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「兄弟を装い24年間一緒に生きてきた」日本人と外国人のゲイカップルに立ちはだかる在留資格の壁

「日本はみんなのことを考えて誠実さを持ち合わせている。なのに、なぜ同性カップルだとダメなのでしょうか?」

2017年12月11日 10時32分 JST | 更新 2017年12月12日 21時31分 JST

台湾人のGさんと、日本人のXさんは男性の同性カップル。24年間ともに日本で生活していたが、Gさんはオーバーステイ(在留資格がない違法滞在の状態)として逮捕され、強制退去を命じられた。現在Gさんの在留資格をめぐる裁判が行われている。

12月10日の世界人権デーに合わせ、昨日、明治大学で開催されたシンポジウム「同性国際カップルの在留資格をめぐって 〜ふたりを引き裂く日本の法制度のゆくえ〜」で、原告のGさんや弁護団の方がその思いを語った。さらに、同じような境遇にある同性国際カップルが登壇し、在留資格に関する現状や困難を話した。

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■兄弟を装い24年間共に生きてきた

原告のGさんは、自分が同性愛者だと気づいたときから「罪悪感を抱え、誰にも打ち明けることはできなかった」と話す。

「1980年代後半、自分のセクシュアリティに悩んでいた頃、鬱で自殺未遂を繰り返していました。家族に同性愛を気づかれて『おまえは病気だ、はやく同性愛を治してこい』と言われました。」

パートナーと出会ったのは日本語関係の資格取得のため観光ビザで来日したときだった。

交際が進み、滞在期限が迫るGさん「オーバーステイになることがわかっていましたが、家族と疎遠になっていた等の理由から、パートナーと過ごすため日本に残る決断をしました。世間の目を気にしながら、顔は似ていないのに兄弟を装い24年間生きてきました。国民健康保険にも入れないので、病気になるたびにいつも不安でした。治療途中で、医師の忠告を受けず自ら強制退院した経験が何度もあります。」

2016年に職務質問を受けた際、Gさんのオーバーステイが発覚し、逮捕された。その後退去強制処分を命じられたGさんは、在留特別許可を申請するも許可されず、今年3月に退去強制処分発布処分の取り消しを国に求めて提訴した。

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弁護士の永野靖さん
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■国に戻るか、法を犯してパートナーと日本に留まるかという究極の選択

Gさんの弁護士であり、シンポジウムの運営委員の永野靖さんは「異性カップルであれば、婚姻をすれば日本人の配偶者ということで在留特別許可が得られることが多い。しかし、同性カップルは婚姻ができないため許可が得られない」と話す。

同じく弁護士の丸山由紀さんによると、現在、在留特別許可の資格の49.2%が「日本人の配偶者等」だという。「Gさんが異性カップルであれば、そもそもオーバーステイになるまえに解決できた可能性があるし、なったあとでも在留特別許可が受けられる可能性が極めて高いケースだと言えます」

永野さんは「本当に好きな人ができて、一緒に暮らして、お互いが離れがたいと思った時、Gさんは国に戻るのか、法を犯して日本に留まり続けるかという究極の選択を迫られたんです。悩んだ末に、パートナーと離れがたいと思ったGさんは日本に留まることを選択しました。いくら違法だからといって、これは非難されることなのでしょうか?私はそうは思いません」

また、「根本を変えるためには、やはり国の法律を変えなければならない」と永野さん。相手が異性であれ同性であれ、平等に婚姻ができるように、地方レベルで同性パートナーシップ制度の制定を求める、国レベルで婚姻の平等が認められるよう国会議員に求めることが必要という。

「先日、港区で同性パートナーシップ制度を求める請願が採択されました。これは一人の方がかけずりまわって請願採択までこぎつけたのです。やればできます、できるんです。ぜひ一人一人が動いて制度を作ることにご協力いただきたい」

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日本とアメリカ、ドイツ、カナダなどの同性国際カップルの方々

■できれば日本で一緒に暮らしていきたい

パネルセッションでは、実際に日本に住んでいる5組の同性国際カップルが登壇し、それぞれの困りごとを話した。

中島さんとバウマンさんは日本とドイツの同性国際カップル。ふたりはベルリンで出会い、交際をはじめ、2年間一緒に住んでいた。約4年前ふたりで日本に帰国。バウマンさんは学生ビザで日本語学校に行き、その後ホテルの専門学校を経てホテルで働き始めたそう。

バウマンさんは「もし仕事が見つからなかったらどうすれば良いか不安だった」と話す。

中島さんは「できれば日本で一緒に暮らしていきたい。でもパートナーの方が就労ビザを更新し続けないと日本にいられません。私たちはドイツで登録パートナーシップ制度を利用していて、ドイツにいけば家族として暮らせるし働けます。なので、もしかしたら最終的にはドイツに住むかもしれないと思っています」

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ブラッドさん(左から2番目)と光さん(左から3番目)

光さんとブラッドさんは日本とアメリカの同性国際カップル。5年前に東京で出会った。昨年の12月にカリフォルニアで結婚し、日本でも手続きをしようと、カリフォルニアの日本領事館に申請したところ『男性同士ですので日本の法律では認められません』と返送されたそう。

ブラッドさんがもし病気になった際「日本ではなくアメリカでないと保険が適用される状態で医者に診てもらうことができないのが不安だ」と光さんは話す。

「私は日本が大好きです」とブラッドさん。「日本は和を重んじているし、すごくお互いを尊重しあう。バスは8時2分にちゃんとやってくるし、日本はみんなのことを考えて誠実さを持ち合わせている。なのに、なぜ同性カップルだとダメなのでしょうか?なぜ光さんと一緒に住むことはできないのでしょうか?とても不思議です」

■無関心であったり知識がないということは、公権力として許されない

同性愛者に関する裁判で代表的なものは1997年の府中青年の家事件だ。

今回のシンポジウムの主催者のひとりである明治大学の鈴木賢教授「府中青年の家事件の裁判で『行政当局は、同性愛者の権利、利益を十分に擁護することが要請されているものというべきであって、無関心であったり知識がないということは公権力の行使の当たるものとして許されないことである』と書かれていた。この行政当局は入国管理局も入っていると思います」

Gさんの在留資格に関する裁判は、日本国内における同性間のパートナーシップを認めるかに関する初めての裁判になるだろう。

次回の裁判は2月23日(金)10時30分から、東京地方裁判所で行われる。弁護士の永野さんは「傍聴席を日本人と外国人の国際カップルで埋め尽くしたい。ぜひ裁判の傍聴に来てください」と呼びかけた。