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私の「国立公園満喫プロジェクト」/「花の浮島」礼文島への旅

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森林文化協会の発行する月刊『グリーン・パワー』は、森林を軸に自然環境や生活文化の話題を幅広く発信しています。11月号の「時評」欄では、「花の浮島」礼文島への旅について、京都大学名誉教授の松下和夫さんが報告しています。

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アメリカで1872年に初めてイエローストーン国立公園が創設されて以来、自然公園制度は世界に広がり定着してきた。日本でも現在33カ所の国立公園が指定されている。最近では、外国人観光客を呼び込もうとの狙いもあり、国立公園のブランド化を図る「国立公園満喫プロジェクト」と名付けた事業を環境省が始めたとのことである。

それはさておき、日本最北の国立公園である利尻島と礼文島を去る7月に訪れることができた。私の国立公園満喫プロジェクトである。私はひそかにこの最北の島、とりわけ低地にもかかわらず高山植物が咲き誇り、「花の浮島」とも呼ばれる礼文島を訪れたいと思っていたのである。

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●礼文島に咲く純白のレブンウスユキソウ。花の最盛期だった

今年の北海道は8月に観測史上初めて三つの台風が上陸し、大きな被害が生じた。幸い7月上旬は比較的天候にも恵まれ、旅の初日には礼文島から隣の利尻島にそびえる利尻富士の山稜を、くっきりと望むことができた。

礼文島は、稚内の西方60kmの日本海上に位置する東西約8km、南北約29kmの細長い島だ。北海道本土や北方領土を除くと日本最北端の有人島である。寒冷な気候条件のため、本州では2000m級、北海道でも1600m以上の高山でしか見られないような高山植物が低地から見られ、夏には礼文島固有種を含む300種類もの植物が島一帯に咲き誇るという。

最も有名なのは固有種のレブンアツモリソウであるが、私たちが訪れたときにはすでに花季が終わっていた。ただ、幸いにも純白のレブンウスユキソウ(エーデルワイスの仲間)は花の最盛期であった。

礼文島にはトレッキングができるいくつものフットパスがあり、体力や興味に応じて選ぶことができる。標識も要所要所に整備されている。この島にはヒグマやヘビがいないので、安心して散策を楽しめる。とはいえ天気は変わりやすいし、足元にも注意が必要だ。

私たちは高山植物に詳しい「礼文島はなガイドクラブ」のガイドさんの案内で、礼文島を代表するトレッキングコースである「桃岩展望台コース」と、レブンウスユキソウの群生が見られる「礼文林道コース」に参加した。

ガイドさんたちの出身地は全国に広がり年齢も多様であるが、自然を愛することと植物に詳しいことは共通している。ガイドさんの解説で、ニッコウキスゲの仲間のエゾカンゾウ、可憐なエゾカワラナデシコ、巨大なエゾニュウ、紫色のチシマフウロなどさまざまな花たちと出会った。

礼文島へは、フェリーで稚内から香深港まで約2時間かかる。かつてはニシン漁で栄えたそうだが、今では昆布やウニの産地として有名だ。本土からの距離とフェリーの定員が結果として過剰利用の抑制につながっているのかもしれない。

夜はウニやホッケなどに舌鼓を打ち、私たちなりに国立公園の恵みを満喫することができたのである。