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日銀、景気判断を「緩やかに回復しつつある」に上方修正【争点:アベノミクス】

2013年07月11日 17時24分 JST | 更新 2013年09月09日 18時12分 JST
Reuters

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日銀は11日の金融政策決定会合で4月に導入した異次元緩和の継続を決めるとともに、景気の現状判断を前回6月の「持ち直している」から「緩やかに回復しつつある」に上方修正した。

物価は2%の目標をめざし想定通り推移しているとしたが、黒田東彦総裁は会見で「中国経済の動向を注視する」と今後のリスク要因として強調した。

<設備投資下げ止まりで2年半ぶりに「回復」>

景気判断の引き上げは1月以降、7か月連続となる。企業の生産や輸出の増加が続き、個人消費も堅調に推移しているためだ。景気判断に「回復」との文言が入るのは2011年1月以来、2年半ぶり。これまで回復の動きが鈍かった企業の設備投資で下げ止まり感が明らかになったことなどを反映した。

日銀は3カ月ごとに物価上昇率の見通しを見直しているが、今回の会合では、4月に示した2015年度平均で1・9%(政策委員見通しの中央値)との見通しを維持した。

2013─15年度の実質経済成長率と13、14年度の物価上昇率についてはわずかに下方修正した。黒田総裁は「4月時点の想定と比べ内需はやや強め、外需は弱め」と指摘。「中国を含む新興国経済について議論し、それを踏まえて審議委員も2013年度から15年度の成長率や物価見通しを出した」と説明し、物価見通しの下方修正は「エネルギー価格の下落の影響を考慮した」と述べた。

中国経済について「政府が打ち出している構造改革などいろいろな政策に対する市場の受け取り方に不確実性が残っている」と指摘、構造改革の効果の範囲と程度についても「一定の不確実性があり、シャドーバンキング(影の銀行)などの事象について十分注視していく必要がある」と警戒。「中国は世界第2の経済大国でアジア、世界経済全体に影響が大きく、十分経済動向を注視していく」と強調した。

長期金利については「米欧で上昇している中で、日本は極めて安定している」と指摘。日銀が毎月平均7兆円超の長期国債を買い入れることで「下押し効果が効いており今後も効果は累積的に高まる」と述べた。

<財政健全化「市場から不信任ならば金利上がる懸念ある」>

国際通貨基金(IMF)のブランシャール調査局長が財政健全化策を伴わないアベノミクスを世界経済のリスクとして挙げたことに対して、「財政健全化が進まなければ、市場から不信任とみなされ金利が上がる懸念もあり得る」「今のところ日本政府は懸念を理解して努力している」との見方を示した。

市場では、今回の会合内容を受け、「1)賃金伸び悩みが毎月勤労統計でも確認されている、2)景気ウォッチャー調査の基調判断が下方修正された、3)CPIがプラス幅を急拡大していく可能性が引き続き小さい──など、日銀にとっての逆風も少なくない。この先は時間の経過とともに、シナリオと現実のギャップが拡大して、説明に苦慮するだろう」(みずほ証券チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏)との声が聞かれた。

(竹本能文)

[東京 11日 ロイター]