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ニュースメディアは斜陽なのか成長産業なのか、新興のデジタルオンリーが台風の目に

2014年03月27日 17時02分 JST | 更新 2014年05月26日 18時12分 JST

ニュースメディア産業は斜陽の時代に入ったのか、それとも新たな飛躍の時代を迎えているのか。

新聞や雑誌、テレビなどの伝統ニュースメディアを中心にユーザー離れと広告売上減が進み、ニュースメディア産業はビジネスとしての栄光の時代を終えたと悲観的に見る向きがある。一方で、オンライン/デジタル技術革新により新しいニュースメディア環境が出現し、今まさにニュースメディア産業は大飛躍の時代を迎えているのだと興奮気味に語る人も少なくない。

ちょうど先ほど、Pew Research Centerが毎年発行する「State of the News Media」の2014年版が公開されていたが、その中で新興の米国デジタルニュースメディアの動向をまとめ、興味深いデータを整理してくれていたので、いくつか紹介する。

米国のニュースメディア産業は昨年から今年にかけて、新興のネイティブなデジタルニュースサイトが台風の目になってきている。今年に入ってからだけでも、「The Marshall Project」、「Re/Code」、「FiveThirtyEight」、「ProjectX(Vox Media)」、「First Look Media」といった注目のニュース組織が立ちあがり、あるいは近く離陸する予定だ。

こうした中で目立つのは、大手ニュース組織から飛び出たスター・ジャーナリストがこうした新興ニュースサイトに移ったり、あるいは自ら新サイトを立ち上げる動きが活発になっていることだ。さらに人の流れだけではなくて、金の流れも活気づいていることも見逃せない。 Jeff Bezos氏(アマゾン創設者), John Henry氏(レッドソックス・オーナー)、 Pierre Omidyar (eBay創設者)などの資産家が、ニュースメディアに強い興味を抱き投資し始めていることも、ニュース産業を一段と盛り上げてくれている。

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Pewの調査によると、デジタルニュースメディアが約500組織生まれ(その半分はこの数年の間に登場)、フルタイムで働く約5000人の専門職を創出したという。そのデジタルニュースメディアのトップ30は次のようになる。この上位30のデジタルメディア組織だけで、約3000の職を生み出したという。

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こうしたデジタルメディア組織は、レイオフの嵐が吹き荒れた伝統ニュースメディアから追い出された記者たちの受け皿にもなってきた。でも最近は、既存の有力メディアでエース的存在の記者が、デジタルニュース組織に飛び込んだり、新組織を立ち上げているのだ。

ソーシャルメディアなどの浸透により、伝統組織(新聞など)のブランドに頼らなくても、記者のパーソナルブランドでやっていける時代になってきたと言える(こちらあちらを参照)。最近だけでも、以下のように著名なエース記者が相次いで、新興のデジタルデジタルメディアに飛び込んでいる。

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こうしたデジタルオンリーのニュース組織の特徴は、米国外の海外展開に意欲的で取り組み始めていることだ。Vice Mediaは海外に35カ所の支部を構えている。Huffington Postは日本を含め11カ国に進出しているが、今年中に15カ国に拡大させたいという。バイラルメディアのBuzzFeedは、英国、オーストラリア、ブラジル、スペイン語圏、フランスに加えて、今年中にインド(ムンバイ)、メキシコ(メキシコシティー)、日本(東京)、ドイツ(ベルリン)に上陸する予定だ。

その後すぐにも、シンガポールや香港にも進出したいという。Quartsは既にロンドンやバンコック、香港にレポーターを配し、編集スタッフは計19か国語をカバーしていると自慢する。Huffington Postに続いてBuzzFeedと、米国のデジタルオンリーニュース組織の2強が日本上陸を果たすことになる。

◇参考

State of the News Media 2014(Pew Research Center)

The Growth in Digital Reporting(Pew Research Center)

有力新聞から飛び出た看板ジャーナリスト、相次ぎニュースメディアを立ち上げへ(メディア・パブ)

新聞サイトに集客させるには、新聞ブランドよりも記者ブランドで(メディア・パブ)

◇関連記事

(2014年3月27日の「メディア・パブ」から転載)