検索キーワードから紐解く、時代とともに変わりゆく「女性像」

広告写真と理想の"美"

これまで広告のモデルには痩せているモデルが採用され、スリムな女性が人々の憧れとなっていました。

しかし、"痩せていることが正しい"という認識をエスカレートさせる一因にもなり、モデルや閲覧者が拒食症を患うケースに繋がっているとも言われています。

日本でも摂食障害の患者数は、2016年の時点で26,000人以上(※日本経済新聞「摂食障害患者2.6万人」2016年4月15日付朝刊)で、社会問題となっています。

これを危惧したフランス政府は、10月1日(日)、モデルの体型を細く見せたり大きく見せたりするためのレタッチ(画像修正)写真を商業用途で利用する場合、'photographie retouchée'(写真修正済)の明記を義務付ける法律を発足させました。

今回の法律化に伴い、ゲッティイメージズ全域でも「モデルの体形加工画像禁止」の規約を2017年10月1日より適用しています。

「女性像」は時代ごとに、どのように変化したのでしょうか。4枚の写真から読み解いてみます。

検索キーワードから紐解く、変わりゆく「女性」のイメージ

2007年のトップセラー。当時「女性」といえば、丸みを帯びた体のラインや、やわらかさが連想されており、これはまさに王道の写真です。また、モデルの女性も端正な顔立ちで、真っ直ぐカメラに向かって視線を送っており、典型的な女性の広告写真といえます。

■Credit:stbd4sh9-11, Stephan Hoeck/ Getty Images

2012年のトップセラー。この頃から、自然体で、カメラ目線でない写真が好まれるようになり、後姿の写真も多くなりました。また、モデルも美人よりは、親しみのある女性が採用されるようになりました。そのため、親近感も沸きやすく、こちらの女性が「何を見ているのか。どこに向かっているのか。誰かに会いに行っているのか」などいろいろと想像を掻き立てられるビジュアルとなっています。

■Credit:121979883, Roy Mehta/ Getty Images

2017年のトップセラー。この足場の悪い山岳を一人で歩く女性の姿はまさに現代の女性が持つ力を象徴しています。また、被写体と同じ目線で体験している感じが伝わる写真が現在人気あります。

■Credit:586653711, Jordan Siemens/ Getty Images

<ビジュアルトレンド「Creative in Focus 2017」>

ゲッティイメージズ上で検索・ダウンロードされたデータと世界中の広告ビジュアルの分析結果を基に、今後のビジュアルトレンドを予想する「Creative in Focus』。2017版で発表されたトレンドのひとつがグリティ・ウーマンと呼ばれる新しいタイプの女性像です。タフで粘り強く、ファイターであり、フェミニストであり、非凡な才能を持つ女性が広告写真でも好まれています。

■Credit:ngs0_6390, Dugald Bremner/ Getty Images

今回のように、"痩せている=正"ではなく、健康的で自然体の姿が美しいという考え方は、既に全世界に広がっており、同時に女性のイメージも大きく変わっています。毎年4億点以上のコンテンツのダウンロードがあるゲッティイメージズですが、広告ビジュアルなどに使用する女性に関する昨今の検索キーワードでは、「Real Body」、「Gritty Woman(力強い女性)」といった"リアルな女性"を表したキーワードが増加傾向にあります。

性の対象としての女性よりも、「パワー」「自由」のイメージに近く、"見た目"よりも"何をしているか"が大事なポイントで、慣例や壁を自らの手で打ち壊す女性像が当たり前になっている時代へと変化しているのです。

lbo

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