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「薬物依存症」について、私たちは根本から勘違いしている

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「薬物依存症」と正反対の言葉は「薬物に酔ってないこと」ではない。ベストセラー作家ジョアン・ハリ氏によれば、それは「人とつながっていること」だという。

上の動画は、ハリ氏の著書『チェーシング・ザ・スクリーム:薬物戦争の最初と最後の日々』から抜粋されたものだ。動画では、今日に至るまで薬物根絶への戦いが「薬物を排除すること」と「使用者を処罰すること」の2点にのみ焦点を置いてきたこと、しかしそのどちらも、薬物の需要と供給を減らすことにおいて全くといっていいほどに効果を上げてこなかったことが述べられている。

それよりも、「私たちを薬物濫用に駆り立てるものの大部分は、周りの環境だ」ということを理解することで、私たちは薬物に対する欲求を制御することができる、とハリ氏は語る。

心理学者のブルース・アレクサンダー氏によれば、人の環境や社会的背景を変化させることで、その人の依存見込みに劇的な影響を与えることができるという。1970年代後半、彼は「ラットパーク」と呼ばれる実験をした。これは、特定の薬物は(その薬物の)いかなる使用者も依存症にしてしまう、という従来の説が嘘であることを証明したのだ。

従来の実験では、普通の水とヘロインの混じった水との間で選択肢を与えられたラットは後者を選ぶ、そしてラットは死ぬまでそれを飲み続けるだろうというのが結論だった。アレキサンダー氏の実験は、それが必ずしもすべてのケースには当てはまらないことを示した。

アレキサンダー氏の実験のラットたちには、十分な食料、遊び場所、交流できる他のラット、普通の水とヘロインの混じった水の両方が用意された。このラットたちは薬物依存所になることもなく生き続け、一匹たりとも過剰服用することはなかった。

ハリ氏は、これらの実験結果は人間にも応用することができると主張する。中毒症状をに対処する最善の方法は、中毒者を刑務所に収監することでも、社会の他の人々から孤立させることでもない。それよりも私たちは、支援や、目標に向かって前進することのできる健康的な環境を、そして本当の意味での社会的な相互行為を伴う活動を、彼らに持たせてあげるべきなのだ。それらすべてが、彼らを回復させ、危険な薬物の使用へ逆戻りしたい欲求を排除する手助けになる。

アメリカ合衆国保健福祉省のレポートによれば、アメリカでは処方されたオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の過剰服用により、毎日44人が死亡している。8,260人が過剰服用で死んだ2012年から2013年だけで、ヘロイン関連の死亡者数は39%も増加した。ぜひ、冒頭のビデオ(日本語字幕付き)を観てみてほしい。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。


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