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「私たちの世界を変革する」持続可能な開発目標ってどんなもの?(第十二回:目標5)

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前回は、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」※の目標6についてご紹介しました。今回は、目標5について紹介したいと思います。

※「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」:2016年から2030年までの15年間に、日本を含む世界のすべての国々が達成すべき目標。貧困・格差、気候変動などの課題について17の目標が定められている。「誰一人取り残さない」がキャッチフレーズになっている。

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目標5:「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」

ミレニアム開発目標では、ジェンダー分野の目標として「2005年までに初等・中等教育における男女の格差を解消し、2015年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消する」ことが掲げられ、初等教育における就学率のジェンダー格差は1999年以降著しく減少しました。しかし、中等教育や高等教育に関しては、多くの国においてジェンダー格差が大きくなっています。また、女の子や女性が直面する課題は教育以外にも山積しています。


目標5は、女性と女の子が直面する課題を包括的に含めています。

あらゆる場所で女性と女の子に対する差別や不公正に終止符を打ち、エンパワーメントを阻む構造的な障壁に対応する目標となっています。女性に対する暴力、早すぎる結婚や女性性器切除などの有害な慣行の撤廃、政治、経済、公共分野での意思決定への参画とリーダーシップの機械の提供、無報酬の育児・介護や家事労働の平等な分担、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)へのアクセスの確保、土地や財産相続などの経済的資源に対する権利、さらに政策や法律の制定、拘束力のある法規の導入・強化も不可欠です。

他の多くの目標には達成期限が設けられていますが、この目標には期限が書かれていません。これは、2030年までに達成すればよい、ということではなく、今すぐに解決しなければならない課題という、国際社会の強い意志が込められています。女の子や女性が直面する課題は待ったなしの喫緊の課題なのです。

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コミュニティで女の子の権利を訴える女の子©プラン・インターナショナル

男女が同じ権利、機会尊厳を享受する「ジェンダー平等」と女性と女の子が自分自身で人生を切り開いていくために必要な力を身につける「エンパワーメント」を推進することは、すべての持続可能な開発目標(以下、SDGs)を達成する上で欠かせません。多くの女の子や女性が、さまざまな不平等に直面している中で、基本的人権が守られ、あらゆる形態の差別や不公正に終止符を打てるよう、努力が求められています。

女の子だから、教育を受けられず、10代で結婚させられる
女の子だから、人身売買や暴力のターゲットにされる
女性だから、育児、介護、家事労働を担うのは当たり前
女性だから、男性と同じように財産の相続ができない

これは途上国の女の子や女性の状況としてよく語られるものですが、なぜこのような状況が生まれるのでしょうか。

ジェンダー平等と女性と女の子のエンパワーメントを推進するにはどのような課題に取り組むことが必要なのでしょうか。


■ジェンダー平等と女性と女の子のエンパワーメントとは?


ジェンダー(gender)とは

生物学的性別(sex)に対して、社会が女の子や女性、そして男の子や男性に期待する役割や規範、期待、信条といった社会的・文化的につくられた社会的性別のことを指します。例えば、「男性は稼ぎ手、女性は家事・育児」といったジェンダー規範の強い社会の場合、男性に比べ女性が社会や政治に参加する機会が限られます。

すると、男性の視点から法律や社会の仕組みが作られ、結果として男女に異なる影響が及び、男女格差に繋がっていきます。「ジェンダー平等」とは、すべての人が社会において同じ地位、権利、尊厳を享受し、人生を左右される決断について同様の決定権を持つことです。


エンパワーメントとは

決定権、判断力、行動力、情報収集力、交渉力、自尊感情や自己肯定感など、あらゆる力「パワー」を身に付けることです。エンパワーされた女の子や女性は、何を勉強してどんな職業に就くか、いつ誰と結婚するか、子どもを何人産むか、選挙では誰に投票するかなど、自分の人生を自分で決定していくことができます。


■ジェンダー平等は世界共通の課題

世界で完全にジェンダー平等を達成した国はありません。ジェンダー平等の国際的な指標であるジェンダーギャップ指数」の2016年のランキングで、日本は144か国中111位となっており、特に政治と経済分野での順位が低くなっています。

また、ジェンダーは女性だけの問題ではありません。例えば日本では、「男は弱音をはかず、一家の大黒柱として家族を養ってこそ一人前」などのジェンダーの固定観念があり、男性にとっても生きづらい社会になっています。ジェンダーの固定観念によって、個人の行動や選択肢が制限されることなく、一人ひとりが能力を発揮し、尊重される世界を作っていくことは世界共通の課題です。

「男だから~すべき」、「女だから~すべき」という役割分担の決めつけをゆるやかなものにかえて、男性と女性が協力し合えば、すべての人にとって生きやすい社会の実現につながります。

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早すぎる結婚の撲滅を訴える女の子©プラン・インターナショナル


プラン・インターナショナルが展開するBecause I am a Girlキャンペーン

筆者が所属するプラン・インターナショナルは、2007年よりBecause I am a Girlキャンペーンをグローバルで展開。女の子の価値を認め、その権利を促進し、女の子に対する不公正に終止符を打つ世界を目指し、「女の子だから」というそれだけの理由で、様々な困難に直面する途上国の女の子たちの現実を訴え、彼女たちが生きていく力を身につけ、途上国の貧困が軽減されることを目指しています。

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
シニアアドボカシーオフィサー
城谷尚子