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「私たちの世界を変革する」持続可能な開発目標ってどんなもの?(第九回:目標8)

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前回は、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」※の目標9についてご紹介しました。今回は、目標8について紹介したいと思います。

※「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」:2016年から2030年までの15年間に、日本を含む世界のすべての国々が達成すべき目標。貧困・格差、気候変動などの課題について17の目標が定められている。「誰一人取り残さない」がキャッチフレーズになっている。

児童労働、強制労働をなくし人間らしい仕事を通じて経済成長を実現させる


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インドのコットン畑で働く女の子 / ACE

すべての人が人間らしい仕事をし、持続的に経済が成長するために


私たちが暮らしていくのに必要なお金。それを生み出すのが、仕事です。自分や自分の家族が生活していくための収入を得るために働いている人の推計は、世界で34億人(世界の労働力人口の推計)。しかし一生懸命働いても生活をするのに十分な収入が得られず、人間らしい生活ができずに貧困状態に置かれている人々が多くいます。

さらに、強制的にあるいは奴隷的な状態や、人身売買されて働かされること、女性、障害者、移住労働者であることを理由に差別され、仕事に就くことができなかったり、賃金が正当に支払われない等の問題があります。また、法律で禁じられているにも関わらず、子どもが働く児童労働の問題もあります。

例えば、Tシャツを例に考えてみましょう。

  • 不当に安い賃金で労働者が働かされて生産された、500円の商品

  • 適正な賃金と安全な労働環境、労働条件で生産された、1000円の商品

あたなは、どちらのTシャツを買いますか?

同じTシャツでも、その生産過程の差を普通の消費者が見分けることはなかなかできません。こうした条件の下で、500円の商品ばかり売れてしまったら、適正な賃金を支払っている1000円でTシャツを売る企業は競争に負けてしまいます。こうして「搾取」をしたほうが得をするような経済の回り方は、価格競争と搾取がどんどん進む「地獄への競争」になってしまいます。

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ACEのプロジェクトでは、小規模融資も実施。売店をはじめ収入が安定した母親 / ACE

私たちが目指したい成長は、人々を貧困へ押しやり一部の人が利益を得ることで生まれる成長ではなく、一人ひとりの仕事が価値を生み出し、経済活動が活性化して好循環を生み出す、持続可能な経済による成長です。

経済活動には環境にも負の影響が及ぶことがあります。

その一例が、生態系を無視した乱獲や、自然体系を無視した形の資源開発などです。このような無理な開発を行うことで、資源の枯渇を誘発し、結果的にその経済活動の継続が危ぶまれることにもなりかねません。

また今世界で問題になっているのが、若者の失業です。

働きたくても、仕事がない、就職が出来ない等、若者のエネルギーとフラストレーションが暴力やテロなどに向かってしまっている現状を私たちは日々のニュースで目にしています。若者が十分にその能力を発揮できるような機会を作ることも、回り道のように見えて実は世界に平和をもたらすひとつの方法かもしれません。

労働者の搾取を防ぐためには、国が法律を制定したり、労働組合を作り労働者の権利を守る活動を行ったりすることも重要です。しかし、働きたくてもそもそも仕事がない場合もあります。そのような地域では、個人が起業するという方法があり、また起業したい人が事業活動に必要な資金を獲得しやすい金融サービスなども必要です。

特に途上国の農村地域では、貯金や融資ができる設備が近くになく、高利貸しに頼らざるを得ないような状況にある場合もあります。

最近では、電子マネーや携帯電話を利用した送金システムなど、イノベーションにより、金融サービスへのアクセスが飛躍的に向上している地域もあり、その進化により多くの人が安定した収入を得られることも期待されます。

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目標8:「自然資源が守られ、みんなが参加できる経済成長を進め、すべての人が働きがいのある人間らしい仕事をできるようにする」


キーワードは、「2025年までに児童労働を終わらせるために」。

この目標8の中のターゲット7には、強制労働、現代の奴隷制、人身売買などの根絶を目指し早急に取り組むことに加え、あらゆる形態の児童労働を2025年までに無くすことが明記されました。

児童労働とは、15歳未満の義務教育年齢にあたる子どもの違法な労働、及び16歳~17歳の危険・有害な労働を指します。

国際条約で禁じられているものの、国際労働機関(ILO)が発表した最新の推計では、世界には1億6800万人もの児童労働者がいるのが現実です。これは世界の5歳から17歳の子どもの9人に1人にあたります。

児童労働は子どもたちが健やかに成長できる機会を奪ってしまうだけではなく、子どもを安価な労働力にすることで、大人が適切な賃金で労働する機会も奪ってしまうのです。これは、この目標8の中のほかの項目だけでなく、SDGsの中の教育や子どもの暴力などにも関わる大きな問題です。

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ガーナのカカオ農園で草刈りをする男の子 / ACE

筆者が所属するNPO法人ACEは、1997年の発足以来、世界の児童労働の問題に取り組む国際協力NGOです。児童労働の6割は農業分野で起きていることから、インドのコットン生産地とガーナのカカオ生産地でコミュニティ単位で児童労働をなくし、大人の収入で家族が生活していけるように、教育支援、収入向上や職業訓練のプログラムを行っています。

また、日本でも児童労働の問題の重要性・緊急性を訴え、児童労働のないフェアな商品を買うことや、企業との協働により児童労働に加担しない「エシカル」な商品づくりも行っています。

強制労働・現代の奴隷制・人身売買や児童労働に取り組むSDG8.7の目標達成のためには、グローバルレベルでの連携も不可欠です。ILOはSDG8.7 Allianceをスタートさせました。このゴールの目標達成に向けての戦略策定や資金メカニズムなどの設立を目指しています。

SDGs 8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。

人が生きていくためには、仕事は欠かすことができない人生の一部です。しかし世界には多くの人が適切とはいえない労働条件で働かざるを得ず、さまざまな形での搾取が横行し、貧困の状態に置かれたままとなっています。持続可能な開発目標が目指す貧困の解消のためにも、この「目標8」を実現する必要があるのです。

認定NPO法人ACE

(代表)岩附由香
(ガーナ担当)近藤光