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生活保護基準引き下げに対する集団訴訟が各地で始まります。

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昨年8月1日、生活保護の生活扶助基準の第一弾引き下げが行われました。

今年4月には第二弾の引き下げが行われ、来年4月には第三弾の引き下げが予定されています。

最初の引き下げからちょうど1年にあたる今日、埼玉県で25人、三重県で28人の生活保護利用者が基準引き下げの違法性・不当性を問う集団訴訟を提訴しました。

これにあわせて、東京の厚生労働記者会でも、訴訟のとりまとめを行なっている「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」が記者会見を行いました。

私もこの記者会見に参加し、発言をさせていただきました。

すでに提訴している佐賀県、熊本県、愛知県を加えると、5県で訴訟が始まることになります。

【関連記事】中日新聞(7月31日):生活保護引き下げは「違憲」 愛知の16人提訴

この5県に引き続き、少なくとも23都道府県で提訴が準備・検討されています(詳しくは画像をご覧ください)。

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今年の夏は「冷夏」の長期予報が外れ、猛暑日が続いています。

生活保護世帯には高齢者や障がい者、病気を抱えている人も多く、生活保護基準が引き下げられたことにより、こうした人たちがエアコンの電気代を捻出するのが難しくなっています。

生活保護基準の引き下げが健康悪化につながっているのです。

また、生活保護基準はナショナルミニマムとして様々な福祉制度と連動しています。そのため、生活保護基準が下がることで他の制度を利用できる所得制限の上限も下がり、制度が縮小してしまうことが懸念されてきました。

現実に、全国で約157万人が利用している就学援助制度では、生活保護基準の引き下げにより、全国71の自治体(全体の4%)で影響が出ていることが文部科学省の調査で明らかになっています。

しかも、文科省に「影響は出ない」と回答した自治体の中にも、昨年度受けていた子どもが今年度、制度から外れないように対応しているだけのところが多く、来年度以降は基準が下がってしまうと考えられる自治体が全国に318自治体(18%)もあります。

このように、生活保護基準の引き下げは国による低所得者対策全体を地盤沈下させてしまうのです。

その意味で、生活保護基準引き下げに反対する集団訴訟は、生活保護利用者の生命や健康を守るだけでなく、この社会における貧困の拡大に歯止めをかける、という意義もあると私は考えています。

ぜひ各地でおこなわれる訴訟にご注目、ご支援をお願いいたします。

(2014年8月1日「稲葉剛公式サイト」より転載)

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