卒業スピーチで祖国を侮辱?と中国で騒動に メリーランド大の留学生「アメリカは空気が新鮮」

彼女のスピーチは、中国の大気汚染の問題から、言論の自由が許されれない中国に比較して、アメリカで感じたという「新鮮な空気」へと展開していく。
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「アメリカの空気は、中国よりはるかに新鮮でした」。アメリカ・メリーランド大学を卒業した中国人留学生、ヤン・シャープンさんは、5月21日に行われた卒業スピーチでこう発言し、温かい拍手を浴びた。

しかし母国の中国のネットユーザーらがこの発言に「祖国を侮辱している」などと猛反発、シャープンさんが謝罪に追い込まれる事態となった。ニューヨーク・タイムズなどが報じた。

スピーチでシャープンさんは、5年前にアメリカに到着した時のことを振り返ってこう話し始めた。

「中国では外出するときに常に5枚のマスクをしていました。飛行機を降りてアメリカの空気を吸った時、私は自由を感じました」

そして彼女のスピーチは、中国の大気汚染の問題から、言論の自由が許されない中国に対して、アメリカで感じたという「新鮮な空気」へと話が展開していく。

シャープンさんは、学生生活で最も衝撃的だったのは、ロス暴動に関する内容の演劇を見たことだとして、以下のようにアメリカと中国の言論環境について比較している。

「演者の学生たちは、人種や性差別、政治について議論していました。とても驚きました。公の場でこうした話題が討論できるなんて、想像したこともなかったからです。私はこういう話がしたいと熱望していた。でも、それは権威のある人だけにある資格で、事実を決められるのは政府だけだと信じてきたのです」

会場で温かい拍手を受けた彼女だったが、この動画がネット上にアップされると、中国のネットユーザーらからは「国を侮辱している」「裏切者」の批判が殺到。また、彼女が育った昆明市の青空の写真とともに、「5枚のマスクが必要なほど大気汚染はされていない」とする反論もあった

ニューヨーク・タイムズはシャープンさんがWeibo上で「自由や言論について話しただけで、祖国を貶める意図はなかった」などと謝罪する事態に追い込まれたと報じている。

メリーランド大学側も声明で、「大学は多様性を受け入れ、異なる意見に対する寛容が重要だと考えている。大学は彼女の見解を発表した、彼女の権利を支持しています」と伝えた。

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上空から見た中国

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