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渡辺由美子 Headshot

クリスマスに想う「日本の子どもの貧困」について

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昨晩、キッズドアの学習会に通う子どもとそのご家族のための、一足早いクリスマスコンサートが開かれた。国際的なボランティア団体が主催くださったもので、今年で3年目になる。

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立派なコンサートホールで、クラシックコンサートを聴く。コンサートの前にはクリスマスケーキが振る舞われる。テレビで見るような素敵なドレスを着た演奏者の弦楽四重奏。子どもも多いので、耳慣れた曲も多く、楽しい司会、指揮者体験などの企画で和やかに進む。終了後は、参加者全員にお弁当が、そして子どもたちにはクリスマスプレゼントが渡された。

本当に、楽しい、素敵な会だった。

私は開演時間間近に、もう暗くなった道を一人で会場に向けて急いだ。多分、クリスマスコンサートに向かう母子家庭の親子の様子が目に入った。

ひとり親家庭のお母さん、お父さんは、普段とても忙しく仕事をしている。非正規雇用や自営業で頑張る親御さんたちも仕事におわれている。

今日は、仕事が終わったら急いで職場を出て、子どもと一緒にコンサートに来たのだろう。小学高学年の男の子が、とてもはしゃいでいて、スキップしながら、お母さんと話したり、地図を見たり、「こっちでいいのかな?」などと話しながら、コンサート会場に急いでいる。

その様子を見るだけで、不覚にも泣きそうになった。

キャップをかぶり、スキップしているやんちゃそうな男の子が、クラシックの演奏を楽しみにしているとは、とても思えない。彼は、きっと、クリスマスにお母さんと一緒に出かけられることが嬉しくてしょうがないのだ。思わずスキップしてしまうぐらい、特別な時間なのだ。

そのウキウキ加減がなんだかせつなくて、でも、そういう機会が作れて良かったなぁ、となんだか涙が滲んで来た。

キッズドアでは、100名近くの中学生の居場所の運営をしている。会場から少し距離があるので交通費だけでも往復1000円近くかかってしまうし、電車にも乗りなれないので、自力でコンサートにいくのはなかなか難しい。本当に家庭環境が複雑な子もいて、親と一緒に楽しむなんて無理という子も少なくない。

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だから思い切って、バスを貸し切って50名を超える集団でコンサートに参加した。案の定、バスの中は、みんなハイテンションで、引率したスタッフが
「もう、大変でした!」
と嬉しそうに伝えてくれた。

バスで来た子たちが、私の姿を見つけて
「りじちょー。」と駆け寄って、ハグしてくれた。

「ここ、すごいですねぇ。」
と、綺麗なコンサートホールに驚きながら、ケーキを食べていた。

コンサートは、とても素敵で、お母さんもお父さんも、小さなお子さんから中学生、高校生まで、みんな楽しんでいた。ちょっと前まで、居場所にいるときもずっとヘッドホンをして、コミュニケーションを拒絶していたような中学生の女の子が、演奏を聴きながら、友達と一緒に体を揺らしていた。
 
コンサートが終わり、ホールの出口で、お弁当とクリスマスプレゼントが手渡される。

家に帰ってご飯の支度をするのは大変だし、外食は高い。
今日の一日を振り返りながら、たまにはゆっくり親子でご飯を食べて欲しい。
だから、できればお弁当を家族分つけて欲しい、と私たちがリクエストさせていただいた。

お見送りをしていると、あるお母さんが
「キッズドアの○○さんは、いませんか?」
と、このコンサートの担当をしたスタッフを探していらっしゃった。

そのスタッフを連れてくると

「本当に、ありがとうございました。こんな素敵な機会にご招待いただいて、本当にありがとうございました。ぜひ、またこういう機会があったら声をかけてください。うちも母子家庭でなかなか、こういう場には連れてこれないので、ぜひ、これからもお願いします。」

と、何度も何度も頭を低く下げながら、お礼を言ってくださった。

その様子を見て、私はまた泣きそうになった。

そんなに、必死に頭を下げないでください、大丈夫ですよ、また、きっと機会を作りますから。
お母さん、大丈夫ですよ。あなたはとっても頑張ってますよ、と心の中で声をかけた。

クリスマスに、家族で、ケーキを食べてプレゼントをもらう。
家族で、ちょっとお出かけをして、クリスマスの雰囲気を楽しむ。
そんな、本当に些細な幸せに手が届かない家族が、子どもたちが日本にもたくさんいる。

みんなが楽しんで、「あそこに行った。」「ご馳走を食べた。」「これを買ってもらった。」と言うたびに、寂しいような、悲しいような気持ちを味わう子が日本にもたくさんいる。

日本の子どもの貧困とはそういう事なのだ。

みんなが暗いなら、自分の暗さはわからない。
まわりが光輝いている中で、自分だけで暗いから、「自分はダメだ、」と思ってしまう。

クリスマス、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休み、春休み、そういう普通の子どもにとっては待ち遠しくてしょうがない時間が、日本の貧困な子どもにとっては、普通の家と自分の家の違いを思い知る「とても残酷」な時間だったりする。

そんな状況を放っておいていいはずがない。

すべての子どもは、幸せになるために生まれてくるのだ。
 
一足早い、とても素敵なクリスマスコンサートで、バスで帰る子どもたちを見送りながら、
「来年も絶対にやらないとな」と思った。

もうすぐクリスマス、健気に頑張る子どもたちを応援していただけると幸いです。
子どもたちに、自然体験の機会を作るために、クラウドファンディングをしています。
ぜひご協力をお願いいたします。

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http://japangiving.jp/p/5070