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強硬な「反日」を続ける中国と習近平体制

2013年10月01日 23時50分 JST | 更新 2013年12月01日 19時12分 JST

『産経新聞』の「くやしさ、むなしさ...日本留学、中国で『負の評価』の苦悩」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

ある中国人が日本に留学し、「環境技術を学び、大学卒業後も日本に残って起業した空気清浄ビジネスで成功」、その後「2010年春に自分の会社と資産をそっくり上海に移し、中国での事業拡大に乗り出し」ました。

「立ち上がりは順調」で、「『日本で開発された環境技術』は宣伝効果も抜群で、地方政府や大手企業から」も引き合いが相次ぐ状態でした。ところが、昨年9月の尖閣諸島国有化を契機に風向きがかわり、「それまで急拡大を続けた中国国内での顧客との契約がゼロに」なってしまったそうです。

他にも、大学で「日本語専攻を希望する受験生は数年前に比べて30%前後減った」ということもあるとしています。

「『なぜ敵の国の言葉を勉強して敵の国の会社で働くのか』と責める心ない親類や知人」がいる関係で、「4年前に日本留学から福建省に戻り、就職した日系企業を最近になって辞めた女性」もいるとも書かれています。

「日本留学経験者は中国でも貴重な人材だった」が、「日中関係の悪化が長引くなかで、彼らにいわれなき『マイナス評価』を与える空気がじわりと広が」っており、「日本にとっても大切な彼らをどう応援すればいいのか」と記事は結んでいます。

2 反日デモ

中国では、これまで何度か反日デモはありましたし、実際中国人の間では日本人に対していろいろ複雑な感情を持っている方が多いことも事実です。

しかし、あくまで「反日デモ」は一過性という感じのもので、過ぎ去ってしまえば後は日常に戻るという感じだったわけですが、昨年のデモは暴徒化し、破壊された跡が生々しく残り、簡単に日常は取り戻せませんでした。

確かに、こうしたデモを起こすのは中国人の中でも一部の者であり、何もなかったところは何もなかったという当たり前の意見もありますが(中国に「反日教育」は存在しない(反日デモも言うほど怖くなかった)?)、そういうデモに遭遇した日本人にしてみればいろいろ思うところはあったはずです。

3 反日

中国全土では確かに、昨年の尖閣諸島国有化以来、中日友好というスタンスはなりを潜め、日本に対する敵対的なムードが支配的となっており、そうしたことがいろいろビジネスに影響を与えているのも本当のところかと思います(「日本企業が中国から撤退するはずがない」と思いたい中国)

日本車の販売台数も一時期よりは回復したとはいえ、競争相手である他の国と比較すると伸びは少なくかなり苦戦しております。

こうした雰囲気の中で、日本を「敵対視」する方がいることも事実で、結果、日本語を習得しようとするものが減少したり、日系企業に勤める中国人を裏切り者の様に思う者がいるというのも本当のことかと思います。

4 対日政策

おそらくこうした、反日感情の悪化には習近平体制の発足というのが大きな影響を与えていると考えます。ただ、あくまで、私の推測にすぎませんが、習体制は最初からこうした対日政策をとろうと考えていたとは思えません。

思うに尖閣諸島の国有化に伴う対日感情の悪化という状況が発足当時からあったわけですが、中国では、下手に日本に融和的なことを提言すると「売国奴」と見なされる傾向があります(中国の日本に対する感情と外国排斥運動)

権力基盤がまだ確定していない新体制、薄熙来の処分に代表されるように熾烈な権力闘争が起こっていた時に、相手に弱みを見せるわけにはいかないので、結果「反日」がどんどんエスカレートしているという面もあるかと思います。

そういう意味ではある程度権力が確定してくれば、落ち着く面もあるかと考えますが、習体制は軍との結びつきが強いので、

尖閣諸島問題で強硬姿勢を主張しがちな人民解放軍が落ち着かないと、なかなかこうした政策を変えにくいとも考えています(レーダー照射と中国の文民統制について)

(※2013年10月2日の「政治学に関係するものらしきもの」より転載しました)