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イチローにまなぶ目標設定(前編)

2013年09月09日 23時53分 JST | 更新 2013年11月09日 19時12分 JST

ダイエットの研究をはじめて、早10数年になる。この間、しつこく追い求めてきた疑問の一つが、「なぜ、ダイエットを決意した人の多くが、失敗に終わるのか?!」というものだ。

もちろん、これはダイエットに限った話ではなく、英語の勉強にしろ、何にせよ、「変わることを決意しても、変わることができない」という現象は、広く知られている。

専門的に言うと、"自己変革のパラドクス(逆説)"とよばれている。つまり、とても皮肉な話だが、「変わりたいという願望が強いほど、人は変われない」というものだ。

なぜだろうか?!

「それは、目標設定が高すぎるからだ」と指摘しているのは、トロント大学のポリヴィー教授だが、その話をまとめると、下記のようになる。

「人は落ち込んでいる時に、"これじゃだめだ、変わろう!"と決意することが多い。そういう落ち込んだ状況から抜け出し、新しい人生を踏み出そうと決意することは、とんでもなく楽しいことなんですよね。だって、新しい人生って、想像するだけで興奮するじゃないですか。だから、一時的に落ち込み、ストレスを抱えている人にとってみたら、「自分は変わるんだ!」と決意することは、気分を軽やかに晴れやかにするための、最強の手段になっているのです

そして、まさにここにこそ、大きな落とし穴があるのです。「変わろうという決意」は、非常にポジティブな感情で、落ち込んだ人は、その一時的な感情に満足しちゃうんですよね。特に、その変わろうという目標が高いほど、変わった時の自分をアレコレと想像することは、とても楽しいものです。そのポジティブな感情を何度も味わうには、変わらないことが一番ですよね(笑)

私は、ポリヴィー教授の研究を拝見し、「なるほど!」と思った。

まず何よりも、「人が変化を決意するのは、落ち込んだ時」というポリヴィー教授の考察には、思わず笑ってしまった。確かに、人がダイエットを決意するのは、「太って、落ち込んだ時」だったり、「服が入らなくなって、落ち込んだ時」である。

また、落ち込めば落ち込むほど、人は高い目標を設定し、変わることを決意するが、そこに落とし穴があるというポリヴィー教授の考察も見事である。確かに、「頑張って英語を勉強しよう!」と決意して、本屋で参考書を買ってしまうと、なんだかそれだけで満足してしまい(笑)、結局その参考書は全く読まれずに部屋の片隅で眠っていることも多々あることだ。

では、自分を変えるには、どうすればよいのだろうか?!この10年間で、あきれるほど多くの研究をみてきたが、意外なことに大きなヒントになったのが、「イチロー」であった。

気になる続きは、また来週。