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原稿用紙って必要なの? マス目を埋めて書くのがつらい

ハフポストが新しくなりました

2017年08月23日 04時35分 JST | 更新 2017年08月23日 17時06分 JST
Issei Kato / Reuters
写真はイメージ

これからのニュース

夏休みが終わる前後のこの時期。読書感想文で苦労している子どもたちも多いはず。

この文章では、私がなぜ「原稿用紙」が大嫌いか、について書こうと思っていましたが、まずは宣伝をさせてください...。

2017年8月23日、ハフポスト日本版はデザインを一新しました。記事が表示される時間が速くなり、レイアウトもすっきりして、読者のみなさまが読みやすい工夫をたくさんしました。世界17カ国・地域で進めている新しいブランド戦略の一環です。

サイトの一番うえに並べる「記事のジャンル」が大きく変わりました。

Ryan Takeshita

2013年5月に出来たこれまでのハフポスト日本版、トップページには「政治」「経済」「国際」「社会」・・・という記事のジャンルが並んでいました。新聞やテレビでよく使われる政治ニュース、経済ニュース、国際ニュースなどの分類です。

新しいハフポストのサイトでは、「これからの経済」「ライフスタイル」「アート&カルチャー」「あの人のことば」「ブログ」という風に、独自の視点で記事を分けました。

Ryan Takeshita

Ryan Takeshita

■明るい経済ニュース

「これからの経済」では、明るい経済報道を心がけます。日本はこれから人口が減り、かつてのような大きな経済成長は期待できません。グローバル競争も厳しくなっている中、日本のビジネスの現場で起きている画期的なとりくみ、新しいアイデアや研究、ユニークなトレンドについて切り込みます。

ネガティブな問題を取り上げても、「だったら、どう解決したらいいか」という視点を忘れないようにしたいです。

また「広告について考える」記事や「若者の買い物のかたち」も書いていきます。働きかたが変化する女性や育児に参加し始めた男性、デジタル製品に囲まれた若者が「新しい消費者」として登場した今、企業はこれまでのようなCMを出して、以前のように棚に商品を並べているだけでは、そっぽをむかれます。

牛乳石鹸 公式YOUTUBE

私たちのような消費者と企業の「新しい関係」を考えていきたいです。

「ライフスタイル」は、「LGBTQ」や「女性(Woman)」「家族のかたち」などを通じて、一人ひとりの多様な生きかたを発信していきます。一人ひとりの性別や、家族を構成するメンバーの組み合わせも、「普通」がなくなっていきます。

それを「伝統が壊れる」と悲観するのか、色とりどりの自由への解放と考えるのか。ハフポストはもちろん後者です。

おいしくて元気がでる食べ物を取り上げる「フード」や「ファッション」、「住まい」や「旅のじかん」など、日々の暮らしを楽しみ、人生を豊かにする情報も、これまで以上に充実させていきます。アート&カルチャー」では、いまを鮮やかに描く映画、音楽、本などについて発信していきます。

Reuters Staff / Reuters
REUTERS/Toru Hanai

個人に光を

「あの人のことば」は、有名無名を問わず、組織や肩書きにとらわれないオリジナルなことばを持つ人、「個人であることを極めた」方々にスポットライトをあてます。記事で出会った人たちを通して、「こういう視点で世界を見たら良いんだ」「自分もこんな工夫をして生きよう」と読者に思っていただきたいです。

いずれも、ハフポストのメンバーの一人ひとりが、家に帰る途中の電車内でも気になってしまうほどの「切実なテーマ」を大事にしていきます。

Marcelo del Pozo / Reuters
REUTERS/Marcelo del Pozo (SPAIN)

原稿用紙が今でも怖い

ところで、やっと原稿用紙の話をします。

私はアメリカで生まれ育ち、中学の途中で日本に戻ってきました。

国語の作文の授業は衝撃でした。アメリカの学校の作文の授業では、「文章を書くことによって解決策を示したいテーマ」「自分が5年後も気にしているような話題」について先生とブレストする時間が多くありました。それからパソコンに向かって書きます。

対して、日本の教室では、その後の人生で使うことが疑わしい「400字詰め原稿用紙の使い方」に多くの時間が割かれました。

・「名字と名前はひとマス空けて」

・「句読点が行の最後にきたら、文字と同じマス目に」

ぺらっとした紙の上に並んだ、奇妙な小さなハコを地道に埋める作業に、違和感を覚えました。いまでも道路のタイルなど、四角いものが規則的に並んでいると、当時のムズムズした恐怖というか、戸惑いが蘇ってきます。(もちろん単純な日米の作文教育の比較はできず、学校ごとに違うのでしょうが)。

時事通信社
土曜授業促進のため、野球のイチロー選手の作文を題材に授業を行う下村博文文科相=2013年12月14日

ちっちゃい「つ」を忘れないで!!(怒)

九州に住む39歳の女性にインタビューしました。小学校5年生の息子さんは、本を読んだあと、続きのストーリーを妄想してしまうぐらい読書好き。でも作文は嫌い。理由はあの原稿用紙。

「段落や送り仮名のただ1字の間違いのために、ズルズルとすべて書き直していかなきゃいけないのは、とにかく無駄な時間に感じる。『ちっちゃい【つ】を入れるところを忘れないで!』とうるさく言ってしまう自分が嫌です」。

宿題を見ていると後味が悪くなるそうです。「マス目に関するルールにあわせて、元の文章を変えることもあるんです」とこの女性は話してくれました。

Eriko Sugita / Reuters
REUTERS/Eriko Sugita ES/FA

400字詰め原稿用紙は、文章を書いた人にお金を払うため、「生産量」である文字数をカウントするためのもの。そんな一部のビジネス的理由が、ネット全盛のいまでも続いています。

■マス目からはみ出す

私たちの周りには、たくさんの「フォーマット」があります。原稿用紙だけでなく、社内で使われる「文書」や上司と交渉するときの暗黙のルール、役所に提出する「資料」や変な慣習。日本のいろいろな業界ごとの「してはいけない事」を集めたら、百科事典ができてしまうのではないでしょうか。

今回のハフポスト日本版のリニューアルで、私たちはニュースのジャンルというフォーマットを変えます。

「原稿用紙」のように決まり切ったマス目に埋まらないようような記事や動画やイベントなどのコンテンツをつくりたい。ネットメディアなら「マス目」にとらわれない発信ができるはず。新サイト立ち上げ前のここ数日は、憎き原稿用紙を文房具屋で買って眺めては、「こうならないぞ!」と自分に言い聞かせていました。

Ryan Takeshita

生理と働きかたなど女性のカラダについて考える「Ladies Be Open」、ひとりで学んだり仕事をしたりすることをポジティブにとらえる「だからひとりが好き」、世界の不思議な話題を取り上げる「知られざる世界」など、ハフポストは、みんなで会話をしながら(本当に、たくさん話し合うチームです)何とか新しいテーマを打ち出してきました。

ふと見渡すと、私たちの周りにはたくさんの「マス目」であふれています。それを埋めない。ことばと心を、自由に解き放ってみたい。

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