Huffpost Japan
ブログ

ハフポストの言論空間を作るブロガーより、新しい視点とリアルタイムの分析をお届けします

藤巻健史  Headshot

アベノミクスは失政

投稿日: 更新:
印刷

私は、最近、日本維新の会 参議院比例代表 第63支部長となり、政治の世界に足をふみ込むべく決意をした。理由の一つは、アベノミクスは失政であり、今後市場の大反乱が起きると思うからだ。それなのに現在、かじ取りをする日本の政治家の中には、失礼ながら、マクロ経済のプロが極めて少ない。経済のプロはいると言っても、企業経営というミクロ経済のプロか、または市場のレフリー役の経験者にすぎない。これではマーケットが動揺した時、見えない影におびえて右往左往するだけだ。今の日本の政治は、血を見ただけで大騒ぎする私に、脳外科の手術を託しているのと同じである。

私はマーケットでプレーヤーだった人間だ。それも世界に冠たると言われたモルガン銀行時代での実績ならだれにも負けない。その経験は、今後予想される市場の混乱を考えると、極めて貴重なものだと僭越ながら信じている。

今回は、その私が、なぜアベノミクスが「百害あって一利なし」と思うかを書いてみる。

(1)「異次元の量的緩和」は効果が無い

私がマーケットの現役だった1990年代後半のマネタリーベースは約40兆円で、それを頭に叩き込んで仕事をしていた。2001年に日銀が量的緩和を始め、マネタリーベースを2倍の80兆円にしたとき、実務家だった私は「おいおい、そんなことして大丈夫かよ」と思ったものだ。それなのに黒田日銀が「異次元の緩和」をスタートさせる前までにマネタリーベースは約140兆円にも膨れ上がっていた。机上の学問をされている先生方ならいざ知らず、私の常識では信じられないようなジャブジャブぶりだったのだ。

そこまでお金をジャブジャブにした2001年から今年4月までに「円安は進んだのか?」「景気は良くなったのか?」と問うと答えは明らかにNOだ。

黒田日銀は、そのマネタリーベースを来年末までに、さらに2倍に増やすという。今まで全く効果がなかったものが、さらに2倍にしたところで、急に効果が上がるとは思えないのだ。

(2)「異次元の量的緩和」にはすさまじい副作用がある

効果が無いだけなら、まだ許せるが、量的緩和には甚大な副作用がある。

インフレが起きた時のブレーキがないのだ。結果、ハイパーインフレになってしまうのが歴史が証明するところだ。

現在のようにアクセルをふかす、すなわち市中にお金をジャブジャブにするのは簡単だ。現在、日銀がやっているように「市中にある国債を買い取って資金を市中に供給」すればよい。

しかし、反対に金融を引き締める時は、今と全く逆のオペレーションをしなくてはならない。すなわち「保有国債を市中に売って資金を回収しなければならない」のだ。しかし、日銀自体が、景気沈静化のために金利を上げたい(=国債価格を下げたい)のである。今日よりも明日、明日よりも明後日に国債の値段を下げたいのである。誰がそんな国債を買うのだろう? 買ったとたんに損をしてしまうのだ。したがってお金をジャブジャブにした国や政府は、資金を回収できず、最終的に「預金封鎖&新券発行」という強制的な方法によって資金を吸収することになるのだ。それが歴史の教えだ。「異次元の量的緩和」とはブレーキのない車のアクセルを思いっきり踏み込む政策なのだ。ハイパーインフレになれば国の借金は実質的になくなり、財政破綻は避けられ国は助かる。しかし、それは国民生活の犠牲の上、である。給料は毎月上がるかもしれないがパン代は毎日上がるのだから生きていくのも大変だ。特に年金生活者には最悪である。そして挙句の果てに「預金封鎖と新券発行」なのだからたまったものではない。

(3)ハイパーインフレは戦争時以外でも起こりうる

よく「ハイパーインフレなど戦時以外起こらないのではないか?」という質問を受ける。

たしかに戦争中は軍備拡充のために中央銀行がお札を刷りまくった。だから結果としてハイパーインフレが起きた。その結果が「預金封鎖と新券発行」だったのだ。日本でも昭和2年と22年に行っている。

その経験から各国中央銀行は戦争時以外には市中に供給するお金を「ほどよき量」に抑えていた。「ほどよき量」に抑えていれば、景気加速時には市中から資金を少しだけ回収し金利を上昇させた。景気を刺激したい時は、市中に資金を少しだけ投入して金利を下げた。このような金利の上下のオペレーションで景気をコントロールしていたのである。

しかし日銀は、2001年から市中に供給する資金をジャブジャブにし始めた。戦争時以外、決してやらなかったオペレーションを世界で最初に始めたのだ。

「ハイパーインフレは戦争時以外起きない」のは「戦争時以外お金をジャブジャブにしたことはかつてない」からにすぎない。

(4)金融政策に頼りたいのなら「量的緩和」ではなく「マイナス金利」

白川前日銀総裁が異次元の量的緩和をためらったのは彼が怠慢だったからではないだろう。今まで述べてきた事態を危惧したからだと私は思う。

景気回復の責務は政府にあり日銀ではない。しかし、どうしても金融政策に頼りたかったのなら「量的緩和」ではなく「マイナス金利」の採用であるべきだった。私が10数年間、馬鹿にされながらも主張し続けてきた「マイナス金利論」は、最近では欧州中央銀行のドラキ総裁が検討しているとの報道が流れている。(マイナス金利論に関してはいずれ説明します)

(5)供給過多の現在、ハイパーインフレは起きないのか?
「現在は供給過多なのだからハイパーインフレは起きっこない」と思っていらっしゃる方は、鎖国経済を考えている。優秀な日本製品が現在売れないのは、円が強すぎて外国人が買ってくれないからだ。インフレになり円が安くなれば、世界中の人々が優良な日本製品を買い漁る。1000円の日本製品は為替が1ドル=100円のとき米国では10ドルだが、1ドル200円の円安になれば米国での販売価格は5ドルと半分になるからだ。供給量は変わらないのに、外国人の買いが10倍、100倍になれば需給は簡単に逆転する。

インフレとはお金の価値が下がること。日本においてお金とはドルでもユーロでもない。日本でお金の価値が下がると言うことは円の価値が下がること、すなわち円安/ドル高なのだ。インフレによる円安は、ブレーキを保有しない黒田日銀のもとではハイパーインフレの引き金となりうる。

(6)私のホームページ、ツイッター

以上を理解していただいた後、私のホームページ「藤巻プロパガンダ」を読んでいただくと日々のマーケットへの理解が深まると思います。

またツイッターも最近始めました。こちらのほうでもマーケットビューなどを中心に、つぶやいていきたいと思います。アカウントは、@fujimaki_takesiです。

宜しくお願い致します。