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同性愛行為の死刑執行の非難決議に反対したが,性的指向による差別には反対

2017年9月29日,国連人権理事会で採択された「死刑問題」決議に,日本は反対票を投じました。

2017年10月18日 08時59分 JST | 更新 2017年10月18日 10時05分 JST

2017年9月29日,国連人権理事会で採択された「死刑問題」決議に,日本は反対票を投じました。今回の決議は,ベルギー,スイスを始めとする欧州各国が提案し,背教,不敬,姦通,同意ある同性間性行為等に対する制裁として死刑を科すことを非難する内容を含むものです。この決議に反対票を投じたことをもって,あたかも性的指向等を理由にした死刑執行に日本が賛成したかのような誤解に基づく議論が見受けられることから,本件の経緯について御説明したいと思います。

性的指向等を理由とした暴力,差別や,そのような差別に基づく刑事罰はあってはならない。これが日本政府の明確な立場です。このような観点から,日本は,決議提案国との間に共通点を見出せると信じ,積極的に文言交渉に参加してきました。今回の決議採択に当たっても,志野光子在ジュネーブ国際機関日本代表部大使から,「我々はあらゆる差別に反対する。死刑適用場面における差別も許されないと考える」旨,投票の際に議場においてはっきりと意見表明を行っています。

それでは,なぜ日本は今回の決議に反対票を投じたのか。それは,残念なことに,今回の決議全体の趣旨が,各国に対し死刑制度の廃止及び死刑執行についての一時停止(モラトリアム)を導入することに好意的な方向性を強く示す,偏った内容になってしまったためです。日本政府としては,死刑制度の存廃,死刑執行のモラトリアムを導入することの適否は,国民世論の動向に十分配慮しつつ,社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討した上で,各国が独自に決定すべき問題だと考えています。

このような背景を踏まえ,日本は,本決議に反対票を投じるとともに,議場においても投票理由説明を実施したものであり,性的指向等を理由にした死刑執行に賛意を示したものではありません。また,こうした差別に基づく刑事罰はあってはならないという日本政府の考えも,この機会に改めて強調しておきたいと思います。