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人生を豊かにする「休み方改革」-「働き方」と「休み方」の"よい関係":研究員の眼

2017年08月17日 16時08分 JST | 更新 2017年08月17日 16時08分 JST

長時間労働による過労死事件などを契機に、「働き方改革」の実現に向けた議論が盛んだ。あわせて「プレミアム・フライデイ」や「キッズウィーク」のような消費促進を含意する「休み方改革」にも注目が集まる。

『どう働くかは、どう休むか』ということであり、両者はコインの表と裏だ。企業にとっては「従業員がいかに効率的に働いて生産性を高めるか」が、働く側には「いかにワーク・ライフ・バランスを図り、豊かな人生を実現するか」が主要なポイントになるだろう。

「働き方」=「仕事の仕方」、「休み方」=「休息の取り方」ということだが、それぞれの改革とともに両者が相互にもたらす効果が重要だ。

よく「仕事/ON」で「休息/OFF」と表現されるが、休息を取ることは単に「仕事をしない」という「OFF」の時間を意味するものではない。

適度な運動が早く疲労を回復し、新しいアイデアを生み出すことがあるように、積極的に仕事のパフォーマンスを高め、高い付加価値を生み出すために能動的な休息の回路を「ON」にする「休み方」があるのではないだろうか。

アレックス・スジョン-キム・パン著『よい休息(Rest)』(日経BP社、2017年5月)は、『多くの人は、いかに働くかには興味があるが、いかに休むかについてはあまり考えようとしないようだ。( 中略 )創造的で生産的な人々の生活やキャリアに休息がどんな役割を果たしているかについては、ほとんど知ることができない』と指摘した上で、「休息」は仕事の重要にして対等なパートナーであり、昼寝や散歩、遊びや長期休暇などの「戦略的な休息」は、人間の創造性と生産性を高めるとしている。

これまで「休息」は仕事の疲れを癒すなど、仕事の補完的役割を果たすと考えられてきたが、同書が指摘するように、仕事と対等な関係がより積極的に仕事の付加価値を高めることができる。

連続して長く働くことが必ずしも生産性を高めるわけではなく、計画的な仕事の中断がむしろ生産性を高め、早朝や昼寝などから目覚めた後の時間は脳が覚醒して集中力が高まり、多くの良質な成果を生み出すという。「働き方」と「休み方」の"よい関係"が必要なのだ。

音楽の楽譜には、音程のある四分音符や八分音符などの間にさまざまな長さの「休符」が挿入される。無音の休符を楽曲に有効に組み込むことにより音程のある音符が活かされ、躍動的な音楽を創造する。人生も「労働」と「休息」が巧く組み合わさることでワクワクする素晴らしいものになる。

「休み方改革」とは、「休息」が心身の疲れを癒し回復することに留まらず、人生の独創性を高め、好奇心を引き出し、一人ひとりが有する生きる喜びや幸せを顕在化するというライフデザインに他ならないのである(*1)。

(*1) 映画『ボンジュール、アン(原題:PARIS CAN WAIT)』(監督・脚本エレノア・コッポラ、主演ダイアン・レイン、2017年7月日本公開)参照

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(2017年8月15日「研究員の眼」より転載)

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社会研究部 主任研究員

土堤内 昭雄