瞑想)も同じ効果があります。

それは「吐いて、吸って・・・」というように呼吸に注意を向けていくことが、リズム運動と同じ効果をもたらすからです。また息をゆっくり吐いていくときに副交感神経が活性化し、セロトニンの分泌を促すので過剰な不安感などを抑制する効果があります。

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あえて秩序を壊すことも承知で取り組まなければならないことが、今の社会にも会社にも溢れていると思います。

秩序が乱れる・・・それを論理的につかれると、変革に挑もうとする側は窮地に陥ります。反対派は理に適ったことを言っているのに対し、変革はそもそも道なき道を手探りで進むものですから。

反対される、抵抗されるという不安。

それを押しのけて進むプレッシャー。

頭では前進したくても不安が大きくて立ち止まっている多数派を支援する道筋。

自分の気持ちを操縦するためにも、秩序維持に傾く人々をマネジメントしていくためにも、マインドフルネスを組み入れることが有効です。
それはマインドフルネスで不安やストレスが消えるからではありません。極端な感情が生じることがあっても、それが行動となって暴走していかないよう、適切に制御できるようになるからです。そのために脳内で活躍してくれるのが、セロトニンなのです。

(一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート理事 吉田典生)

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