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2015年12月17日 17時04分 JST | 更新 2015年12月17日 21時58分 JST

産経新聞の前ソウル支局長に無罪判決、韓国地裁 朴槿恵大統領めぐる記事で在宅起訴

ASSOCIATED PRESS
Japanese reporter Tatsuya Kato of Sankei Shimbun newspaper attends a press conference in Seoul, South Korea, Thursday, Dec. 17, 2015. A Seoul court on Thursday acquitted a Japanese reporter of defaming South Korea's president by reporting that she was spending time with a man during a deadly ferry disaster last year. (AP Photo/Lee Jin-man)

産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長が、インターネットで配信したコラムで朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つけたなどとして在宅起訴されていた事件で、韓国のソウル中央地裁は12月17日、加藤氏に対し「大統領をひぼうする目的はなかった」などとして無罪判決を言い渡した。NHKニュースが速報で伝えた。

産経ニュースによると、ソウル中央地裁の李東根(イ・ドングン)裁判長は、起訴内容やこれまでの検察側、弁護側双方の主張の説明から始め、冒頭での判決言い渡しは行わなかった。

これに先立ち、李裁判長は、韓国外務省から同法務省宛てに「韓日国交正常化50年」という節目の年に、この裁判が韓日関係改善の障害になっていることや、朴大統領をめぐる噂については既に虚偽と明らかになっている事情などを考慮し、「善処を望む」という要望が提出されたことを明らかにした。

NHKニュースによると判決では、加藤氏がうわさが虚偽であると知っていたとした一方で、「記事は私人としてのパク・クネ氏から見れば社会的な評価を深刻に阻害しているが、公人として大統領の業務遂行については公的な関心事であり、名誉を傷つけたと見るのは難しい」と指摘。

「被告が記事を書いたのは韓国の政治や社会の事情を日本に伝えることが目的で、誹謗が目的だったと見ることは難しい。言論の自由は韓国の憲法で保障されており、公職者に対する批判は可能なかぎり、許容されるべきであり、公職者の権限が高ければ高いほど許容される範囲はより広くあるべきだ」とする判断を示し、無罪を言い渡した。

加藤氏は判決後にソウル市内で記者会見し、「「当然の判決で、韓国検察当局は控訴をせず、本件を終結させることを希望する」と語ったという。

■問題となった産経新聞の記事とは?

問題となった産経新聞の記事は、2014年4月に起きたセウォル号沈没事故の当日、朴大統領が7時間にわたって消息不明になっていたとされることについて、元側近の男性と密会していたという噂に言及していた。

そのウワサは「良識のある人」は、「口に出すことすら自らの品格を下げることになってしまうと考える」というほど低俗なものだったという。ウワサとはなにか。

証券街の関係筋によれば、それは朴大統領と男性の関係に関するものだ。相手は、大統領の母体、セヌリ党の元側近で当時は妻帯者だったという。だが、この証券筋は、それ以上具体的なことになると口が重くなる。さらに「ウワサはすでに韓国のインターネットなどからは消え、読むことができない」ともいう。一種の都市伝説化しているのだ。

【追跡~ソウル発】朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた? - 産経ニュースより 2014/08/03 12:00)

この記事を巡り、朴大統領を支持する保守系の団体が加藤氏を刑事告発。ソウル中央地検は2014年10月、ネット上での名誉毀損を扱う情報通信網法違反の罪で、加藤氏を在宅起訴した

検察側は、通話記録などから、朴大統領がその時間に男性と会っていたという事実はないと指摘し、名誉を傷つける目的で虚偽の記事を書いたと主張した。加藤氏は「朴大統領を誹謗する意図はない」「朴大統領の動静は公益性の高い情報」などと主張して、全面的に争っていた。

1987年の韓国民主化以降、報道内容を巡って外国報道機関の記者が刑事訴追されるのは異例の事態。日本新聞協会や「国境なき記者団」が、「取材・報道活動の自由、表現の自由が脅かされる」などと相次いで憂慮を表明。2015年11月の日韓首脳会談でも、安倍晋三首相が朴槿恵大統領に対し問題提起するなど、日韓間の外交問題にも発展していた。

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韓国・セウォル号沈没事故(2014/04/16~)

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